査読者1

[メタ] 総合的な採録理由

本論文はスマートフォンのケースに磁石を埋め込んだ簡潔な入力インタフェースの提案になります。スマートフォンとケースの間はばね構造で結ばれており、磁石の移動はスマートフォンの地磁気センサによって読み取られます。またタッチセンシングの結果とも合わせることで、表面に力を加えようとしているのか、裏面に力を加えようとしているかの区別も行っています。シンプルかつ有用な提案です。

[メタ] 査読時のレビューサマリ

スマートフォンへの多次元入力ということで類似の提案は多い分野ですが、新規性はあり、かつ有用性が高そうという点で一致しています。磁性をもつ日用品による影響や、磁気情報を扱う日用品への影響はどう考えるかという指摘があり、スペース的に可能であれば追記いただければと思います。

[メタ] その他コメント

特にありません

総合点

5: 採録

確信度

3: 自身の専門分野とマッチしている

採否理由

新規性、有用性:弾性変形要素のあるケースに取り付けた磁石の位置姿勢をスマートフォン本体の磁気センサで計測することで力入力を計測するものです。 全体にシンプルかつ完成度が高く、面白く拝見しました。表面、裏面のどちらから入力するかについてはタッチパネルにより判別させる点もクレバーだと思いました。 論文の記述の質:評価に関してベーシックなところ、例えば押下圧はどの程度正確に推定できるのか(現在は押下しているかどうかの確率のみで評価しており、その確率が実際の押下力に対してどの程度単調増加の性質を維持しているかわからない)、あるいはせん断力はどの程度正確に方向がわかるのかが示されないままタスク評価に移行していることは少し違和感を感じました。

この研究をよくするためのコメント

採否理由に記載した通り、ベーシックな性能評価が足りないように思いました。ただ今回の論文の修正として要求するものではありません。


査読者2

総合点

4: どちらかと言えば採録

確信度

2: やや専門からは外れる

採否理由

アイデア,実装,性能評価については問題はないと思いますが,磁石という点に懸念があります.このような磁石を用いるインタフェース(あるいは磁石を用いた折り畳みタイプのスマホスタンド)を用いると,磁気式のカードの情報が飛ぶという問題がありますので,どの程度影響があるのかは調査して評価に含めていただいたほうが良いと思います.財布と,提案デバイスがついたスマホをカバンに入れておくとカードが全部ダメということになるとは極めて大きな問題かと思います.

この研究をよくするためのコメント


査読者3

総合点

5: 採録

確信度

3: 自身の専門分野とマッチしている

採否理由

磁界の変化を検知して入力とするインタフェースは筆者らが引用している事例やそれ以外(例えばMagNail[A]やTelemetRing[B]など)にも多数存在します。その一方で、提案手法では(1)検知側をスマホの磁気センサとすることで特別なハードウェアを必要とせず、かつ(2)入力側をスマホケースとすることで、ユーザやその他の環境に大きな負担を強いることなくuntetheredかつpassiveな入力を実現できている点が新しいと思いました。 ただ、磁石を磁気センサで検知しているという意味では技術的な新規性はそこまで大きくなく、どちらかというと有用性を重視した研究だと感じます。 スマホの表裏どちらで入力がなされているか検知できるというアイディアに関しても、(最終的に複数センサの学習になっている点から)筆者らの過去の研究(Copernican-Touch [C])に近いアプローチだと感じますが、せん断を検知できることやそもそもの検知精度の高さから有用性は高いと思います。 また、ユーザスタディの結果から、提案手法が高精度に表裏の押し込みとせん断を検知可能であることが示されており、論文としての正確性も高いと思います。記述も明確です。現時点での限界(デバイスの厚みや磁気ノイズなど)について言及されている点も良いと思います。 以上の観点から、技術的新規性は大きくない一方で、有用性や正確性において質の高い論文だと感じたため、再録条件なしで「5:再録」の判定としました。
[A] Azusa Kadomura and Itiro Siio. 2015. MagNail: user interaction with smart device through magnet attached to fingernail. In Adjunct Proceedings of the 2015 ACM International Joint Conference on Pervasive and Ubiquitous Computing and Proceedings of the 2015 ACM International Symposium on Wearable Computers (UbiComp/ISWC'15 Adjunct). Association for Computing Machinery, New York, NY, USA, 309--312. https://doi.org/10.1145/2800835.2800859
[B] Ryo Takahashi, Masaaki Fukumoto, Changyo Han, Takuya Sasatani, Yoshiaki Narusue, and Yoshihiro Kawahara. 2020. TelemetRing: A Batteryless and Wireless Ring-shaped Keyboard using Passive Inductive Telemetry. In Proceedings of the 33rd Annual ACM Symposium on User Interface Software and Technology (UIST '20). Association for Computing Machinery, New York, NY, USA, 1161--1168. https://doi.org/10.1145/3379337.3415873
[C] 池松香, 山中祥太, 坪内孝太, 椎尾一郎. 2019. Copernican-Touch: タッチサーフェスを指へ向けて動かし接触させるタッチ入力拡張技法. コンピュータソフトウェア, Vol. 36, No. 3.

この研究をよくするためのコメント

以下、私があまり理解できなかった部分や改善できそうな点を書きます。6ページに盛り込むのは難しいかもしれませんが、発表などで教えていただければ嬉しいです。
1. なぜ解析的に解かないか 3DoFの動きに対して3次元のデータを取得しているのだから、「出力の次元が増え計算量が膨大になる」という記述の意味が良くわかりませんでした。機械学習で解くことには問題を感じないのですが、それは「出力の次元が増え計算量が膨大になる」からですか?
2. キャリブレーションの方法 現在はキャリブレーションのときに磁石を遠ざけており、実験としてはそれが正確だと思いますが、現実的な利用を考えた場合キャリブレーションのためにスマホケースを外す必要はありますか?初期状態で磁石の磁界は定数になっているという前提で実験していると思うので、スマホケースを外さなくても地磁気は引き算で求まるようにも思えます。 この点に関しては磁石の磁界と地磁気の磁界のオーダの差が影響するような気もしますので、もし必要ならば地磁気の大きさについて軽く触れていただけるとわかりやすいかもしれません。
3. 地図アプリやその他のハードウェアへの影響 この点に関して、例えばQiなどの無線給電機器やIC決済など、電磁波を利用するデバイスも制限を受けるかもしれません その他細かい点 ・プロトタイプ実装②のビデオについて、均一に押せることも大事ですが、せん断が生じる構造になっているかを見たいかもしれません。個人的には「この構造でどのくらいズレるのか」という部分がわかりにくいです
・Pressure Force "with" Casingについて、素直に"on"でいいのでは?と思いました。また、PFoSやSFoSも検知は"with Casing"だと思うので、もしかすると命名が明快ではないかもしれません。「PFF (front) vs PFB (back)」とかの方がわかりやすいのかもしれません(もうTo Appearの内容だとは理解していますが...)
・図2(b):これは側面ですか?
・3.3節だけNの記法が他と異なるのが気になりました(ほかはSI準拠で数字と単位の間にスペースが入っています)

査読者4

総合点

4: どちらかと言えば採録

確信度

2: やや専門からは外れる

採否理由

スマートフォン背面側に磁石を付け、その位置の変化を利用してリッチな入力を実現しようとする研究です。比較的シンプルな仕組みで高い精度を達成しており、やや嵩張るという欠点や、実用的な利用シーンでの検証が不足しているなどの問題点はありますが、有用であると感じました。 ただ、以下の2点は気になりました。
1. 背面側の入力を利用する方式ではタッチパネル側に触れることが許されないため、横持ちに制限されてしまうことはないでしょうか。その場合、利用するアプリケーションへの制約も大きいと思います。また、最近の機種は実験に用いたPixel 2よりも額縁部分が狭い機種が多いため、操作が困難にならないかも懸念しています。
2. AirPodsやバッグなど、身の回りのものに磁性体オブジェクトは多く存在していると思います。6節で言及されてはいますが、こうしたものの影響を大きく受けることは危惧されます。

この研究をよくするためのコメント