査読方針

WISS2017 における変更点について(採録区分と「採録判定時のコメント」)

従来の学術会議の場合、掲載される論文には「過不足の無い」厳格な記述が求められる為、「ロングペーパー(主に6〜8頁)」と「ショートノート(主に4頁)」は投稿時から明確に区別されていました。結果として、「ロングペーパとしての採録には至らないが、**の部分はショートノートとしての採録に相応しい内容を含んでいる」ような論文が「不採録」となってしまい、発表の機会を失ってしまうことがありました。一部の会議では、このような論文に対し、「ショート採録で良ければ、4頁にして再提出」という処置も行われていますが、限られた時間の中で大幅な修正を行う必要があるのに加え、修正後の委員会による再チェックも十分にできない為、結果として(著者・学会側双方にとって)中途半端な内容になってしまうことが多々ありました。「ワークショップ」であるWISSの場合、「学術論文」としての完成度よりもアイディアや速報性を重視し、残った疑問点については本会議中での議論に委ねることにしたいと考えます。

その為、WISS2017 では、登壇発表の査読&掲載プロセスを下記のように変更します。

  • 投稿論文は採録会議において、以下の 採録区分 に基づいて判断されます(採録区分はプログラムのほか、掲載論文の第一ページ右肩部分に表示されます: 論文サンプル )。
    • ロング採録 (6頁):WISSでロングペーパとして採録されるにふさわしい
    • ショート採録 (6頁もしくは4頁):WISSでショートノートとして採録されるにふさわしい内容を 含んでいる
    • 議論枠採録(6頁もしくは4頁):論文内容や著者の考え方について意見が分かれており、じっくりと議論が必要(発表では、議論の為の時間を長く取ります)
    • 不採録

※本会議における発表時間は、上記 採録区分 とは別に決定されます(プログラム確定時に通知)

  • 内容によっては、6頁論文でも「ショート採録」になることがあります(4頁で「ロング採録」はありません)。
    • 6頁論文で「ショート採録」を望まない場合は、投稿時にその旨を明示してください(この場合、ロング採録もしくは不採録となります)。
  • 採録された場合、カメラレディの提出を行います。この機会を利用し、査読コメントを参照の上、論文のブラッシュアップを行ってください。なお、6頁論文のショート採録時でも、ページ数を削減する 必要はありません
  • 場合によっては、特定の修正を採録条件とすることがあります。この場合、採録条件を明示すると共に、カメラレディ提出期限を少し早め、委員による再査読を行います。
    • 再査読の結果、採録条件を満たしていないと判断された場合、「不採録」となります(2度目の修正プロセスはありません)。
    • 委員による「シェファーディング」が行われることもあります。シェファーディングの内容に同意できない場合、速やかに委員にお知らせください(この場合も「不採録」となります)。
  • 余分な記述については(明らかな誤りが含まれており、読者に誤った情報を与えると判断された場合などを除き)評価対象としません。
  • 誤字脱字や参照の不一致が散見されるなど、最低限の推敲が為されていないと判断された場合、査読を行わずに不採録となる場合があります(Quick Reject)。十分にチェックの上投稿ください( 共著者によるチェックも投稿前に受けてください )。
  • 採録判定時のコメント」を公開:全ての採録論文について、どの部分が評価の対象になったのか(あるいはならなかったのか)を公開します。採録論文を読む場合は「論文本体」と「採録判定時のコメント」をセットにして見るようにしてください。
    • 採録判定時のコメントは、プログラムやプロシーディングスの目次欄に、上記 採録区分 と共に掲載します。以下はコメントの例:
採録判定時コメント

眼球の放射赤外線(筆者曰く:眼ぢから)を検出して機器コントロールを行うアイディアは面白く、プロトタイプもしっかり作られている。 しかし、ユーザースタディ部分(4章)は実験条件が恣意的であり、結果分析手法も統計学的に誤っている(詳細はレビューサマリ参照)。 また、アプリケーション例(5章)はadhoc的であり、提案手法で無ければならないという説得力に欠ける。以上の結果から、ショート採録と判断された。

  • 全査読コメントへのURLを各論文の最終ページに差し込み掲載:採録された登壇発表論文については、従来から全査読コメントをWISSのWEBページ上で一般公開していましたが、リンクが同ページ上にしか無い為、アクセス性に難がありました。WISS2017では、採録論文pdfの最終ページ下部に査読コメントのURLを差し込み掲載し、各種レポジトリ等に論文が置かれた場合でも容易に参照できるようにします。URLの掲載例については WISS2017 論文サンプル の最終ページを参照ください。

但しこれは、研究途中の成果を議論するワークショップとしての特別措置であり、論文誌や国際学会で発表する場合には、過不足の無い適切な記述を行うことが求められます。「採録判定時のコメント」、並びに各査読者のコメントや発表時の議論を参考に推敲を行い、論文誌や国際学会での発表に繋げてください。

WISS2017査読方針

  • 登壇発表は、査読により採否を決定します。査読者がどのように評価するかは 査読フォーム をご覧ください。
  • 投稿論文には 著者や所属を明記 してください(シングルブラインド査読)。 著者らの関連論文を Reference から削除する必要はありません。
  • 採択された論文の査読結果は、論文とともに インターネット上で公開 されます。これは、査読結果という重要なリソースを、プログラム委員内だけでなくコミュニティ全体で共有することにより、今後、論文や査読を書く際の参考にしてもらうためです。また、公開を前提とすることで、より建設的な査読が行われることも期待しています。なお、不採択となった論文の査読は公開されません。
  • ワークショップの本質は「議論」であり、仮に荒削りであっても未来を切り拓くような研究、議論を呼ぶような研究であれば、研究の完成度が低くても採択の可能性があります。
  • 発表する内容がインタラクティブシステムあるいはソフトウェアそのものである場合には、それが既に 実装済みであることを投稿の必須条件 とします。実装済みであることが判断できる説明を論文中に記し、写真やビデオなどによってその動作を確認できるようにしてください。
  • 評価実験の扱い:WISSでは「評価が行われていない」ことを理由として減点とはしませんが、有意義な評価がなされている場合には、同じ内容で評価が無い場合よりも高得点となります。但し、評価手法に明らかな問題があり、読者に誤った情報を与えると判断された場合、減点対象となります。
  • 国際学会・国際ジャーナル等で発表済み・あるいは投稿中のものでも投稿可 とします。但しこれはあくまで「WISSとしては二重投稿とは見做さない」ということであって、先方の国際会議等が二重投稿と見做さないことまでを請け合うものではありません(心配であれば、先方に確認願います)。
  • 国内ジャーナル・国内研究会・国内学会等については、参加者にとって有益であると思われる場合には採択します(但し、情報処理学会シンポジウム「インタラクション」等、同種の会議で登壇発表済の場合は、参加者のオーバーラップが多く、発表形態が同一なため、採択は難しいと思われます。逆に、他分野で発表された興味深い内容などは積極的に採択したいと思います。最終的には委員会での判断になります)。なお、WISSでの発表はあくまで口頭発表としての扱いであり、その後の査読付き学会・論文誌への投稿を防げない ものとします。
  • 既発表・発表予定(採録済)・投稿中 を含め、自身の関連発表については本文中での言及と参照文献の掲載を行ってください(意図的な不掲載は、不正と見做される場合があります)。
    • 国際学会・国際ジャーナル等で発表済みのものは、本文中で言及し、参照文献として掲載
    • 国際学会・国際ジャーナル等での発表が確定したものは、本文中で言及し、参照文献に「(発表予定)」等として掲載
    • 国際学会・国際ジャーナル等に投稿中のものは、本文中で言及し、参照文献に「(投稿中)」等として掲載
    • いずれの場合も CameraReady 提出時に、最新の状況に更新してください(投稿期間中に「不採録」が確定したものについては、本文及び参照文献から削除願います)
  • どんなに新規性の高い面白い研究であっても、記述の質が著しく低い場合(説明が理解できない、必要な情報が書かれていない、既存研究との差分がきちんと説明されていない等)は採択できません。論文の主張点を明確に記述するだけでなく、従来研究を充分に調査して参考文献として挙げた上で、研究の位置づけを専門外の人にもわかるように記載願います。
  • 未来ビジョンについては、本年は必須とせず自由記載とします。論文本体とは別に、「この研究はどんな未来を切り拓くのか」について、著者の視点からアピールしたい点があれば、「未来ビジョン」節を設けて自由に議論してください。査読にあたっては、基本的に論文本体のみを対象とし、未来ビジョン部分は査読の対象外とします。自由に論じて頂いて構いませんが、本文のページ数を圧迫しないようにご注意ください。ただし、説得力のある未来ビジョンが提示されることによって、論文の価値が高まっていると判断された場合には、プラス評価が与えられることがあります。
  • 採択された論文の中から、雑誌論文としてふさわしいと判断されるものを、ソフトウェア科学会会誌「コンピュータソフトウェア」へ推薦論文として推薦します。そのままでは雑誌論文としては問題があるが、適切な内容の拡充(評価実験の追加など)があれば採択できると思われるものも、その旨を査読結果に明示した上で推薦に含めるものとします。推薦する論文の本数については採録論文中1/2~2/3程度を考えています。推薦論文として投稿された論文(〆切はWISS開催の翌年1月)は、論文誌編集委員会で独立した査読を行い採否を決定しますが、できるだけWISSの査読者と同じ査読者に割り当てるようにします。発表時期は、査読の進行状況によりますが、なるべく翌年8月号での出版を目指します。
  • 1つの論文につき、最低3名のプログラム委員が査読を行います。必要な場合には、外部の専門家にも査読を依頼したり、査読者を追加したりすることがあります。採録の判定は、単純に評価値のみで行うのでなく、プログラム委員会における議論によって行います。また、プログラム委員会において論文の採録判定を行う際には、当該論文の利害関係者は席を外します。
  • デモ・ポスター発表は、査読はありませんが、枠が限られているため、応募件数によっては早期に締め切る可能性があります。登壇発表における「実装済みであることが投稿の必須」は、デモ・ポスター発表では必須条件ではありませんが、学会発表である以上、単に思いつきだけでなく、議論に値するだけの材料・根拠をそろえた上で投稿してください。
  • 優秀な登壇発表、デモ・ポスター発表については表彰します。
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