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査読者 1

総合点

5

確信度

3

採否理由

視覚障害者向けの電子書籍読み上げインタフェースが提案,実装されています.
当事者の視点に立った議論の上に提案と評価が行われており,真に必要とされる研究として評価できます.

技術的課題としては「見ないと押せないようなボタン」をどう回避するかが大きい点と思います.これに対してオーソドックスながらもスライダ,ダイヤル,モーションの3種類を網羅して実装してあることは強みと考えます.

読み上げ技術そのものが強力であるため,UI設計の効果や新規性はやや弱く感じますが,素早い公知と幅広い利用が望まれる有用な研究と考え,ショート採録が妥当と判断しました.

この研究をよくするためのコメント

関連研究では視覚障害者のための文字入力支援が挙げられていますが,
本研究に近い性格のものとしては読み上げによって視覚障害者を支援するインタフェースも挙げられそうです.画像認識や地図ナビゲーションとの連動するものなどが関連すると思われます.

電子書籍に特化することを考えると,ページをめくるという動作には「前1/4」など割合でのジャンプができる利点がありそうです.提案手法はインクリメンタルな移動がメインですので,このような操作もあれば相乗効果があるのではと思います.また,実用上は単語検索などが有効そうです.

評価について,どのような書籍を読んで貰うか,また当事者は何を読みたいかと言った要素から文書を決めることが有用と考えました.小説にとどまらず,説明書やニュースなどの読み上げではいくつかまだ技術革新の余地がありそうに思われます.

採録判定時のコメント

視覚障害者向けの電子書籍読み上げインタフェースが提案,実装されています.
当事者の視点に立った議論の上に提案と評価が行われており,真に必要とされる新しい研究として評価できます.

「見ないと押せないようなボタン」をどう回避するかが技術的課題として挙げられています.これに対してオーソドックスながらもスライダ,ダイヤル,モーションの3種類を網羅して実装してあることは強みと考えます.

読み上げ技術そのものが強力であるため,UI設計の議論や新規性はやや弱く感じますが,素早い公知と幅広い利用が望まれる有用な研究と考え,ショート採録が妥当と判断しました.

レビューサマリ

査読者間で一致してショート採録相当の判断となりました.

新しく,また社会的に重要な試みにチャレンジしている点,実際に当事者に試用してもらって評価を行っている点は強みとして挙げられます.

一方で,記述にミスが多い点が問題として挙げられています.採録にはこれらの修正が必要と考えられ,条件付き採録との判断になりました.査読コメントの「[論文自体の記述の質]」の箇所で列挙されている箇所をはじめとして,誤植や日本語の間違いを修正することをショート採録の条件とします.

その他コメント

論文の弱点としてUI設計の根拠や効果が不透明である点が挙げられました.読み上げ機能自体が視覚障害者支援として既に強力ですので,今回の提案が新たにどのような効果を持つのかの議論は,今後の研究の発展につながると考えられます.

査読者 2

総合点

4

確信度

1

採否理由

視覚障害者のための電子書籍用のUIの提案という、新しい研究テーマに取り組んでいるという点で、新規性の高さを評価します。被験者は2名と少ないですが、実際に視覚障害のある被験者による評価実験を行っている点を高く評価します。また、インタビュー結果から3種類のインタラクション方法について長所・短所をわかりやすく整理している点も評価します。

一方で、以下のような懸念点があげられます。

[正確性]

読み上げる速度を変更する際に、0.3pxごとに速度が変わるような実装になっていますが、値が小さすぎて、段階的に速度を上げるのはほぼ不可能ではないでしょうか。参考ビデオの中でも、段階的に読み上げ速度を速くしたり遅くしたりする様子が見られなかったので、この疑問は解消されませんでした。文章選択や付箋の付け外しでは、100pxや150pxといった数値を採用した理由が述べられているにも関わらず、読み上げ速度に関しては0.3pxという数値の根拠が述べられていないことから、なにか不都合なことを意図的に記述してないのでは、という印象を受けました。実装上の都合であっても、論文の正確性を高めるために他の機能と同様、数値の理由を記載すべきです。

実験に参加した2名の被験者の属性を記述すべきかと思います。年齢や性別に加えて、電子書籍の利用頻度、スマートフォンの使用の慣れ度合いなどを記述することで、提案システムの有用性や限界についてより深い議論が期待できます。

[論文自体の記述の質]

誤植、日本語の不自然な箇所が多く、記述の質は非常に低いです。いかに優れた研究成果であっても、論文の記述の質が極端に低い場合、不採録とする理由に十分なりうるので、投稿前の共著者間での論文の入念なチェックをすすめます。少なくとも以下の点に不備があります。

- 1章:サービスによるる音声ガイド
- 3.1節:表示された文字が図を視覚によって認識
- 3.1節:1度に
- 3.1節:文章の内容に沿ってに区切っている
- 3.1節:文章の内容に沿って区切っている単位を扱う中心に扱う
- 3.3節:読み上げる速度の変更する
- 3.3節:Y座標の差,100ピクセルごとに
- 3.3節:現在読みげ中の
- 4.2節:「タッチス  クリーン」「タッチ スクリーン」「移動ができ る構造」と、不要なスペースが挿入されている
- 参考文献[3]:2013 論文集, p. ROMBUNNO.13INT010,
- 参考文献[5]:電子書籍のアクセシビリティに関する実証的研究().
- 未来ビジョン:行などの単にに自動で構造化

以上のように、新規性および有用性の高さは評価しますが、正確性と特に記述の質の低さから、「4: ショート採録に反対しない 」と判断しました。

この研究をよくするためのコメント

5章の3段落目以降は、段落間の関係がわかりづらく、箇条書きで書き連ねているだけのような印象を受けたので、段落の最初に適切な接続詞を書くなどして、可読性を高めることを期待します。

査読者 3

総合点

4

確信度

2

採否理由

視覚障害者の読書を円滑に行うための研究は社会的にも重要である。しかし設計について根拠が不十分であると感じた。
提案された3つのUIタイプに至った経緯が不明確であった。また、「カセットテープを指で巻き戻す動作を連想」、「ユーザの経験、既有知識を利用する」とあるが、カセットテープを巻き戻す仕草が連想される動作であるのか、全盲の人々にとってそれらが既有知識なのかという疑問が残る。

この研究をよくするためのコメント

amazon社が出しているalexaではkindleの読み上げ機能があるのでそのような既に音声だけで操作できるデバイスとの違いを明らかにすることも重要と考えられる。