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査読者 1

総合点

7

確信度

2

コメント

ペンタブレット上でユーザが描いた2次元のイラストから中割画像を生成し、データベースから既定の動作を合成することで2次元の手描きアニメーションの作成を支援するシステムの提案である. 2次元のアニメーションを作成する際に手書きスケッチとデータベースをうまく組み合わせる手法で新規性があると判断する。

結果の図やビデオを見ると、アニメーションが生成できていることは読み取れる。また、図4からも既存手法に比べて、優れた結果が得られていることは読み取れる。一方で、どのくらいユーザを支援できたのか、といった議論が本原稿には不足しており、本手法の有効性についてはっきりと読み取ることはできない。

データベースを使用しているが、計算時間に関しては記述がなく、リアルタイム性が保たれているかは不明である。また、検索精度が75%と示されており、比較手法として取り上げられている従来手法[8]と比べると高い数値であるが、75%でユーザが満足しているのかなどについての調査・議論はない。

関連研究として、アニメーション生成ではないが、以下が関係すると思われる。データベースを利用して絵を書くための補助を行う研究である。
ShadowDraw: Real-Time User Guidance for Freehand Drawing
Yong Jae Lee, Larry Zitnick, and Michael Cohen
ACM Transactions on Graphics (Proceedings of SIGGRAPH), Vancouver, Canada, August 2011.


以下、このままカメラレディ原稿とするには気になる点を挙げる。
今後原稿を修正する機会があれば参考にしていただきたい。

・全体的に1文が長すぎて、何が主語で何が術後か判明しづらかったり、わかりづらかったりする文章が多々見受けられる。
例えば、p.2 右の上から2行目。「下記に述べる…できる.」や、p.4右の3章最後、「また推定結果に…実現する.」など、もっとわかりやすく、記述するべきと思うため、推敲して欲しい。

「オニオンスキン機能」の初出で特に説明がなく始まっているが、3章初めにオニオンスキン機能について簡単にで良いので記述するべきと考える。

p.2 左の下から4行目。「番号を指定する」→「番号を付与してある」(番号をユーザが指定するのではなく、自動的に付与されている)
p.2 左の最後の行「オニオンスキン機能は、」→「オニオンスキン機能とは、」

「Affine 変換」は、「アフィン変換」にしてはどうか?
(ドロネー三角形分割は、Delaunay ではなく、ドロネー、と表記されているので)

p.3 左側、式(3)の次の行、i番目→iをイタリックに。
p.3 左側、下から3行目。図6→図4

p.4 左側、2段落目の真ん中あたり、「次に、ユーザ描いた」→「次に、ユーザが描いた」

5章 まとめの真ん中あたり、「イラストを構成するストロークを離散化を行っているため」→「イラストを構成するストロークを離散化して使用しているため」(日本語がおかしい)

採録判定時のコメント

技術的な新規性(2次元アニメーション作成の際に、手書きスケッチとデータベースを組み合わせる)に加え、システムがきっちり作られていること、既存手法に比べて優れた結果が得られていることなどを評価し、ロング採録となりました。一方で、システムの有用性や、実際にユーザを支援できたのかなどの考察が不足していますので、WISSでのディスカッションを通じて更なる研究の発展に繋げてください。

レビューサマリ

全体の構成: ペンタブレット上でユーザが描いた2次元のイラストから中割画像を生成し、データベースから既定の動作を合成することで2次元の手描きアニメーションの作成を支援するシステムの提案です。2次元のアニメーションを作成する際に、手書きスケッチとデータベースをうまく組み合わせる部分に新規性があると判断します。提案手法の面白さに加え、システムがきちんと動いていること、既存手法に比べて優れた結果が得られていることなどが評価されました。 改良に向けたコメント等: ・現状では、システムの有用性や、ユーザを実際に支援できたのか等の考察が欠けています(検索精度が 75% とありますが、ユーザが満足しているかどうかの記述がありません)。 ・計算時間に関しては記述がなく、リアルタイム性が保たれているかは不明です(リアルタイム性もユーザの満足度に繋がります)。 ・アルゴリズム内部の動き(メッシュの動き)が不明確です。実際の図形内部のメッシュの動きを図などで示せば、よりわかりやすくなると思われます。 ・ひとつの文が長すぎて意味がとりづらいことに加え、語句の間違いや図の参照ミスなどが散見されます。投稿前に十分に推敲を行うようにしてください。

その他コメント

各査読者からの細かい査読を参考にしてください。

査読者 2

総合点

7

確信度

1

コメント

・評価できる点
手書きのイラストと、これまでにユーザが作成したアニメーションデータのデータベースを併用し、2Dのアニメーションを生成する手法を提案した点は興味深く、新規性があると考える。
添付のビデオからも実装がきちんとされていることが確認でき、関連研究との差分、提案手法の優位性も示されている。

・疑問点
5歳から20歳までのユーザ5名にシステムを使用してもらい5分程度でアニメーションを作成してもらったと記載してあるが、
ビデオを見る限り、5歳の子供が本システムを使用するには機能が複雑だと感じたが、使用時に問題はなかったのか等、疑問がのこる。
筆者らは"簡単に"アニメーションを作成するためのシステムを提案しているので、インタフェースの改善点の議論等も含め、システムの有効性についてもう少し詳しく述べてほしい。

査読者 3

総合点

7

確信度

2

コメント

堅実かつ面白みのある研究だと思います。
論文・ビデオともに、基本的なストローク(に対する三角形メッシュ)の動き
の例を詳しく見せていただけるとより判りやすいと思います。