臨書初級者のための文字バランス学習支援システム

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review comment 1
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■ 総合点
3
■ 確信度
2
■ 査読コメント
学習支援の研究の初期の段階であったらこのような研究も高く評価されるであろうけれど,学習対象が沢山あるなかでこのような個別の研究はどれほどの価値があるのか.もちろんその学習対象を専門とする研究分野では非常に重要な研究であることは確かである.しかし,インタラクション一般として見た場合にどれほどの貢献があったか,というのがWISSでの評価とせざるを得ない.

その点でみると,タブレットの上に紙を重ね,アニメーションを見せ,導電性の筆を持つことで筆の位置を認識するという点は,オリジナル度が高いと思う.この方式が,他の学習対象の分野(たとえばデッサンなどの絵画的な分野とか)など,どのような対象であればこの方式で同じように使えるのかどうか.そういった方式の一般化に対する考察がWISSにとって必要である.
■ レビューサマリー
Review4 (注:review comment 3)のコメントを中心に修正してください.



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review comment 2
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■ 総合点
3
■ 確信度
2
■ 査読コメント
タブレットの上に半紙を置き、導電性のテープを張り付けた筆を使って書写を支援する本システムは、技術的な新規性は低いが、実用的で文字バランスを学習したいユーザにとっては実環境に近い環境で学習できるので有効的だと考える。



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review comment 3
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■ 総合点
3
■ 確信度
2
■ 査読コメント
【評点の根拠】
文字バランスの学習についてはこれからも需要があると想定されることから有用性はあると思われるものの、アプリケーション単体としての新規性よりも、補助を段階的に減らすという(実験上の)操作がしやすい事例を扱うことで、システムによる補助からの離脱について一般的に応用しうる知見を得ることに期待したい研究である。

しかしながら、採点アルゴリズムの記述に分量を割いているにも関わらず評価実験で採点結果を学習者に提示しない、段階的に補助を減らす過程をほとんど制御しない実験を行うなど、研究目標と実装・実験が明瞭に結びつくように実施・記述されておらず、現時点では得られる知見も限られてしまっている点が惜しい状態である。

当日までの修正で上記の点についてある程度議論ができる状態になることは見込まれるものの、現時点では積極的に採択を推しづらいと判断した。


【論文改善のためのコメント、疑問】
採点結果が学習者に対してどのように提示されるのかが論文からはわからなかった。数字や表でフィードバックする場合と何らかの可視化を伴う場合とでは効果に違いがありそうである。評価実験でこの機能を使用しなかったという記述を見るに、現時点では評価実験用という扱いで、将来的には学習者にフィードバックする予定なのだろうか。論文の焦点が不明瞭である。

手本にも、バランスを意識させるような注釈が入っているものもあるが、そういった手本を利用した場合との比較をするのが適切なのではないかと思われる。

評価実験における手本選択について、自由と指示したのか、慣れてきたら情報の少ない手本に切り替えながら使うように指示したのか等、記述してほしい。

そのほか
・図2の解像度が粗いので改善していただきたい。提案システムの写真があるとなおよい。
・我々のグループが開発したという記述は(たとえほかの部分でバレバレであるとしても)ルール違反であるので注意されたい。