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review comment 1
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■ 総合点
3
■ 確信度
2
■ 査読コメント
本論文は,スマートウォッチなど超小型タッチパネル端末で使うことを想定した,新しいスワイプジェスチャに関する提案である.
超小型タッチパネル端末はベゼル間の距離が短いことから,単純な画面内スワイプとは別に,複数のベゼルを始点・終点とするスワイプを認識させることが可能であり,その実現に関する報告である.
スマートウオッチというタッチ操作に関して制限の多いハードウェアを前提として,入力手法の多様化に貢献しているという点は評価に値する.
なお,スマートフォンの領域では一般にベゼルは縮小化の方向であり,かつベゼルでのタッチ認識機能も徐々に導入されつつある.スマートウォッチにこのような技術が導入されるか,スマートフォンについてもどこまでこの種の技術が普及するか,不透明な部分は多くあるが,このような技術の方向性を考慮した議論があると,より良い論文になると期待される.

本報告の実験では,ベゼルを利用した入力手法について,画面を見るsighted条件と画面を見ないeyes-free条件の2つの条件での比較を行っている.両条件とも指定された操作方法について高い精度で入力認識が行われていることがわかる.しかしながら実際の利用条件を考えた場合,通常の画面内スワイプと,ベゼル間スワイプとが混在することになる.今後は両操作間での誤操作・誤認識についての評価が望まれる.

一方で,アプリケーション例は決して説得力のあるものとはなっていない.音楽プレイヤーの操作に関しては通常の上下左右スワイプだけで問題なく実現できるのではないだろうか.この点についてはより適切なアプリケーションの提案が強く望まれる.

最後に,それ程本質的ではないが気になる点として,4章末尾での開始ベゼル誤認識対策に関する記述が挙げられる.「ユーザが触れるとベゼルとタッチパネルの間が摩擦が少ない特性かつ曲面をしているような形状へスマートウォッチを変更することによって改善できる」としている.本手法は既存のハードウェアに変更を加えずに利用できることが大きな特徴であり,既存ハードウェアに設計変更を促すような対策は本研究の趣旨からずれるのではないだろうか.この考察内容については,再検討することが望ましい.
■ レビューサマリー
【カメラレディまでに必要な書き直し】
○ アプリケーション例の追加
他の手法での代替が難しく,この手法を利用することによって利便性の向上が認められるような,本質的価値を示すことの出来るアプリケーションがあることが望ましいです.すくなくとも,有用と思われるアプリケーションを複数提示することが強く求められます.

【雑誌論文として投稿する際に、追加および修正すべきと思われる点】
○ 上記の通り,アプリケーション例の追加が必須です.
○ 従来型操作(とくにスワイプ動作)を併用した場合の影響に関する議論・実験
本論文の実験では,提案手法に関する事項についてのみ実験が行われています.しかし実際の利用環境では,従来型操作(とくにスワイプ動作)との併用を前提とせざるを得ないはずです.その場合の誤認識・誤操作に関する議論が必要であり,かつ評価実験が必須です.






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review comment 2
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■ 総合点
4
■ 確信度
2
■ 査読コメント
この論文では、腕時計サイズの超小型タッチパネルデバイスに対する
ベゼルを利用した入力方式が提案されています。

提案手法は新規性があり、画面の小さいスマートウォッチにとても合うシンプルかつ実用的な入力手法だと思います。
評価もしっかりなされており、説得力があります。

論文改善のためのコメント、疑問:

画面の小さいデバイスに対するベゼル操作は、通常のタッチ操作と組み合わせて用いた場合の混同(誤検出)が発生しやすいのではないかと思うのですが、どうでしょうか(ベゼルを使った操作全般にも言えることですが・・・)。

採択された場合の発表内容、議論内容に対するリクエスト:
具体的なアプリケーション例をもっと沢山挙げて頂ければと思います。



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review comment 3
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■ 総合点
3
■ 確信度
2
■ 査読コメント
小型タッチパネルにおけるスワイプジェスチャを提案しており、今後の機器の小型化に向けて便利なジェスチャーインタフェースの提案であると考える。

「超小型」タッチパネルを想定している、とありますが、どのくらい小型でも大丈夫なのか実験があると面白いですね。6.4インチと1.6インチで実験を行っていますが、それぞれの画面サイズでの差はあったのでしょうか。また、大きい画面サイズではうまくいかないのでしょうか?

アプリケーション例が音楽プレイヤーしかありませんが他の例はいかがですか?例えば、メールアプリや地図アプリなど、ジェスチャーでの操作が便利なアプリケーション例をもう少し語ると良い論文になると思います。実際にアプリケーション例を使った評価実験をしても良いかもしれません。

4.5の実験結果で、「2つ目はB2B-Swipeをしたつもりが16通りのどれとも判定されなかった場合」とありますが、こういったケースはなぜ起こるのでしょうか?また、1つ目の「開始or終了が認識エラー」の場合と分ける必要があるのでしょうか? 0番と分類して判定した理由がよくわかりませんでした。

<より良い論文にするためのコメント>
5.1節しかないので音楽プレイヤーのみ言及するのであれば、5.1節という表記をなくすほうが良いと思います。他に、5.2節、5.3節がくるのかな?と想定して読んでしまうので。

「本研究」「本稿」など混在しているので特に使い分けがないのであれば統一するのが良いでしょう。

2.1節 1文目。「追加することのよって」→「追加することによって」
4.5節 3段落目の最後から3行目「高かかった」→「高かった」
4.5節 4段落目の4行目。「アンケートを行った簡単で」→「アンケートを行った。簡単で」
5.1節 2段落目。表番号のコンパイルエラー。