査読者1

[メタ] 総合的な採録理由

本研究では音楽動画へのコメントを利用した音楽推薦・鑑賞インタフェースを提案されています。ソーシャルコメントを元に感情と状況の2つの側面で分類しユーザーの状態に合わせて音楽を推薦するシステムは一定の新規性が認められます。有用性が確認できない点やアルゴリズムの詳細説明が不足している点など懸念はあるものの、提案システムのクオリティは高く、不採録とするほどの際立った問題はないと判断し、ショート採録と判定されました。

[メタ] 査読時のレビューサマリ

有用性が確認できない点やアルゴリズムの詳細説明が不足している点など懸念はあるものの、不採録とするほどの際立った問題はないと判断し、ショート採録と判定されました。 具体的な査読のポイントをまとめると以下の通りです。 [評価ポイント] - 記述の質(R113, R112) - 新規性(R113, R112, R115) - 実装に関する記述(R113, R112, R121) - システムのクオリティの高さ(R113, R112, R115, R121) [改善が必要な点] - 推薦結果に関する記述(R113) - データ処理の流れがやや不明瞭(R113) - アルゴリズムの詳細(R121) [コメント] - ユーザスタディの追加[R112, 115] - 重みづけに関する記述[R115] 査読コメントへの対応を採録条件とはしておりませんが、査読コメントを参考の上、最終原稿をご用意ください。

[メタ] その他コメント

デモ発表も是非していただければと思います。

総合点

5: 採録

確信度

2: やや専門からは外れる

採否理由

本論文は、YouTubeデータを活用して、ユーザの状況や感情に合わせた音楽推薦・鑑賞インタフェース「MusicCommentVisualizer」を提案している。音楽動画へのコメントから、状況や感情に関する単語を抽出し、それを基に音楽推薦を行っている。 論文自体の記述の質は高く、デモ動画からもシステムのクオリティの高さが窺える。 また、本論文の位置付けも明確に説明されており、新規性が認められる。 さらに、実装にかかるプロセスについても詳細に記されており、正確性についても問題がない。 音楽状況と音楽情報の選択の組み合わせによって、具体的にどのような楽曲が推薦されるか、推薦結果が変化し得るのかが論文からは読み取れず、有用性については確認できないが、本論文はWISSでの議論に値すると判断し「5」と評価した。

この研究をよくするためのコメント

- 推薦結果のバリエーションについての記載があると良いように思う。 - データセットの構築の章は面白いが、自分の解釈が合っているか不安に感じた。重複によってコメント数がどれらくい消去されたのか、具体的な数値があると理解の助けとなる。また、「人手で選別して構築した」とあるが、この点についての詳細な説明が文献27に記されているのか否かなど、一言説明があると嬉しい。 - ユーザコメントに登場するユーザの偏りはないかが気になった。


査読者2

総合点

5: 採録

確信度

2: やや専門からは外れる

採否理由

本論文は音楽動画に対するYouTubeコメントを可視化しながらユーザの状況や感情にあった音楽推薦と音楽鑑賞をするインタフェースの提案である。 ・提案されている内容の新規性(先行研究との差分が十分にあるか)、 ニコニコ動画などに代表されるように、音楽を鑑賞する際に、SNSでのコメントを閲覧しながら鑑賞することはあるが、音楽推薦時にSNS上のコメントを利用して楽曲を推薦する例は確かにこれまで報告されていない。 新たなコンテキストアウェア音楽推薦システムとして一定の新規性があると判断する。 悲しいときに、悲しい曲を聞く人と、元気な曲を聞く人がいるように、感情分析と楽曲推薦は難しいが、そこに対して能動的に選択可能なインタフェースを提供している点がユーザフレンドリーでもある。 ・有用性(実際に役に立つか)、正確性(技術的に正しいか)、 ユーザスタディがされていないので有益性は判断できないが、ビデオを見る限り、使いやすく実装されていることから、一定の有益性はありそうだと判断できる。 ・論文自体の記述の質(分かりやすく明確に書かれているか)、 論文原稿もわかりやすく書かれている。 5章関連研究の1文目が若干、唐突すぎる感じがあるので、文献[13]をもう少し詳しく述べてみてはいかがでしょうか? 以上のことから、採択と判断する。

この研究をよくするためのコメント

原稿にはユーザスタディがないので、発表の際には、ぜひユーザからのコメントを加えていただくか、WISS会場で参加者が触ってみて感想を述べあえるような状況だと、より本研究のディスカッションができ、研究が深まりそうです。


査読者3

総合点

4: どちらかと言えば採録

確信度

1: 専門外である

採否理由

本研究では音楽動画へのコメントを利用した音楽推薦・鑑賞インタフェースを提案されています. 音楽動画へのコメントを元にした音楽推薦・鑑賞システムはこれまでに提案されておらず,従来の音響情報や歌詞を元にしたシステムでは考慮できていない,音楽が実際に視聴者に誘発する感情を考慮できるシステムという点で新規性があると考えます. 実際に動作するシステムを構築されている点も評価される点と考えます. 一方で,本システムの有用性については判断ができませんでした. 例えば,2章に「曲調は明るいが歌詞は悲しい曲を本システムの推薦機能により探し出すことができた」,「これをピックアップコメントと呼び,ユーザの求める音楽コンテキストの決定を支援できる,本システムの特徴的なインタラクションの一つである」との記述がありますが,本システムのコメント利用の有無でこれらの推薦結果やユーザの体験がどのように変化するのか,コメント利用による有用性がどの程度なのかは判断できませんでした.

この研究をよくするためのコメント

査読者4

総合点

4: どちらかと言えば採録

確信度

2: やや専門からは外れる

採否理由

本研究は、音楽動画へつけられたユーザーのソーシャルコメントをもとに、ユーザーの感情と置かれた状況の両方から音楽を推薦するためのシステムの提案です。 ソーシャルコメントを元に感情と状況の2つの側面で分類しユーザーの状態に合わせて音楽を推薦するシステムは一定の新規性が認められます。 また、システムのコンセプトや実装内容の記述は十分になされており、また参考動画を見る限りでは、完成度が高く実際に十分使用できそうなシステムに感じました。 一方、推薦するためのアルゴリズムに関しては論文中から読み取れない部分でいくつか検討の余地があります。 ・日本語コメントから形態素解析をし単語を抽出しているようですが、否定的な表現(たとえば「あまり楽しい曲じゃない」「これは踊れる曲か?」など)はどのように扱われていますでしょうか。 ・不適切なコメントや正確性の低いコメントのフィルタリングについても触れられていませんが、たとえば各コメントにつけられた評価で重みづけするなどの処理が考えられます。 改善の余地はありますが、現時点ではアプリケーションとしての完成度は高く新規性も認められるため、採録と判断しました。

この研究をよくするためのコメント

いくつかコメントです。 ・単語リスト内の各単語には重みづけがありますでしょうか。表現の強弱によってスコアを変える方法もあるかもしれません。 ・UIの問題ですが、感情や状況のどちらかを選んだときに、もう一方が絞り込まれて表示されると良いと感じました。たとえば、参考動画のように左側の状況で「車」を選ぶと、右側の「感情」の分布が「車」カテゴリ内の分布に切り替わる(もしくは重畳表示される)と、「車」カテゴリ内に存在しない感情があった場合により適切に選択できると思います。 ・音楽動画ではありませんが、一般的な動画の検索にユーザーが使用したコメントを活用する先行研究がありました。
ソーシャルアノテーションに基づく動画検索手法 中村 聡史 田中 克己 https://db-event.jpn.org/deim2009/proceedings/files/D6-1.pdf