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review comment 1
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■ 総合点
3
■ 確信度
3
■ 査読コメント
導電性素材を用いたタッチスクリーンの領域拡張自体は既知であり、新規性は無い。
しかしながら、「流行り」のスマートホンを利用したお手軽 HMD キットと組み合わせて、
操作性の拡張(多数のデザインへの対応含む)を容易に行えるという着眼点は面白い。

一方で、実験で示されているのは専門業者に依頼して金属箔や導電性インクを塗布したものであり、ユーザー自身による拡張という面では弱い。
ジャーナル論文化の際には、[10] で述べられているような銀インク等を利用した Homebrew 環境での実装例も合わせて示すべきだろう。
■ レビューサマリー
査読者の多くが、「流行り」のスマホHMDとの組み合わせによる操作性の拡張やハッカソンによる提案デザインの多様性については認めるものの、導電パターンによるタッチスクリーンの拡張は既知技術であること、ユーザーによる簡易な拡張を指向しているにもかかわらず、パターン作成を専門業者に頼む必要があるなどの抜けを指摘しています。将来、論文化を行う場合には、インクジェット回路プリンタでの検証を行うなど、homebrew環境における、デザイン→製作までの一貫した流れを示すなどの補強が必要だと思われます。









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review comment 2
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■ 総合点
2
■ 確信度
3
■ 査読コメント
簡易な構造のHMDにおいて,タッチによるインタフェースをつける,という研究背景と目的はリーズナブルかと思います.しかし,以下の理由により,採録は難しいと考えました.
・HMDに表示された映像をタッチパネルで操作ということ自体はGoogle Glassでも導入されているため,新規性はそう無いかと思います.5章には関連研究が掲載されており,一般的にはここで既存研究との差異を述べるのですが,類似研究が列挙されているのみで,具体的に提案手法と何がどう違っていて,どういう点が有用であるのかが述べられていません.
・Extension Stickerは,スワイプ操作だけでなくシングルタッチの絶対位置も取得できるということで合っていますでしょうか.だとすると,メイカソンでは回転,スクロールだけでなく,これらも組み合わせたコンテンツ作成にしてもよかったような気がします.
・関連して,シングルタッチの絶対位置も取得できる,ということが少し判然としなかったので(本文中では「タッチを取得できると」記載されていましたが,ON/OFFだけなのか,位置も取得できるのかがあいまいでした),明記してもよいかと思いました.
・メイカソンでどんなアプリケーションが出てくるかという評価もあって良いとは思いますが,科学技術論文であれば,そもそもどれぐらいのサイズの入力領域で,ユーザがどの程度の精度のスクロール,スワイプができるのか,なども調査し,設計指針を述べられるとより有用な論文になるかと思います.
・もしこれらが前研究で調査されているのであれば,前研究を引用したうえで,本文で具体的な数値を明記したほうがより読み手にやさしくなると考えました.

そのほか
・図の配置について,図が本文の参照位置よりも先に掲載されているため読みづらい印象を受けました.一般的には,本文の参照→図本体の順番で見るので,本文の参照位置と同じページか,次のページに載せてください.



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review comment 3
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■ 総合点
4
■ 確信度
3
■ 査読コメント
査読コメント:
本論文では,スマートフォンをディスプレイとして利用する段ボール製HMD(カードボードHMD)を対象とした入力手法を提案しています.
入力インタフェースの自由度が低いというカードボードHMDの課題を,先行研究であるExtensionStickerを活用することで解決しています.
提案手法に高い新規性があるとは言えませんが,現実の課題を簡便な方法で解決しており,有用性は高いと評価します.
また,アイデアソンを実施し提案手法の活用事例を模索しているほか,複数の論点を提示しており,WISS採録論文としてふさわしいと考えます.


論文改善のためのコメント、疑問:
提案手法の有用性は十分に理解できます.
その上でさらに,著者らが主張するように,エンドユーザが自由にかつ安価にカスタマイズできるようになることが望ましいと考えます.
この点は論文内でも議論されていますが,現状の実装では箔押しや蒸着などの技法が用いられていることを考えると,家庭用インクジェットプリンタですぐに代用するのは難しいのではないかとの懸念があります.
インタフェースカートリッジに家庭用インクジェットプリンタで直接印刷するのではなく,印刷したパターンをインタフェースカートリッジに貼り合わせることなどを想定していると思いますが,そのような旨を明記すれば,上記懸念が払拭され,議論が深まると考えます.

表記ミスがありましたので,カメラレディ原稿では修正してください.
6ページ左7行目「[2].この」→文献[2]の引用位置がずれています.
6ページ左5.2節の2行目「する手法はInstantInkjet-Circuitsにて提案された[10]」→「Instant Inkjet Circuitsとして」もしくは「Instant Inkjet Circuits」を文の先頭に持ってくる.

また,本論文投稿後に下記の論文が公開されています.
今回のカメラレディ原稿に含める必要はありません(以後関連論文を投稿するに当たっての参考情報です).
B. Smus, C. Riederer, "Magnetic Input for Mobile Virtual Reality," Proc. ISWC '15.