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査読者 1

総合点

5

確信度

2

採否理由

本研究では、3Dプリンタに搭載されたアクチュエータを用いて、3Dプリンタで成型したオブジェクトに動きを与える研究である。この論文では複数の動作手法を提案し、それを具体的なアプリケーションとともに紹介している。査読者のコメントとして「新規性」「有用性」の点で以下にまとめる。

[新規性]
これまで特殊な機械で、アクチュエータ自体をプリンティングする手法は提案されていたものの、3Dプリンタ自体のアクチュエータを駆動源として用いるアイディアは新しい。

[有用性]
本研究の有用性の大きな焦点としては、3Dプリンタのステージを占有することのデメリットであろう。アプリケーション例から、著者らは「動きのプロトタイピング」の目的ではなく、日常的に利用するものを想定していると考えられる。3Dプリンタが極端に安くなり、駆動速度やトルクが向上し、空間の制約なく色々なものを出力できるようになれば、もしかしたら筋の通ったシナリオとなるのかもしれないが、その点の議論が大きく不足しているため、本提案の有用性の判断が難しい。

この研究をよくするためのコメント


採録判定時のコメント

本研究では、3Dプリンタに搭載されたアクチュエータを用いて、3Dプリンタで成型したオブジェクトに動きを与える研究である。具体的には、モデルデータ・造形オブジェクトの位置・3Dプリンタ搭載のXYZ方向の駆動機構を活用してくそう会う恵右。この論文では複数の動作手法を提案し、それを具体的なアプリケーションとともに紹介している。一定の新規性は認められるものの、有用性や論文の記述の質の点でショート採択と判断する。

レビューサマリ

本研究では、3Dプリンタに搭載されたアクチュエータを用いて、3Dプリンタで成型したオブジェクトに動きを与える研究である。具体的には、モデルデータ・造形オブジェクトの位置・3Dプリンタ搭載のXYZ方向の駆動機構を活用してくそう会う恵右。この論文では複数の動作手法を提案し、それを具体的なアプリケーションとともに紹介している。査読者のコメントとして「新規性」「有用性」「論文自体の質」の点で以下にまとめる。一定の新規性は認めるものの有用性や論文の記述の質の点で疑問が残るところから、ショート採択で条件付き採録と判断する。

[新規性]
これまで特殊なプリンタ機械を用いてアクチュエータ自体を造形物とともにプリンティングする手法は提案されていたものの、3Dプリンタ自体のアクチュエータを駆動力発生源として用いるアイディアは新しく、この点は他の査読者も評価している。

[有用性]
有用性に関しては2つの議論がある。
1つめは、利用時に3Dプリンタ内のビルドプレートを占有することのデメリットであろう。アプリケーション例から、著者らは本手法が「動きのプロトタイピング」の目的ではなく、日常的に利用するものを想定していると考えられる。3Dプリンタが極端に安くなり、駆動速度やトルクが向上し、空間の制約なく造形物を出力できるようになれば、もしかしたら筋の通ったシナリオとなるのかもしれないが、その点の議論が不足しているため、本提案の有用性の判断が難しい。また3Dプリンタにこだわらないのならば、XYZ方向の駆動機構を用いて動きを与えるデザイン支援ツールの提案としても良いのではないか。
2つめは、実現できる動作の制約である。どのような動きができてどのような動きはできないか論文中で現状よりも整理されて紹介されるべきであり、現状の文章からこれを把握することは難しい。

[論文自体の質]
査読者からの指摘の通り、論文中に細かいミスが目立つため、これに関してはもう一度見直して論文を修正する必要がある。

[条件項目]
・3Dプリンタの筐体内をオブジェクトが占有することへの議論を論文中に追加すること
・本手法による実現可能な動作と困難な動作を、整理して論文にまとめること
・査読者が指摘している論文中の細かいミスに対応をすること

その他コメント

査読者 2

総合点

5

確信度

2

採否理由

FDM方式の3Dプリンタの駆動機構を用いて、造形後にオブジェクトの一部を動かす手法を提案しています。3Dプリンタで造形を行ったときに既にある、モデルデータ・造形オブジェクトの位置・3Dプリンタ搭載のXYZ方向の駆動機構を活用して、特別な装置なしでオブジェクトを動かすことができる面白い手法だと思いました。動きのデザインを行うためのソフトウェアを実装し、作成可能な動きを整理した上で、試作例を複数紹介しているところも評価できます。

一方で、有用性の点でいくつか疑問がありました。
ひとつは、どういう場面でどのようなユーザが本手法を使うのかという応用面についてです。手動でも動かせるオブジェクトを3Dプリンタで動かす利点は何でしょうか。動きの仕掛け(エクストルーダ~ジョイント)が見えていたり、3Dプリンタの筐体・内部の配線やモーター等がプリントオブジェクトの周囲を取り巻いている環境が、応用にどの程度影響するのか気になりました。
もうひとつは、表現力と制約のバランスについてです。動きの表現を広げるべく先行研究のような機構を取り入れようとしたときに、本手法の制約はネックにならないのか、実現は可能なのか、という点も懸念されます。ビルドプレートにベースパーツが着いたままで組み立て可能、かつ駆動してもプレートから外れないよう(余計な力が掛からないよう)にモデルを設計する必要があると思うのですが、そういった条件を維持したまま複雑な動きの機構を作る事は難しくないのでしょうか。このハードルが高いようだと、本手法を利用するユーザ層が狭まってしまうように思います。対象ユーザや応用場面にも依りますが、気になるところでしたので言及いたします。

この研究をよくするためのコメント

動きの機構をもつ既存の3Dモデルに、ビルドプレートとのマウントや、エクストルーダとつなぐジョイントを作成できるソフトウェアがあると、より活用の幅が広がるのではないかと思いました。

査読者 3

総合点

5

確信度

1

採否理由

本研究は積層型3Dプリンタに搭載されたエクストルーダとビルドプレートを活用した,造形オブジェクトをキネティックオブジェクト化する手法の提案である.着眼点は非常に興味深く,3Dプリンタの本来の用途外の時間の活用法として(実用的とはいいがたいが)アートオブジェクトとしての有用性は提供されると考えられる.
しかし,論文の記述の質としては高いとはいいがたく,実装においても限定的な用途については説明されているものの,記述に不足が見られる部分が多い.
これらのことから,ショート採録相当と判断した.

この研究をよくするためのコメント

まず、論文の大枠として、
・3Dプリンタ全般を通して可能な点・不可能な点と,今回の実装で可能となっている点の記述が整理しきれていない
・インタフェースデバイスでの制御が説明されているが,その詳細(どのように連携するのか,技術的仕様)が記述されていない
点が挙げられます.

また、実装においても、例えば着脱可能なプレートで『造形物をあとから取り付ける』のではなく、該当の3Dプリンタで印刷し,そのプリンタにアタッチメントを付けることはできないのか,といった疑問も生じます.

これらの点について,採録の場合には記述の追加および洗練を強く勧めます.

また、細かい点として,
・句読点の後ろに不自然な空白がある
・図の引用時の( )が不要な所に挿入されていたり,逆にない部分がある,前と後ろで全角と半角が混ざっている
 -具体的には(図1)のように ・・・()不必要
 -単一点での回転を可能にする図4 ・・・()が必要
 -Genkei Lepton 2(印刷可能領域は200mm ×200mm ×200mm)を使用した(図6) ・・・全角・半角が混ざっている
・同一単語の表記ゆれ(ユーザとユーザー等)
・図中の文章が読み取れないサイズで記述されている

等があげられます.