査読者1

[メタ] 総合的な採録理由

本研究では、VRリダイレクション技術を活用したゴルフスイング矯正システムを提案しています。VR内の仮想のゴルフボールが打者のスイングに応じて前方へ移動し、打者はこれに合わせてスイングを調整します。結果として頭の上へと振り上げるover-the-topスイングが改善し、クラブが正確にボールに当たるように矯正されていきます。このアプローチはユーザ実験で有用性が確認され、論文中では現システムの課題と展望も示されていました。論文の記述に改善の余地はありますが、採録(ショート)で問題ないと判定しました。

[メタ] 査読時のレビューサマリ

査読においては、総じて好意的な反応であり、採録が妥当であると判断しました。提案内容についてはWISS参加者を刺激するものであり、WISSで発表するにふさわしいと判断されています。論文の記述内容(特に実験の部分)に関しての懸念が示されていますが、採録の条件とするまでもなく、著者がしっかりと修正したうえで最終稿を用意すると信じて、ショート採録(採録条件はなし)と判定します。

[メタ] その他コメント

WISSの会場でのデモを期待しています。

総合点

4: どちらかと言えば採録

確信度

3: 自身の専門分野とマッチしている

採否理由

・提案されている内容の新規性(先行研究との差分が十分にあるか) The authors proposed a golf training system that focuses on VR redirection. While the presented system itself appears to be novel, there is a lack of detailed explanation about redirection and citations of prior research, making it challenging to understand what exactly is new. The practice of altering user movements through the display of virtual objects in VR has been a well-established technique. It would be beneficial to provide a more in-depth description of how this VR redirection differs significantly from previous approaches to highlight its novelty.
・有用性(実際に役に立つか)、正確性(技術的に正しいか) The discussion revolves around the utility of training in VR itself, but there remains a question of whether training while wearing an HMD is practically advantageous. Due to the authors using OptiTrack for the system implementation, the system is technically accurate, alleviating any concerns in this regard.
・論文自体の記述の質(分かりやすく明確に書かれているか) There are concerns regarding the reliability of this study due to the absence of details regarding the questionnaire used for the user study's measurements and the lack of clear documentation on the actual data analysis methods employed. Despite the paper being only six pages long, the extensive discussion section leaves room for more precise descriptions of the measurements conducted in the user study. It is recommended to revise and provide a more accurate account of this aspect for improved credibility.

この研究をよくするためのコメント

There are much rooms for improvement in the presentation. Authors could more focus on the paper writing for making the paper a well-written.


査読者2

総合点

5: 採録

確信度

2: やや専門からは外れる

採否理由

本論文はゴルフトレーニングのスイング軌道を修正させるためのVRを用いた支援である。 [提案されている内容の新規性(先行研究との差分が十分にあるか)] ゴルフトレーニングのスイング軌道を修正させる、というピンポイントな題材ではあるが、先行研究との差分も十分にあり、 得られた知見は非常に興味深く面白い知見であり、WISSで発表するにふさわしい論文と判断する。 [有用性(実際に役に立つか)、正確性(技術的に正しいか)] ボール位置の間欠的な移動により、ゴルファーに無意識にスイング軌道を修正させることができることが12人の被験者実験で示してある。 3つのシフトパターン:Abruptly, Gradually, Interspersedlyを実装し、それぞれに対してユーザ実験を行っており、丁寧に結果がまとめられている。 [論文自体の記述の質(分かりやすく明確に書かれているか)] アブストラクトに読みづらい点・誤植があるので確認してください。 ・「ゴルファーが無意識に~反応し、スイング軌道を修正させる。」→ゴルファーが主語なので「スイング軌道を修正する。」が良いのではないでしょうか。もしくは「ゴルファーに無意識に~に反応させることができ、スイング軌道を修正させることができる。」など。 ・「それぞれのパータン」→「それぞれのパターン」

この研究をよくするためのコメント

WISSの会場で実際に体験できると議論がより深まりそうです。


査読者3

総合点

5: 採録

確信度

1: 専門外である

採否理由

本研究では、VRリダイレクションを用いたゴルフスイング矯正システムを提案しています。VR空間内に表示された仮想のゴルフボールが打者のスイングに合わせて前方(打者から離れる方向)へと移動し、打者は移動したボールに合わせてスイング角度を調整します。この調整によって、over-the-top(頭の上へと振り上げる)スイングが無意識のうちに改善され、クラブのヘッドがボールに対して正しく当たるように矯正されていきます。 VRリダイレクションをゴルフスイングの矯正に活用するというアイディアには新規性があり、実装された3つのモードの有用性も短期のユーザ実験を通して十分に評価されています。また、現在のシステムの課題や今後の見込みについても十分に示されています。論文の記述に関する懸念点はありますが、WISSで取り上げて議論する価値のある論文であると評価します。 ・5.1 Velocity biasにて分散分析を行っていますが、ここで変数として用いられている「time」が何を指しているのかわかりませんでした。打った回数でしょうか。それとも実験の経過時間でしょうか。 ・被験者は5.2でPxxの番号で整理され、本文中で大きく3つのグループにわけられて議論されていますが、これらの番号が論文中で使われていません。特定のグループ、被験者の意見を示す際に活用されるとより読みやすくなると思います。 ・図5およびキャプションをより正確な情報が伝わるように更新することを推奨します。まず、このグラフが12名中の9名から得られたデータであることを示すべきです。また、Baselineという名称は先行研究の説明でしか使われていませんので、本文中のどこかで説明を入れるべきでしょう。First 12 swingsを36回目から描きはじめるのは誤解を招く可能性があります(動画では修正されているようです)。 ・5.2最終段落で「... in the 24th to 36th」とありますが、図5を見ると30th to 36thの試行に影響が出てきているように見えます。

この研究をよくするためのコメント

本システムで練習を重ねた被験者が、実際のゴルフ場(ゴルフ練習場)で良い打球が飛ばせるかどうかに興味があります。プロの指導者などにスイングを評価してもらうことも有益でしょう。 また、クラブを握った際の力の掛け具合もスイングの姿勢に影響を与えそうな印象を受けました。力んで振った際に、せっかく矯正された姿勢が崩れてしまうなどがあるかもしれません。現在の実装でも打球の速度(初速度)が取れていそうなので、それを活用してシステムを発展させることもできるでしょう。

査読者4

総合点

5: 採録

確信度

3: 自身の専門分野とマッチしている

採否理由

スイング中にボールの位置を移動させることでスイングの軌道を自発的に補正させようとするトレーニング手法の考案と実際にシステムを実装している. その際に3つの移動方法を用意しそれぞれの効果を検証し,統計的に分析している. 分析の結果,有益な結果も出ており,大変興味深い内容である. 記述も分かりやすいと思いました.

この研究をよくするためのコメント

デモスペース次第と思いますが,ぜひ会場で試してみたいと思いました. 本システムを利用している間は実際にボールを打っていないため,先に実際のボールを打つ体験をしたのちに本システムを体験し,再度実際のボールを打つとどのような結果になるのか,どのように感じるのかを知りたくなりました.