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査読者 1

総合点

5

確信度

2

コメント

テキストに対する視点誘導のための強調手法の提案として「にじみ」を利用するという
アイデアに新規性があり、実験からも有用性が明らかになっています。


ただ、「自然な視線誘導を用いて視線を元に戻す方法」
を提案としていますが、イントロダクションの中ではそのモチベーションも含めて
おまけのような記述しかされておらず、主張点が明確でありません。
視点をもとに戻すというのは、視点誘導の事例のひとつだと思うのですが、
視点誘導の効果の検証のためにこのシステムを構築したのか、
それとも、視点をもとに戻すシステムの提案がこの論文の一番の主張点なのか、
タイトル、イントロ、結論ではっきりさせた方がよいです。


実験結果、効果に関しては、動画を見ても正直よくわかりませんでした。
もう少しじっくり見せていただけると助かります。
実際にフィルタをかけたテキストの全体像(せめて3段落くらい使って違いが分かるように)が
論文中で例示されているともう少しその効果が理解しやすいかと思います。
(図6は小さすぎてわからないです)

また、実験結果が視点誘導による効果なのか、場所を記憶しているためにすぐ戻れるのか、
現在の実験では違いが明らかではないと思います。

「エッジ情報を多く含むコンテンツ」という表現を使っていますが、
は文字以外に面白い事例があると手法の汎用性をより主張できる気がします。


=細かい点
・図7の見方が分かりません。説明を入れてください。
・図11の本文中での解説で棒の色の説明が間違えています。

採録判定時のコメント

文字のようなエッジを持つ対象に対する自然な視線誘導の手法として、2種類の にじみフィルタを提案している。アンケート評価と行動評価を併用し、提案手法の有用性が示されている。関連研究の参照による新規性の主張も適切である。一方で、現状の実験では有効性に不明確な部分がある・論文の主張点があいまい等の問題も散見される。以上の理由から、ショート採録が妥当と判断された。

レビューサマリ

本論文では文字のようなエッジをもつ対象に対して自然な視線誘導の手法として、
を対象をぼかす、2種類のにじみフィルタを提案し、実験により有用性を確認している。

アンケート評価と行動評価を併用し、視線の誘導効果と読みやすさの双方を持つフィルタの最適値や、
にじみフィルタの効果が表れる条件は明確にされており、提案手法の有用性は明らかにされている。
ただ、評価実験では、文章の場所を記憶してその付近を探索しているようにも見えるため、
視点誘導の効果なのか現状の実験では若干有効性に不明確な部分もある。

関連研究も適切に参照し、本提案手法の新規性について十分に理解することができる。

ただ、論文自体の記述の質に若干の問題が散見される。
論文の一番の主張点が、「視線誘導」にあるのか、「視点をもとに戻すシステム」にあるのか、
「はじめに」における主張が明確でない。
図の表記や文章の記述が理解を妨げている部分が散見される。

その他コメント

査読者 2

総合点

7

確信度

1

コメント

本研究では,エッジ情報を含むコンテンツに対して自然な視線誘導を行わせ,視線を元の位置に戻す方法として,にじみフィルタを提案している.また,2種類のにじみフィルタを実装し,にじみの強度の違いによる視線の変化や文章の読みやすさ等の検証を行っている.
実験において,アンケート評価と行動評価を併用し,視線の誘導効果と読みやすさの双方を持つフィルタの最適値や,にじみフィルタの効果が表れる条件は明確にされており,提案手法の有用性は明らかにされている.また,現在のリミテーションや応用例も議論されており,本論文は採択に値すると考える.

一方で,図の表記が理解を妨げている部分が散見された.例えば,図2は提案手法と先行研究の手法を適用した図が混在しているが,どれがどの手法を適用したものなのか,図を大きくして明確に記述した方が読みやすいと思われる.また,4ページに2カラムにわたる表や図が入っているが,どちらかのカラムに図表を収めるか,図8と9の位置を逆にするなどして,混乱を避けるように配置して欲しい.

査読者 3

総合点

6

確信度

2

コメント

本論文では文字のようなエッジをもつ対象に対して自然な視線誘導の手法を提案している。論文では従来のブラーで非注目領域をぼかすのではなく対象をぼかす、にじみフィルタを提案し、実験により有用性を確認している。また、関連研究も適切に参照し、本提案手法の新規性について十分に理解することができる。

3章にて,フィルタ効果を除々に弱めることで急激な画面変化を防ぐという記述があるが,具体的にどのようにフィルタ効果を弱めるかについて言及がない.にじみの程度を徐々に減らすかと想像できるが,具体的に何ピクセルづつ,何秒で変化させるのかについて述べる必要がある.

評価実験では,一連の文章を音読させ,暗転後,続きの文章に復帰させているが,文章の場所を記憶してその付近を探索しているようにも見えるため,ランダムな箇所へ視線を誘導できるのかという実験も今後行うことを期待する.

論文改善のためのコメント、疑問:
・句読点が適切でないため、読みづらい箇所がいくつかありましたので、原稿の推敲を期待します。
・2章、写真のみぼかし制御
 →2章、写真のみ,ぼかし制御
 →2章、写真のみにぼかし制御