論文一覧に戻る

査読者 1

総合点

6

確信度

3

コメント

ダンスモーションをつなぐDJ式インタフェースとして,楽曲をつなぐように,ユーザがモーションデータを接続可能なシステムであり,非常に興味ある取り組みだと感じた.

【新規性】
細かな点を抜きにして,提案手法そのものが新しい試み,挑戦であるため,この点を高く評価します.
トランジション関数の説明は文献参照になっているのですが,まったくそのままなのか,本研究での改善,改良が
あるのかが読み取れませんでした.必要であればこの点に関してもう少し説明を追記しても良いと思います.

【有用性】
リアルタイムでCGキャラクターを音楽に合わせてダンスさせたい,という需要は少なからずコミュニティの存在からも一定の有用性は担保されると思います.一方で,一部のユーザに限られた需要でもあるので,放送局や番組制作等,もう少し幅広い観点から本研究の応用を論じられると良いかと思います.査読者のみかたが悪いのかもしれないのですが,映像中のMixing比較がよくわかりませんでした.

【正確性】
システム図の構成や説明がよくわかりませんでした.特に楽曲のテンポを示す欄はどのように見ればよいのかわからず,説明が不足していると感じます.図3も軸に単位がないので,理解し難いです.4.1についてですが,図と合わせて説明される方がわかりやすいかと思います.少し読みづらいです.

【その他】
こまかなことなのですが,図2のaudience viewに,mixingの文字がでていますが,これは図の説明用に追加したものなのか,そもそもAudience用にそのような表示がでているのか,混乱します.

採録判定時のコメント

CGでできたダンスモーションのリアルタイムリミックスに関して、DJ方式インタフェースを利用し、楽曲を繋ぐようにモーションデータを接続可能なシステムの提案。着眼点がユニークであり、実装とライブパフォーマンスを行っている点などが評価された。一方で、システムの適用先が若干ニッチであること・システムの有用性が読み取りにくいことなどの問題があり、ショート採録と判断された。

レビューサマリ

以下の項目に関し,採録条件ではありませんが,カメラレディ提出迄にできるだけ修正してください.

1.実時間ダンスパフォーマンスの価値に関する議論
 CGキャラクターのダンスをリアルタイムでリミックスすることの価値に関して,査読者間で疑問が生じました.1節での説明は主に,本研究が技術的に挑戦されてない領域であることを説明していますが,実時間ダンスパフォーマンスを実現することの価値そのものに関しての議論が抜けています.そこで,本システムに関するユーザの想定シナリオ,またはペルソナ等でも結構ですので,本手法を用いることでどのような付加価値があるのかを追記してください.

2.トランジションのある無しの差分について,追記をしてください.
 提案手法とプロトタイプを用いての比較はよくまとまっていますが,開発手法によるトランジションのある無しについて,論文を読む上ではいまいちどう有効なのかが判断できません.動画を確認すると,1:00の箇所で,問題のあるMixing結果が示されているように,論文中でもコマ割りでよいので,トランジション関数のあるなしで,ユーザがどれだけスムーズにダンスをつなげることができているのかをわかりやすく図示してください.

3.その他
 各査読者の査読コメントを参照し,技術的な誤り,表記誤りの指摘に対して対応してください.それ以外については,可能な範囲でご対応ください.

その他コメント

査読者 2

総合点

5

確信度

1

コメント

ライブパフォーマンスにおけるユーザと観客双方の盛り上がりに寄与しそうであることは理解でき、可能性を感じますが、本研究の動機がよく理解できません。

クラブミュージックの空間にバーチャルなキャラクターを組み合わせて、音楽に合わせたダンスを提示することでホールを盛り上げたい、という動機だとすると、投影されているキャラクターの動きを滑らかに繋ぐことは意義があると言えます。

一方で、提案手法ではAとBの2つのダンスを滑らかに繋ぐための、適切なタイミングを提示できているので、人間がリアルタイムに操作して繋ぐ必要があるのか(自動的に繋ぐことはできないのか)、疑問が残ります。

2つのダンスのタイミングを合わせて繋ぐという操作が、ユーザにある種のゲームのような感覚をもたらすことで、うまくいった場合の満足感を高めながら映像演出ができるのは、ユーザにとっての満足度を高めますが、観客が置き去りになっているような印象を受けます。実際、評価実験では観客の評価はあまり高いとは言えません。

このシステムが利用される状況についての理解が不足しているためかもしれませんが、上記のような疑問を解消するような補足の説明がなされることを期待します。

査読者 3

総合点

7

確信度

1

コメント

 本研究では,ライブパフォーマンスのためのキャラクタのダンス編集・演出システムを提案・実装し,観客側,システム利用者側の2つの異なる視点からプロトタイプシステムとの比較評価を行い,特にシステム利用者側の結果から提案システムの方がダンス間を自然につなぎ,音楽との同期性が高く,生成結果の満足度も高いという結果を得た.なお,このシステムでは,プロトタイプ実装後のシステム利用者へのヒヤリング結果から,異なるダンス間のつなぎの自然さ,ダンス間での適切なつなぎのタイミングの提示に問題があることを明らかにし,それぞれ,TransitionFunction,ビジュアルガイダンスの機能として実現している.
 ライブパフォーマンスでという点の着眼点にも新規性があり,また,プロトタイプシステムでの課題を明らかにし,それに対する2つの機能を実装し,最終的な実装システムも研究の目的とあったものであり,先行研究との差分も十分であり,最終的な評価実験から実装した機能の有効性,ダンスの生成結果の満足度の高さも示されており,さらに,著者らが想定するライブ環境でのデモも行っている点から,提案手法の有効性,有用性も十分に示されており,ロング採録でも良いのではと判断しました.
 論文改善点としては,非常に細かい点ですが,以下を上げますので,対応可能な点は修正等の検討をお願いいたします.
・TRAKTOR KONTROL S2は実在商品と思いますので,それわかるように例えば脚注でメーカ名等を上げるなどしておく必要があるかもしれません.
・1章に「ダンスと音楽のそれぞれのビートを評価する」,「ビートと音楽の類似性を考慮して音楽をミックスする」という点について何を評価するのか,類似性は何かがちょっとわかりませんでしたので,修正をご検討ください.
・DanceDJの全体の構成(特にDJのプレイ情報(ビート情報)との関わり)が本文中で簡単に述べられていますが,ややわかりにくいと思いますので,動画にある図を載せても良いのではと思います.
・3.1のマッピングの値について,値が違うとダンスにどれだけ違いが出るのかが(ユーザ側にも)わかりにくく,ユーザがどの程度意識して(クロスフェダーを)使用しているのかが個人的に気になりました.システムの操作になれないと使いこなせないインタフェース上の機能もあるように思いますが,その点,実験等で考慮した点や実際に観察された点があれば説明していただけると良いと思います.
 また,発表時には(間違いなくあると期待していますが)是非ライブっぽいデモをしてください.期待しています.