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査読者 1

総合点

9

確信度

3

コメント

本論文は、プロジェクタを用いてボールへの映像投影と、ボールに内蔵されたセンサによるユーザとのインタラクションが可能なシステムである。移動物体に対して、一般的なプロジェクタとモーションキャプチャシステムを用いて映像の投影に成功している点を評価する。またボールへの投影の遅延の補正をしている点などエンジニアリングの努力を感じ、また実際に国際会議の場などでデモンストレーションを行っており、運用できている点についても高く評価したい。

ボールの自己位置検出ができていることから、ただのトラッキングと投影だけでなく、空間中の位置に応じたコンテンツも提示できるようになると、ボールに内蔵する手法のプロジェクタと比較した際に、装置の耐久性の軸以外で差別化ができると感じる。またアプリケーションの幅も広がると思う。

また一般的に購入可能なプロジェクタやモーションキャプチャでシステムを構成できる利点を生かして、オープンソースなどの展開ができると、多くのユーザにアプリケーションを開発してもらえると思う。

採録判定時のコメント

一般に購入できるプロジェクタとモーションキャプチャで完成度の高いシステムを構成している点、ボールへの投影の遅延の補正をしている点、また国際会議などでの実運用(デモンストレーション)が評価され、ロング採録となりました。一方で、動作検出や投影の遅延による操作性への影響や、参照文献の少なさに加え、誤字脱字等も散見されるため、推敲の上で国際会議などへのフルペーパ投稿に繋げてください。

レビューサマリ

全体の構成: プロジェクタとモーションキャプチャシステムを用いたボールへの映像投影と、ボール内蔵型のセンサシステムによるインタラクション検出を、無線化された状態で可能とするものである。 評価すべき点: ・移動物体に対して、一般に購入できるプロジェクタとモーションキャプチャシステムを用いて映像の投影に成功している点を評価する。汎用機器で構成するために生じるボールへの投影の遅延の補正をしている点についてもエンジニアリングの努力を感じ、結果的に完成度の高いシステムになっている。また実際に国際会議の場などでデモンストレーションを行っており、運用できている点についても高く評価したい。 改良の為のコメント等: ・ボールの自己位置検出ができていることから、ただのトラッキングと投影だけでなく、空間中の位置に応じたコンテンツも提示できるようになると、ボールに内蔵する手法のプロジェクタと比較した際に、装置の耐久性の軸以外で差別化ができると感じる。またアプリケーションの幅も広がる。 ・WISSは特に評価実験を必要としていないが、投影遅延の操作性への影響については、議論や実験の掲載があると、より説得力が増すだろう。 ・関連研究の章が短く研究の位置付けが不明確である。例えば[a]の研究などは引用のうえ、違いについても議論すべきである。 [a] http://www.k2.t.u-tokyo.ac.jp/mvf/LumipenRetroReflection/ なお、全体的に論文中に誤字脱字が多い。論文投稿前に一度読み直して確認すべきであろう。 その他: 一般に購入可能なモーションキャプチャやプロジェクタを用いてシステムを構成できる利点を生かして、ぜひオープンソースなどで配布を検討してほしい。テクノロジとスポーツの融合研究は特に近年盛んに研究されているため、そういった開発者が開発可能となるとアプリケーションやゲームデザインの幅が広がると思われる。

その他コメント

査読者 2

総合点

6

確信度

1

コメント

評点の根拠:
球体型のディスプレイに投影する手法や、それを使ったインタラクションについての提案は興味深く、添付の参考ビデオからは提案手法によるプロトタイプの実現可能性が確認でき、移動物体への投影に成功している点は評価できる。本文中のインタラクションを実現する具体的な方法についての記述が不十分、また、予測方法を用いたプロジェクタ投影時の遅延についての議論がなされていなく提案手法の有効性に疑問が残るので発表時に補足して頂きたい。


論文改善のためのコメント、疑問:
ボールのインタラクションとして4つのプリミティブ動作が実装されているが、バウンドや投げるの動作はどのように検出し、実際のどの程度の遅延が発生するのでしょうか?また、図7のようにある人からある人へ投げ受け取ったという状況はどのようなセンサ情報を利用して判定しているのでしょうか?

動画中の最後のモンスターをゲットするためにスクリーンにボールを投げる際に、投影される映像がかなり乱れているように見えるのですが、プロジェクタ投影時の遅延はどの程度まで許容されるのかの議論が欲しいです。

全般的に誤字脱字が目立ちましたので、共著者と共に投稿前のチェックをしっかり行って
頂きたいです。。
以下のタイポがありましたのでご確認ください。
- p.1 直方体の全面に画面を表示を行えば 6 視点からの立体映像を表現することができるが → 画面表示を行えば
- p.5 ボールを手で保持したり接触操作を行ったりする際
にボールが手で部分的に隠れしまい → 隠れてしまい
- 参考文献の4と5は同じ文献ではないでしょうか。

査読者 3

総合点

7

確信度

2

コメント

球体ディスプレイに、タッチ操作や回転、投げるといった球体特有の動きを検知できるセンシング機能を組み込む提案である。これまでに球体をディスプレイ化する研究は数多くあった(本研究のベースとなったと思われる著者らの[4]も含む)が、そのような情報の出力と、ユーザ操作などの入力を両立するデバイスを実現したところに、本研究の新規性がある。実装の完成度が高く、ロング採択してもよいと考える。

論文は、誤字脱字などのケアレスミスはあれど、趣旨が伝わりやすいようよく書けている。ただ、関連研究の章は短すぎる。ロングでページが半分余っているので、研究の文脈をもう少し紹介してほしかった。
例えばLumipen 2 [a]などは球体ディスプレイの一例として挙げてもよかったように思う。
[a] http://www.k2.t.u-tokyo.ac.jp/mvf/LumipenRetroReflection/

本手法によるアプリケーションを開発する者の目線でみると、どの程度小型化できるのか、バッテリーはどの程度持つのか、耐衝撃性はどの程度あるのかなど知りたいことは尽きないが、これらはワークショップペーパーの枠を超えるとも考えられる。今後の国際会議論文などを楽しみに待ちたい。