WISS2002 プログラム

12月4日(水)

13:00- 受付開始

13:30-13:40 オープニング

13:40-14:30 「インターネット」

QuickML:手軽なグループコミュニケーションツール
高林 哲 (ソニーコンピュータサイエンス研究所, 奈良先端科学技術大学院大学情報科学研究科), 増井 俊之(ソニーコンピュータサイエンス研究所)
 メールは一対一の情報交換だけでなく,メーリングリストを使ったグループコミュニケーションの手段としても活用されている.しかし,従来のメーリングリストは作成および管理に多くの手間がかかるため,気軽な用途には使いづらかった.本論文では,従来のメーリングリストの問題を解決し,メールを送るだけで手軽にメーリングリストを運営できるシステム QuickML を提案する.QuickML を利用することにより,いつでも・どこでも・誰でも手軽にグループコミュニケーションを行える.
Web Community Browser: 大規模Webグラフ探索ツールとそのインタラクション技術
福地 健太郎(東京工業大学), 豊田 正史, 喜連川 優(生産技術研究所)
 Webコミュニティとは,ある共通するトピックを持ったWebページの集合である. 我々は国内で収集した4000万ページからリンク解析により13万個のコミュニティを 抽出している.我々はこのコミュニティ群を可視化し,閲覧・探索を支援するツール 「Web Community Browser」を開発している.本報告では,Webコミュニティ間の関連 構造を把握しやすくするために用いた可視化技法を紹介する.また,Fisheye viewを 応用した可視化手法を提案する.

14:30-14:50 休憩

14:50-16:00 「五感」

Tactile Driver: 触感を忠実に再現するタッチパネルシステム
星野 剛史, 塚田 有人, 峯元 長((株)日立製作所 デザイン本部)
 本論文は,触覚に対して豊かな表現力を持つタッチパネルのコンセプトと試作システムを紹介する.タッチパネルとディスプレイ全体をモーターで駆動することにより,あたかも本物のボタンを押したかのような触覚フィードバックを付加することができる.また,タッチする位置に応じて駆動することにより,指先に3次元形状を感じさせる試みも行っている.タッチ操作と押し込み操作といった2段階のインタラクションも特徴としている.
Active Belt: 触覚情報を用いたベルト型ナビゲーション機構
塚田 浩二, 安村 通晃(慶応大学大学院)
 本研究ではモバイル環境において,方位情報を含む多ビットの触覚情報提示を実現するベルト型ウェアラブル・インタフェース"Active Belt"を提案する.触覚による情報提示はユーザの活動を阻害しにくいため,常時利用に適している.しかし,従来のモバイル環境での触覚情報提示手法の多くは,携帯電話のバイブレータのように,注意喚起程度の用途にしか利用されてこなかった.Active Beltはベルトに方位センサー,GPSと複数のアクチュエータを装着し,方位情報を伴う触覚情報提示を実現する.我々はActive Beltのプロトタイプを試作し,その有効な活用例を示すアプリケーションを提案する.
視覚障害者の聴覚認知特性に基づく新たなインタフェースの提案
浅川 智恵子(日本IBM 東京基礎研究所,東京大学 先端技術研究所), 高木 啓伸(日本IBM 東京基礎研究所), 井野 秀一(北海道大学 電子科学研究所), 伊福部 達(東京大学 先端技術研究所)
 近年,ユーザインタフェースのビジュアル化とともに視覚障害者のユーザビリティ低下が問題となっている.本研究では,大きな要因のひとつである「単位時間あたりに音声アクセス可能な情報量の低さ」に着目し,基礎データとなる認知可能な音声最高速度・理解が容易な読み上げ最適速度を実験により定量的に求めた.その結果,現在のTTSが提供する読み上げ速度は十分ではなく,視覚障害者はより高速な認識可能であることが明らかとなった.この結果に基づいて,新たな音声インタフェースとしてダイヤル型インタフェースを提案する.

16:00-16:30 ポスター/デモセッション(1)予告

16:30-17:00 休憩

17:00-18:30 ポスター/デモセッション(1)

18:30-19:30 夕食

12月5日(木)

9:30-10:40 「例示/予測」

視覚情報の属性を考慮した自動例示検索
吉高 淳夫, 堀 泰浩, 関 博和(広島大学大学院)
  眼球運動特徴に基づき,注目した視界画像を自動的に蓄えてデータベースを構成するシステム,Digital Reminderにおける新しい検索手法,WYSIWYR(What You See Is What You Retrieve)について述べる.視覚的オブジェクトに対する注目状態と注目対象を検出し,注目物体に類似した過去の視界画像を自動的に検索するものであり,視線の振る舞いから視覚情報の種類を判別し,検索精度の向上を図っている.
文書蓄積システムKukuraを用いた予測入力
小松 弘幸(東京工業大学情報理工学研究科), 高林 哲(ソニーコンピュータサイエンス研究所, 奈良先端科学技術大学院大学情報科学研究科) , 増井 俊之(ソニーコンピュータサイエンス研究所)
 従来の予測入力システムの予測はあらかじめ用意された辞書や, 利用者の入力 履歴からのみ行われる. そのため, 入力したい言葉がアプリケーションの画 面に表示されているにも関わらずその言葉をスムーズに予測入力できない, と いう問題がある. この問題を解決するために我々は文書蓄積システム Kukura (句倉) を用いた予測入力システムを提案する. Kukura は利用者が閲覧した 文書の保存と活用を行うシステムである. 本論文では, Kukura および Kukura の予測入力への応用について議論する.
W3Annotator:構造化文書を対象とした例示プログラミングによる条件付きアノテーション設計
土方 嘉徳, 西田 正吾(大阪大学大学院基礎工学研究科システム人間系専攻)
 本稿では,構造化文書に対して例示プログラミングにより条件付きアノテーションを作成し,それを表示するためのシステムW3Annotatorを提案する.条件付きアノテーションとは,ユーザの操作に応じて表示・非表示できるコメントやヘルプ,装飾などのことを言う.W3Annotatorでは,操作イベントの種類と象オブジェクトの種類に関する優先順位と,操作イベントの繰り返し回数という単純なパラメータを用い,汎用性の高い推薦ができることを目指す.

10:40-11:00 休憩

11:00-12:00 「入力」

ThumbSense: タッチパッド用対話技法の提案
暦本 純一(ソニーコンピュータサイエンス研究所)
  キーボードのホームポジションから手を移動させないでタッチパッドを操作するための対話技法 ThumbSense を提案する.従来利用されていなかったタッチパッドの特性を用いて,利用者の指の位置によりマウス操作状態かキー入力状態かを自動判定する.その結果,特別なモード切替コマンドなしにキーボード上のキー(たとえばFやJキー)をマウスボタンとして兼用することが可能になった.マウス互換な操作に加えて,キーボード上の多くのキーを仮想的にマウスボタンとみなして利用する,「超多鍵マウス」としての利用が可能である.
Pointing Keyboard:キー入力/ポインティングが可能な入力デバイス
塚田 有人, 星野 剛史(日立製作所)
 Pointing Keyboardは,キーボード上に2次元座標検出のための赤外線センサを重ねた構造になっており,キーボード面上でキー入力/ポインティング操作の両操作を行うことができる.また,その特徴により,「ダイレクトなポインティング」「両手操作」「ペンタブレットとしての利用」など,キーボード+マウスではできないインタラクションが実現できる.評価実験を行った結果,操作時間に関してはキーボード+マウスの方が優位な結果となったが,主観的評価において,上に述べたインタラクションによってPointing Keyboardの方が便利であると答えた被験者が過半数を占めた.
ポインタズーミング: 限定された入出力環境でのポインティング手法
辰巳 勇臣, 野田 尚志, 旭 敏之, 山田 敬嗣(NEC インターネットシステム研究所)
 本稿では,限定された入出力環境でのWebブラウジングにおけるポインティングの操作性を改善する手法として,レイアウト情報を用いてポインタ粒度をズーミングするポインタズーミングを提案する.また,提案手法を導入したWebブラウザを実装し,手法の評価を行う.Webブラウジング時のポインタズーミングの有用性評価を狙いとした実験の結果, 標準的な限定された入出力環境においてタスク達成時間の88%で提案手法が利用されることなどを確認した。

12:00-13:30 昼食

13:30-15:00 「3次元」

Pop.eye: パーソナルユーザ向けの「飛び出す」動画取得システム
三原 功雄, 原島 高広, 沼崎 俊一(東芝研究開発センター)
ページ群の擬似3次元配置を用いたプレゼンテーション支援
田中 浩也, 有川 正俊, 柴崎 亮介(東京大学空間情報科学研究センター)
空間的キーフレーム法によるキャラクターアニメーション
五十嵐 健夫(東京大学大学院情報理工学系研究科)
 マウスのような通常の入力デバイスを用いて,多数の関節を持つ3Dキャラクタに対して複雑な動きを与えることのできる空間的キーフレーム法について紹介する.具体的には,ユーザはまず,3Dキャラクタの姿勢と,3次元空間中のハンドルの位置を結びつける「空間的キーフレーム」を設定する.あとは,ハンドルの位置をインタラクティブに変化させることで,複雑なアニメーションを手軽に生成することができるようになる.
手を用いた物体領域入力インタフェースの提案
佐藤 周平, 柴山 悦哉, 高橋 伸(東京工業大学 情報理工学研究科)
 我々は,主に視覚的な特徴から野草の種の特定を行う携帯型のシステムの構築をめざしている.視覚的な特徴はカメラから得られる画像より抽出できると考える.このようなシステムでは画像中の興味対象領域を指定する必要がある.例えば,複数の種が画面に写っている場合,ユーザの興味対象を入力する必要がある.本論文では,手を対象の背後に入れることにより興味対象領域を指定する方法を提案する.また,簡単な実装を行いその評価を行った.

15:00-15:30 ポスター/デモセッション(2)予告

15:30-16:00 休憩

16:00-17:30 ポスター/デモセッション(2)

18:00-21:00 懇親会・函館山訪問 (協賛 はこだてワイン)

12月6日(金)

9:30-10:30 「視点」

Memorium: 眺めるインタフェースの提案とその試作
渡邊 恵太, 安村 通晃(慶応義塾大学 環境情報学部)
 本研究では,時計のように持続的に情報提示するあり方を「環境的」であると定義し,Memoriumという情報環境を実装した.Memoriumはメモをディスプレイに浮遊させて表示するシステムである.浮遊するメモは接触し,メモのキーワードでAND検索を行う.検索結果はMemorium内にメモと同様に生成され,浮遊しまた他のカードとの接触していく.本システムは日常生活のなかで個人のメモやWebに触れる機会を眺めるという形で提供していくシステムである.
EnhancedWall: 大型ディスプレイにおける顔追跡システムの利用と そのアプリケーション
長澤 篤, 中西 泰人, 小池 英樹(電気通信大学 情報システム学研究科), 佐藤 洋一(東京大学 生産技術研究所)
 宣伝目的で利用される大型ディスプレイは, 繰り返し同じ情報を表示しているため, 対話的であるとは言い難い. 公共の情報端末は, 対話的に情報を提示できるが, ディスプレイが小型であるため, 偶然そばを通った人々の注意を引きつけることは難しい. 本研究では, 大型ディスプレイで対話的に情報を表示するために, 大型ディスプレイで顔追跡システムを利用したシステムEnhancedWallの構築, およびそのアプリケーションEye-catcherの開発を行った.
EnhancedTable:紙を取りまくミーティング支援システム
永嶋 慎一郎, 小池 英樹, 中西 泰人(電気通信大学大学院 情報システム学研究科), 佐藤 洋一(東京大学 生産技術研究所)
  本研究では,テーブルを囲んだ小人数でのミーティングに対する電子的な支援を目的とし,EnhancedDeskの画像処理技術を改良し,電子的に情報が付加されたテーブルとして EnhancedTable の構築を行った.EnhancedTable ではユーザの領域として個人領域を,情報の置場として共有領域を設けており,各ユーザは並列に作業をすることができ,共有領域を介して他のユーザの情報をスムーズに受け取ることが可能である.また,手による直接操作により自然なインタラクションを実現するとともに,紙の資料を撮影する機能などにより電子情報と紙の融合も行っている.

10:30-10:50 休憩

10:50-11:40 「実世界」

Digital Decor:日用品コンピューティング
椎尾 一郎(玉川大学), Jim Rowan (ジョージア工科大学), 美馬のゆり(公立はこだて未来大学), Elizabeth Mynatt (ジョージア工科大学)
Decorは,家具,調度品,小型の家庭電化製品,生活小物などの総称である.透明な存在のユビキタスコンピュータによって強化された日用品を,Digital Decorと呼ぶことにする.本論文では,賢い収納とカジュアルなコミュニケーションを想定して,4種類のDigital Decorの試作を行った.試作したシステムの外観は,引き出し家具やコーヒーポットのような通常の日用品であるが,目立たない存在のコンピュータによって機能を強化拡張されている.
ユビキタスコンピューティングのための入出力制御デバイス
早川 敬介(NEC インターネットシステム研究所), 塚本 昌彦(大阪大学大学院情報科学研究科) , 寺田 努(大阪大学サイバーメディアセンター), 義久 智樹, 岸野 泰恵(大阪大学大学院情報科学研究科) , 柏谷 篤(NEC インターネットシステム研究所), 坂根 裕(大阪大学大学院工学研究科), 西尾 章治郎(大阪大学大学院情報科学研究科)
 現実空間のさまざまな場所にコンピュータを配備し,これらのコンピュータが自律的な動作を行い,有機的に結合して多様な機能を果たすには,ルールによるイベント駆動型の入出力制御手法が有効である.筆者らはユビキタスコンピュータの制御をルール形式によって簡潔に動作記述するイベント駆動型の入出力制御を用いたユビキタスコンピューティングを提案する.さらに,このアーキテクチャによって入出力制御が可能なデバイスを試作した.

11:40-12:00 各賞発表・表彰


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