操作の気持ち良さを再現するためのインタラクティブアニメーション分析ツール

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review comment 1
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■ 総合点
3
■ 確信度
1
■ 査読コメント
提案内容の新規性がどこにあるかが明確に主張されていないように思います.分析ツールの機能の中心は明示的に与えられたキャプチャフレーム内におけるキャラクターの位置を継続的に測定しCSVデータとして保存する機能にあり,それを再生表示する点については驚くべき工夫はなされていない印象を受けました.実時間でキャプチャと解析の機能を実装なさった点については努力されていると思うのですが,実装の実績に論文の貢献の中心があるとするのであれば実装技術についての記述を充実していただきたく思います.現状ではかろうじてWindowsで実装されたことが読み取れるのみです.

ツールの設計にあたって,明示的にキャプチャフレームを指定することはいつくかの点で利便性を損うものと思われます.(1) 事前に動きの予測できない場合への対応が困難,(2) 事前に指定したキャプチャフレーム内でプレイするような不自然な制御を強いられる.画面全体でなく明示的に指定したフレームを分析対象とした意図についてご説明下さい.

ご提案は分析のリアルタイム性にあるのでしょうか.このリアルタイム性の利点についてご説明下さい.一方,アプリケーションの動作を映像としてキャプチャし,事後にキャプチャ映像を元に分析する手段もあるかと思います.これらを比較し利害得失を論じていただきたく思います.

図3,図4 において動作を並べた奇跡の視覚化の例が提示されていますが,この研究の目的は動きのモデルを抽出することにあるので,図8-10のような軌跡が得られれば十分のように思いました.アニメーション記録を再生できることの利点についての説明をお願いします.

キー,カーソル操作も記録されているとのことですが,分析においてそれらの情報がどのように活用できるのかという説明がないように思います.また,キー入力がキャラクタの動作に反映される時間の送れを考慮するとキー入力とキャラクタの動作の関係を一般的に自動的に分析することは非常に困難です.ご提案の方法がどのような特殊な条件下において,分析を可能とするかについて言及し,さらに提案の限界についても論じて下さい.

p. 4, 3.2 の直前の段落 「残りスクロール距離の65%を移動すれば近似したアニメーションが実現する」の意味を把握することができません.

p. 4, 右欄,下から2段落目「実際にデータからキャラクターにかかっている重力加速度を算出したところ...」グラフを見る限りジャンプの奇跡はほぼ直線的であり最高地点に達した時点で鋭角的に運動の性質が変化しています.運動は,上昇,静止,下降の三つのフェーズに分れ,それぞれ等速運動と見るのが自然だと思います.加速が見られないところで重力加速度を計算する意味がわかりません.

図10, 前述のように上昇,静止,下降の見つのフェーズについて線分で近似した方が最小2乗誤差をさらに小さくできそうです.図10の再現プログラムは放物線近似を行ったと理解したのですが,図を見るとt=[15, 17]あたりに滑らかでない箇所があります.この原因はどこにあるのでしょうか.

また,現時点での成果に対して標題は誇大と考えられますので,修正をお願いします.現時点までにできていることは,気持ちよいと人間が判断したキャラクタの動きについて,その動きを数値化する点に留まっております.気持ちよさを定量的に判断する能力は実装されていません.再現性の評価は簡易な線形近似に劣るように思われるため主観性が強いように思います.さらに,現在の実装は動きをデータ化するのみで,定量的分析の道具立てにはなっても,それ自体は定量的分析とは言い難いです.

全体に論文の主張に誇張が目立ちます.正確な記述をお願いいたします.
■ レビューサマリー
ショート発表論文として採録すること判断いたしました.最終稿には各査読報告を参考に大幅な修正をお願いします.



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review comment 2
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■ 総合点
4
■ 確信度
3
■ 査読コメント
インタラクションデザインと気持ち良さの関係については、これまで確たる土台が存在していなかった。本論文ではスーパーマリオのジャンプを事例として、その適切な評価が難しいという前提に立ち、定量的評価を行なう技術的基盤を提案した。気持ち良いインタラクションデザインを定量的に説明するための土台を提案する論文であり、高く評価したい。

以上が本査読者の最初のコメントだが、その後査読者間で議論となり、好意的意見と否定的意見とに割れた。本査読者としては否定的意見は論文の修正で対応可能なはずと判断し、好意的意見のままとした。
他査読者がコメントするように、本論文には多くの不備がある。それは本査読者も同意する。他査読者のコメントに従って修正をしてほしい。

・タイトルは問題があるように思う。「操作の気持ち良さを再現するための」は最終的に何を目指しているかを示す部分であり、しかし実際には本論文では「操作の気持ち良さを再現する」ことはできていない。そのため、このタイトルは誇張表現となっている。実際には「操作の気持ち良さを再現することを最終目標とした、インタラクティブアニメーションの記録と定量的分析ためのツールの開発」という内容ではないかと考えている。できるだけ本論文の内容を適切に反映したタイトルにしてほしい。そうしたからといって、本論文の価値は変わらない。

・タイトルが代表的だが、全体的に何ができていて、何ができていないかの記述が不足している。アニメーションの分析のためのツールを作ったことはわかるが、その実装の詳細がわからない。ジャンプの分析を行ったとあるが、分析の手順が不明解である。このような実装の詳細は、本論文の場合は非常に重要である。

・なぜスーパーマリオブラザーズのジャンプの分析を選んだのかの理由がある方が望ましい。ゲーム開発一般において、一見単純に見えるが実は複雑なインタラクションの事例としてよくスーパーマリオのジャンプがあげられるのはたしかにその通りだが、それを裏付ける引用があれば、本論文の説得力は大きく増すと思う(コメントです)。

・アニメーションの定量的な分析を行うことの先行事例は存在しないのだろうか。インタラクティブなものに限らなければ、アニメーションの分野ですでに行われている可能性はあるのではないだろうか(コメントです)。



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review comment 3
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■ 総合点
2
■ 確信度
3
■ 査読コメント
論文の良い点:
操作と一緒に,タイミングが保存され,かつ数値データになって分析できる点が良いです。
プログラミングのデバッグにもある程度は有用だとおもいます。

論文の悪い点:
平面的な動きしか対応できないため,3Dゲームの分析ができない。(5章おわりに,で三次元空間についての記述がありますが,意味が読み取れません)
動きが入力のみで構成されることを前提としているため,
動きがシステムの内部状態に依存するときの分析が難しいです。
たとえば,Bダッシュジャンプの場合,BボタンとAボタンと左右キーが,それぞれ左右方向の加速度と上方向の加速度と方向を独立して決定するシステムなら対応できますが,左右方向の速度がジャンプの高さに影響するようなシステムの場合,何度も記録を繰り返す必要があり,分析が困難です。
キャプチャによる処理の遅れや,フレーム落ちが発生しないかも,若干気になります。
入力操作がON/OFFではなく,量や座標の場合に,一列配置でどのように表現するのかも気になりました。