■ 論文ID: 32 ■ タイトル: 料理画像をアニメーションすることによる魅力的な料理動画生成システム ■ 著者: 崎山翔平(電通大),岡部誠(電通大),尾内理紀夫(電通大),平野廣美(楽天/電通大) ------------------------------------------------------------------ レビューサマリ ------------------------------------------------------------------ 査読者により評価が分かれましたが,アイデアの独特さとシステムとしての完成度から,採録にふさわしい論文であると判断いたしました. 査読者が指摘していますように,本論文で提案されている手法は,画像処理技術として見た場合,料理画像のみに適用可能なアドホックな技術である印象を受けます.今後,論文の貢献をより明確にしていただき(画像処理分野に貢献するのか,インタラクティブシステムとして貢献するのか,あるいはその組み合わせに価値があるのか,など),それに合わせた評価実験をしていただくと,論文の質をさらに高めていただけるかと思います. ------------------------------------------------------------------ reviewer 1 ------------------------------------------------------------------ ■ 総合点: 5 ■ 確信度: 2 ■ 査読コメント: 技術的新規性こそ少ないものの,問題設定が独創的であること,空腹時の査読を困難にするほど魅力的な料理動画を生成していること,UIがよく考えられている(そして議論に値する)ことの3点を高く評価した.適用領域が狭いことを問題視する必要はないと判断し減点は行わなかった.むしろ商業的にも成功しうる可能性もあると思うし,それも議論可能であろう.有用性・正確性は一定のレベルに達していると判断した.個性が強いテーマ故に,表層的な面白さを狙っただけの研究と誤解されるリスクを持っているが,採択時には本質的で建設的な議論が行われることを期待する.こうした研究がWISSに投稿されて嬉しく思う. ------------------------------------------------------------------ reviewer 2 ------------------------------------------------------------------ ■ 総合点: 5 ■ 確信度: 2 ■ 査読コメント: 本研究では,料理静止画像に対してユーザが簡単なインタラクションを行うことで,泡や形状変化などの効果を静止画像に対して合成することで自動的に料理動画を作成可能なシステムを提案しています.また,ユーザ実験を通して提案手法の有用性を検証しています. 料理静止画像を元に料理動画を生成するというアイデアは面白く,実現システムの完成度の高さ参考動画からうかがえます.論文についても,提案手法のアイデアが丁寧に記述されており,非常に質の高い論文であると思います. 提案手法の有用性を判断する上で最も気になった点はシステムのユーザインタフェースです.筆者らは論文中で数秒から数分程度の時間で各ステップの入力が可能であると主張していますが,システムに熟練していないユーザでもそのような短時間で,ねらい通りの料理画像が生成可能なのかが気になります.参考ビデオにもユーザインタフェースに関するシーンがなかったため,提案インタフェースがどの程度使いやすいかの判断ができませんでした.今後,参考ビデオにユーザが実際にスケッチで領域を指定している部分を入れたり,ユーザ実験を通してインタフェースの使いやすさを評価したりしていただけると,提案手法の有用性がより明確になるかと思います. 以下,細かい点です. − 図4が本文中で引用されていません.4.2節内で引用すべきかと思います. − 本提案手法は,鍋料理や鉄板料理などの,液体が沸騰している料理に対して適用可能だと思いますが,その他の料理について提案手法は適用可能なのでしょうか?提案手法がどのような種類の料理に対して適応可能なのか,提案手法の適用範囲を明確にしていただけるとより良い論文になるかと思います. ------------------------------------------------------------------ reviewer 3 ------------------------------------------------------------------ ■ 総合点: 1 ■ 確信度: 2 ■ 査読コメント: まず、研究動機がきわめて人為的であると感じる。「魅力的な料理動画生成」としているが、リアルさを追求するのであれば、たとえば頭部搭載ビデオカメラを用いれば容易に撮影可能であるし、本論文で述べているような「現実的にはあり得ないが、形状がくずれておらず色彩があざやかな動画」の必要性に対して説得力ある説明がない。 生成されたものも、現実の料理とはかけ離れているという点で、食欲をそそる等の目的にも沿わず、料理人に対する参考にもならず、意図がわからない。 CG技術として、アルゴリズム的に新規のものがあるわけではなく、料理に適用する際のアドホック的なノウハウが述べてある。 評価に関しては、査読審査の対象ではないが、比較対象として実際の料理動画を含まない、被験者は料理とは無関係な一般の工学系学生である、などの点で意味がなく、記載する必要性を感じない。 課題設定から見直し、研究の意義(新規アルゴリズムの提案? 実用性の追求?)を再考することを薦める。