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査読者 1

総合点

5

確信度

2

コメント

本稿では円筒面に取り付けることを目的とした、M系列を符号化したバーコード光学マーカを提案し、和服帯AR試着システムにて提案手法の有用性を示している。

M系列を符号化したバーコード生成手法については参考文献[5]にて既に提案されており、本研究の主たる提案部分は、バーコード光学マーカを円筒面に貼り付けた際にどの程度認識精度が担保できるかを検証することであると考えられる。しかし、4.1の実験では、AR試着システムの有用性評価にとどまっており、実際にマーカーとしての精度について十分な議論がなされていない。

しかし、円筒面にバーコードを添付し、和服帯を試着できる試着システムとしての提案は新規性があり、今後の発展が期待できるためショート発表にて会場での議論を期待する。


論文改善のためのコメント、疑問:
・3.1にて実験ではp=4のM系列数列を用いる旨がかかれているが、論文中3.2ではp=3とした場合のバーに対する回転角度や、議論がなされている。p=4の場合を記載する方が読者にとって有用であると考える。

・円筒のrが大きくなるにつれて端部分の歪が多くなることが予想される。その際は、認識できる部分は中心部分のバーコード部分に限られ、既存のQRコードやKinectを利用する場合に比べ本提案手法を使った場合の有意差が小さくなると思われるが、そのあたりの制約についての議論が欲しい。

・3.1ポリゴンを複数し → ポリゴンを複製し

採録判定時のコメント

円筒型M系列マーカーの提案や、特徴を生かしたAR和服着用システムへの応用には新規性・独自性が認められる。一方で本論文は、「AR試着システム」としての有用性評価に留まっており、提案の主体である 円筒型M系列マーカー 自体の有効性(従来の平面マーカー(群)とのトラッキング精度の比較など)の議論が不十分であり、ショート採録と判断された。

レビューサマリ

提案された円筒バーコードは物体の回転移動や見る側の移動を踏まえた認識が行える点で有用である.しかし,論文中の写真・動画での使用者が取った姿勢は若干システムに有利に働くもののように見受けられ,提案するM系列マーカがどういった環境下でどの程度の精度を担保できるかといった実用性についての議論が不十分であり,信頼性にかけると言わざるをえない.応用例として取り上げたAR和服着用システムは実用性が高いと考えられ,この応用に対して考えらえる疑問への対応も踏まえ,提案マーカの性能を報告するとともに今後の発展に期待する.

その他コメント

査読者 2

総合点

7

確信度

3

コメント

円筒バーコードを提案しており、実際の応用例としてAR和服着用システムを実現している。
バーコードには部分数列が1度しか現れない、M系列を使用して、バーコードとして貼り付けるなど
うまく工夫した円筒バーコードを提案している。

応用例は和服の帯に関する仮想試着であるが、帯は何度も結んだりすることも難しく、こういったシステムによる仮想試着が適している良い例である。

シンプルな提案であるが、技術的にも工夫されており、新規性も発展性もあると考え、採録を推す。

査読者 3

総合点

4

確信度

2

コメント

本論文は,円柱型物体に対して回転を考慮した認識を行うために,既存研究で提案されていたM系列バーコードを円筒へと対応させるとともに,その応用対象として着物帯のAR試着システムを構築している.
著者らが述べる通り,円柱型物体は日常に数多く存在しており,これらに対して物体の回転移動や見る側の移動を踏まえた認識が行える技術は,AR技術においては有用なものであると考えられる.
また,一定範囲までの遮蔽にも耐えうる点は認識技術としては好ましい.

しかし,提案するM系列マーカが
・どの程度の遮蔽率で
・どの位置を隠されると
認識しなくなるか、といった性能の定量評価が本論文では報告されていない.本会議はこのような評価は絶対ではないが,下記の点も踏まえて,追記を期待する.

また,今回対象とした和服におけるAR帯装着を提案しているが,論文中の写真・動画での使用者が取った姿勢は若干システムに有利に働くもののように見受けられる.
具体的には着物の袖の丈がさまざまである(留め袖と振袖でも異なる)うえ,着物袖の柄と見比べる場合には袖を回し上げずに垂らした状態で画面を見ると考えられる.
この応用に対して考えらえる疑問への対応も踏まえ,提案マーカの性能を報告することを強く推奨する.