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査読者 1

総合点

4

確信度

2

採否理由

本論文では静電容量方式タッチサーフェスに指の腹でタッチしたときと爪でタッチしたときの電流量の差に着目し,これを区別して動作するインタフェースが提案されています.予備評価では通常の使用のタップ時の電流変化が調査され,また爪によるタッチ入力の評価では,指の角度を30度から150度まで変化させたときの電流が計測されています.

普通のタッチと爪によるタッチの使い分けは直観的かつ簡単であり,例えば右クリック入力など,大変に有用な使い方と思います.
しかしながら,本論文では計測に基づく考察とその応用が述べられているものの,実際のタッチデバイスとして実装したときに爪と指の区別ができるかが明らかにされていません.(ビデオでは既に良好な識別が可能となっているように見えますので,この点を明らかにすると良いかも知れません)

この研究をよくするためのコメント

爪が使えるようになれば,多くの新しく手軽なインタフェースが可能となり,発展が楽しみな研究です.個人個人のキャリブレーションやレイテンシ対策などが課題と思われます.

図4の分布図からは,多くの実用的なタッチは100ms以内に接触がなくなる,ということを示唆している可能性もあります.時間経過に対して連続的な図になっていない点が少し不思議に感じました.

採録判定時のコメント

本論文では,静電容量方式タッチサーフェスに指の腹でタッチしたときと爪でタッチしたときの電流量の差に着目し,これを区別して動作するインタフェースが提案されています.爪の接触を利用するという試みは新しく,また電流値を確認することによって従来のデバイスが使える点は大きなアドバンテージとなっています.安定した区別の実現にはまだいくつかのステップが必要かもしれませんが,アイデアの新規性および有用性が大なことからロング採録と判定されました.

レビューサマリ

試みの新しさ,既存デバイスを利用できる強み,実際のUI応用における有用性など,アイデアが高く評価されました.発展・応用が楽しみな研究と思います.
また,ビデオで既に良好な動作が示されていることも高評価を後押ししました.
論文のプレゼンテーションは明確で,著者自身の先行研究やHarrisonらの関連研究など的確に引用されています.

一方で,本文中の実験・評価は角度を固定した場合の電流値がメインとなっており,実際にタッチデバイスとして使う時に安定した区別を実現するためには個人差や毎回の入力ばらつきに対応する技術が別途必要となるように見受けられ,この点の指摘も寄せられました.

その他コメント

個人差やタッチ毎の角度ばらつきなどの対応は自明ではありませんが,一方で,ビデオに投稿されたソフトウェアでは良好な識別が実現しているように見えます.もし既に安定した動作が実現しているのであれば(あるいは特に工夫なく識別可能であれば),その手法等についての記述を追加することを推奨します.

また,爪の長さやつけ爪,装飾などについての考察があるとさらに有用と考えます.

査読者 2

総合点

8

確信度

3

採否理由

非常に興味深い研究です.
これまで,タッチディスプレイ上でのる指のPitch角度を推定する研究はありましたが,それらは爪が接触することは想定していませんでした.それに対し本研究では,爪の接触と指の腹での接触を区別する入力手法を提案しており,実際に既成のタッチパッドやタッチパネル上で機能することを確認しています.新規性,有用性,正確性,論文の記述の質,いずれも高く評価することができるため,
ロング採録が妥当と判定しました.

この研究をよくするためのコメント

論文および研究を改善するためのコメントです.

[21]や,下記の[a],[b]との違いをより明確に記述するべきと考えます.現状では記述が不足しています.それら従来手法と提案手法の同じ点・違う点を追記すると,読者の理解が深まります.
[a] Gil, Hyunjae et al. "TriTap: Identifying Finger Touches on Smartwatches," Proc. CHI 2017.
[b] Mayer, Sven et al., "Estimating the Finger Orientation on Capacitive Touchscreens Using Convolutional Neural Networks," Proc. ISS 2017.

当初,図4がわかりにくいと感じました.4.2.2の考察まで読み進めて,ようやく図4の意味が理解できました.図4の説明をより丁寧にすると,混乱が避けられるかと思います.例えば,図4はタッチした点の時系列データを集めたものですよね?また,被験者4名の全員のデータが入っているのですよね?Occurrencesが3000までとなっているのは,4名の被験者がタッチした総数が3000ということですよね?などの疑問を抱えたまま読むことになりました.

図6についても丁寧な説明を加えてください.図4では,100msを境に流出電流値が変わることを示しています.しかし図6には,100ms以内のデータなのか,100ms以降のデータなのか,あるいは100msとは無関係なデータなのか,の説明がありません(査読者は100ms以降のデータの平均と捉えました).説明を加えることと,さらに図6に100ms以内のデータも追加することで,提案手法の理解が進みます.

ビデオや図1にあるような実装についての記述を追加するとより良いと思います(現状だと,実働するアプリケーションやデモがまだない,という印象を受けてしまいます).

査読者 3

総合点

7

確信度

3

採否理由

本研究は、静電容量式タッチパネルにおける新たな入力手法として、爪を用いる提案です。一般的な指腹での接触と比較すると、爪を置いたときには流入電流値が変化するため、この違いを利用して爪での入力を検出するものです。取り組みとしては新規性があり、またこれが正しく動作しているならば有用性もあると感じました。一方で、再現性については疑問に思います。個人での差があるため、それぞれの状態を登録するフェーズが必要となります。論文ではその議論が必要に思います。また個人でキャリブレーションされても、日によって値が変化することは発生するのでしょうか。特に今回は流入電流値のわずかな差を用いているため、日々異なることがどれだけ影響を及ぼすかが疑問です。また図9のTouch with Nailという赤い囲いの意図が不明でした。人によって値は違うため、ひとくくりに閾値を決めてしまうのは危険ではないでしょうか。

この研究をよくするためのコメント