査読者1

[メタ] 総合的な採録理由

eラーニングのようなビデオコンテンツによる学習時の資料とチャプターの概要、自らのペースに合わせてビデオの再生をコントロールできる等の機能が搭載されたシステムを提案しており、システムの技術的な内容は一定の評価ができます。事前調査によってシステムの要件の洗い出しをしていることも好感を持てます。一方で、提出された論文については出版前に十分な推敲が必要であると判断し、ショート採録(採録条件あり)と判定します。

[メタ] 査読時のレビューサマリ

本論文の査読コメントを総合しますと「記述内容や方法に修正が必要である」ということです。このため、査読者からのコメントをよく確認し、記述が曖昧な点や、細かく指摘されている部分を修正した上で、論文全体を通して十分に推敲してください。これを採録の条件とします。

[メタ] その他コメント

総合点

3: どちらかと言えば不採録

確信度

3: 自身の専門分野とマッチしている

採否理由

本研究では「視覚的・時間的アクセシビリティ」を考慮したEラーニング動画のためのインタフェースを提案しています。論文中においても「アクセシビリティ」という言葉が多用されていますが、一方でこのアクセシビリティが「ユーザビリティ」という意味が強く意識されているようにも感じられ、総じてどのような意味でアクセシビリティという言葉を使われているのかが不明確であると思います。 また、事前調査(Formative research; 形成的研究)によって要件定義している部分については評価できますが、一方で得られた知見の新規性については疑問があります。 最後に、設計・実装されたシステムについては、その具体的な内容がわかりにくく、特にどのような体験が可能なのかを読み解くことが難しいです。ですので「革新的なソリューションを提案した」(7 結論)ことに同意することは難しいと判断しました。 総じて、興味深い研究であると思いますが、研究を発表するには少し早いように思いました。

この研究をよくするためのコメント

研究全体を6ページで説明することは難しいと思いますので、もっと焦点を絞って論文を構成したほうが良いと思いました。細かな実装はもちろん研究論文として重要ですが、細かな実装が書かれていることで、全体としての「アクセシブルな体験」がどのようなものであるのかの記述が少なかったことは残念です。このあたりの改訂があれば良いと思います。


査読者2

総合点

3: どちらかと言えば不採録

確信度

2: やや専門からは外れる

採否理由

学習ビデオとして学習時の資料とチャプターの概要、自らのペースに合わせてビデオの再生をコントロールできる等の機能が搭載されたシステムを提案しており、システムの技術的な内容は一定の評価ができます。 システムのアルゴリズムや特徴として述べている個所は新規性があり、技術的貢献は有用であると考えます。 一方で、「eラーニング」と「Eラーニング」が混在していることや、参考文献の参照がない個所、表や図のラベルが理解しづらいタイトルとなっており、論文として読みづらい部分が多々あります。 技術的貢献が細かく書かれている一方で、論文としてのまとまりが欠如しているように感じました。

この研究をよくするためのコメント


査読者3

総合点

5: 採録

確信度

1: 専門外である

採否理由

-提案されている内容の新規性(先行研究との差分が十分にあるか) 本研究は、50人程度を対象としたアンケートを用いて動画を用いたe-learningにおけるアクセシビリティの課題を抽出しています。また、その結果に基づき、5つの機能を有するビデオ視聴システムSmart Replayを実装しています。個々の機能には既に存在するものに見えるものもありますが、これら組み合わせた提案システムは見たことがありません。
- 有用性(実際に役に立つか)、正確性(技術的に正しいか) ユーザテストはなされていませんが、ビデオに示されている本システムはとてもよく動作していますし、とても有用なものであると感じられます。なお、通常のe-learningシステムとしてもとても便利そうでして、例えば、外国語教材を用いた学習や、外国語映画を使った語学学習にも使えそうに思われました。 また、目的を達成するために開発されている、もしくは使われている技術的も正しいと感じられます。 - 論文自体の記述の質(分かりやすく明確に書かれているか) 構成は良いのですが、記述には改善すべき点が多くあります。ただし、これらは深刻なものではなさそうです(指摘されれば著者で修正が可能な軽微なものです)。具体的には以下の「修正すべき箇所」に示します(ただし、これら以外にも修正すべき箇所はあります)。
- まとめ 論文の記述に不明瞭な箇所がある(未定義の変数、説明不足)ので、その分、評価をやや下げざるを得ませんが、新規性はあると思われますし、有用性はとても高いです。システムも魅力的かつインスパイアリングであるため、多くの議論もなされると思われます。これらの点から、本論文はワークショップ論文としてふさわしく、WISSコミュニティに共有される価値が高いものと判断されます。
- 修正すべき箇所 全体
- 未参照の図が存在します。
- 図の参照順と出現順とが異なっています。
- 5節と6節において、5機能の説明の順を統一すると良いと思います。
- 「転写」を「文字起こし」に変えると良いと思います。
- 第4節に、本研究が対象としている学習ビデオを「学習ビデオ[44] [4] の一 般的なスタイルである、スライド、ナレーション、ライブスクリプティング を取り入れたスタイルに注目している(図 2)。」と定義していますが、これは早い段階で示すべきです。
3 形成的研究
- 参加者数は何名でしょうか。第1節にはN=53人と書かれています。しかし、表1の「独占」の回答数は計42です。また、ビデオの18秒付近にはN=52と書かれています。点検の上、修正してください。
- 「大学生」と「障がいを持つ個人」の内訳を明記すると良いと思います。
- 「既存の状態がない参加者」というのは「大学生」のことでしょうか。
- 「わずかなツールが言及されているが、」とは?
- 表2の「ユーザー入力」とは? - 表2の「Unnoticeable non-central elements」とは?
4 調査結果
- 「学習者の能力に関係なく」は『「大学生」と「障がいを持つ個人」の両方に』という意味でしょうか?
- 「…アクセシビリティのためのカスタマイズの可能性については、さらなる探求が必要である。[18][7] では、アクセシビリティのためのカスタマイズの可能性について、さらなる調査が必要である。」を修正してください。
5 Smart Replay
- 「Accessible Replay(P1)」の説明がこれしかありません。ビデオに説明されている内容を論文のどこか(第5節か第6節?)に書くと良いと思います。
- 「E ラーニングビデオが選択されると、ユーザーはシンプルなシステムデザインに導入される(図4-C)。」とありますが、図4Cが無いです。
- 「リプレイ中、ユーザーはビデオにオーバーレイされたすべてのアクセシビリティ機能と、ユーザーのカスタマイズを見ることができる(図7)。」とありますが、図7ではなくて図4Bでしょうか?
6 実装
- 「…ビデオフレーム内でのアクティビティを検出する。…。ビデオフレームのウィンドウFw(|Fw| = Vfps、ビデオのフレームレート)で作業し、その最初と最後のフレームを比較する。」とありますが、フレーム内ではなくてショット内でしょうか。
- 「Pn,j は輪郭に基づいた絶対的な中心点」の「絶対的な中心点」とは? - $A_{n,j} = \sum_p{A_{n,p}}$の$p$を定義してください。
- 「線形に調整された」とは? - 「同じ抽出されたテキストの結果をマージする。」の「同じ」とは? - 「$|W^{T,\mathit{fr}}_n|$が最大の場合、$\mathit{fr}$を検索する。」の「最大の場合」とは2以上のこと?
- 「導入された視覚的なハイライトについては、ビデオのペースをユーザーが設定できる尺度に基づいて遅くする(…)。」とあります。「導入された視覚的なハイライトについては」と限定しているのは正しいでしょうか?正しいとして限定する理由は何でしょうか? - 採録の条件 (無し)

査読者4

総合点

3: どちらかと言えば不採録

確信度

1: 専門外である

採否理由

本研究は、オンデマンド型のEラーニング教材において「時間的なペース」、「複雑な視覚的要素」、「低い検索性」という問題を解決するための動画アクセシビリティツールを提案している。 新規性: 文字起こしや動画のセグメンテーション化自体は各種動画プラットフォームや拡張機能で提供されている点で新規性はないが、それらを統合し、相補的に用い、ペースもWPM単位でチューニングできるなど、あらゆるユーザが使いやすいリプレイ機能を実装している点は新規性が認められる。 有用性: 多様性ある被験者を対象に調査を行い、必要なUIの設計要件を洗い出し、実装している点から有用性があると思われる。実験はしていないが、WISSの性質から特に問題なく、その知見の共有や議論すべき論文と思われる。 論文自他の記述の質  ・文章が翻訳的に感じる部分がありますが、多くは論文自体の価値を下げるものでないため、気になりませんでした。 一方で、本質的に影響を与えうる、曖昧な記述と感じる部分が散見されました。 【例】 3章 形成的研究    ・性別に関する情報は収集または含まれていない。     →どちらでしょうか?(おそらく収集していないかと思われますが)

この研究をよくするためのコメント

採否理由でも述べましたが、意図が一意に定まらない文章が散見されました。研究自体の知見の有用性は高く、他の研究に良い影響を与える研究かと思いますので、より内容が伝わるよう文章の校正を望みます。 (翻訳的やいわゆるカタカナ語自体は特に気にならず、文章の構成もわかりやすいかと思いますので、その部分を否定しているわけではありません) 気づいた部分を下記に指摘します。  ・5.1内「Semantic Segmentation(P3)」   概要を簡単に確認でる → 確認できる  ・3章内、2段落目最後の引用に「?」が含まれております。 *その他気になった点  4 調査結果内の「図 2」および「図 3」内に意図しない(おそらく?)空白が入っております。