■ 論文ID: 15 ■ タイトル: SensingFork:フォーク型センサを用いた食行動改善手法 ■ 著者: 門村亜珠沙(お茶の水女子大),李爭原 (台湾大),陳嚴章(台湾大),塚田浩二(はこだて未来大),朱浩華(台湾大),椎尾一郎(お茶の水女子大) ------------------------------------------------------------------ レビューサマリ ------------------------------------------------------------------ 提案するアプリケーションの有用性については現時点で実証されていませんが、本論文が人の生活にとって必要不可欠な食事というテーマにフォーカスを当てている点、新規性のある技術提案を行っている点、その性能評価と改善案が示されている点、アプリケーションの実装ができている点などを総合して、採択がふさわしいと判断します。WISSでの活発な議論を期待します。 採録にあたり、査読者から指摘のあった、フォーク型センサを使わなければいけない理由やインタラクティブな食材認識の必要性などについて、スペースの許す限り説明を追記してください。 ------------------------------------------------------------------ reviewer 1 ------------------------------------------------------------------ ■ 総合点: 4 ■ 確信度: 2 ■ 査読コメント: 食事そのものに着目し、研究を進められたのは非常に意義があると考えられます。 本論文の記述で気になる点は以下の通りです。 (1)フォーク型センサを使わなければ行けない理由 カメラデバイスとその認識で、同じ事が出来るのではないか と考えられる。 センシングフォークが、カメラデバイスで行う事より 良い点を指摘して欲しい。 センシングフォークを実装することは、突き刺したときの 圧力値、フォークそのものの握りの圧力値など目に見えない データをとることが可能になる。 そのデータを活用できると良い点が生まれると考えている。 (フォークの加速度で、気に入って食べているかどうかなど) (2)子供の食習慣改善を目指すス マートフォン用アプリケーション:腹ペコパンダ の評価がよくわからなかった。 アプリケーションが、複数人の実験によって動作していることが 理解したが、このアプリケーションの設計が”子供の食習慣改善を目指す” ことにつながっているのかが、この記述では見えてこなかった。 その点の改善をお願いしたい。 ------------------------------------------------------------------ reviewer 2 ------------------------------------------------------------------ ■ 総合点: 3 ■ 確信度: 3 ■ 査読コメント: 【評点の根拠】  電極とモーションセンサによって食事中の動作を認識する試みは興味深く、幼児の食育に限らず、高齢者の食行動のモニタリングなどにも使える可能性があり、有用な技術だと考えます。状態遷移のルールを使って認識率を高める工夫がなされている点も評価できます。食行動認識については、実験において高い認識率が得られており、精度改善の方針についても示されています。アプリケーションはユニークで新規性がありますが、実際に食育に有用かどうかについてはユーザスタディがこれからのため、現時点では予測の域を出ません。この点が問題ですが、技術提案としての貢献が認められるため、採択可能な論文であると判断し、この評点としました。 【論文改善のためのコメント】  色センシングによる食材認識については、テクニカルな情報(アルゴリズムや分解能)が若干不足しているので可能であれば追記を期待します。初期登録手法については、色と電気抵抗によってどのくらいの精度で認識できるのかを知りたいです。即時判定手法の実験結果が記載されていますが、あまり有用性のあるデータとは言い難いです。どの程度の分類まで判別可能なのかという制約条件が明らかになれば、それに応じてアプリケーションのインタラクションデザインを最適化できます。例えば、個別の素材は認識できなくても、緑黄色野菜かどうかを判別できるだけでフィードバックのやり方が変わってくると思います。また、できればインタラクティブな食材認識の必要性についても言及されることを望みます。「何を食べたか?(嫌いなものを食べたか?)」を個別認識せずに、「出されたものをすべて食べたか?」という単純化した問題に読みかえることもできるので。 【参考情報】  「児童生徒の食事状況等調査報告書」という国の調査資料があります。子供な嫌いな食べ物の情報も記載されているので、ご参考になるかと思います。 http://www.jpnsport.go.jp/anzen/anzen_school/tyosakekka/tabid/1490/Default.aspx ------------------------------------------------------------------ reviewer 3 ------------------------------------------------------------------ ■ 総合点: 4 ■ 確信度: 3 ■ 査読コメント: これが唯一の解とは限らないが,デバイスの実装・デザインおよび性能評価には一定の成功が見受けられる.国際学会での発表が行われているが,内容の新規性・有用性,そして正確性はそれぞれ採択レベルである.手法提案にとどまっており食行動改善に本当につながるのかが実証されていないことは減点に値するとした.精度向上のためには一層の議論・改良・検証が必要であると思われるが,登壇時には合わせて食育ゲームのデザインについてぜひ議論したく思う. なお,この研究がこのまま終結しまうと(あるいは進捗の少ないまま多くの学会で発表されてしまうと)「手法を考えてみた/デバイスを作ってみた」だけの研究になってしまうことを強く危惧する.そうならないようにWISSで適切なフィードバックを与える必要があると考え,そういう意味でも「採択がふさわしく、できれば採択にしたい」ことを意味する総合点をつけた.