デモ

WISS2009デモ発表

12/2(水)

  • A01:机上振動音のアンビエントセンシングによるユーザ状態推定,濱口 菜々,山本 景子 ,岩井 大輔,佐藤 宏介 (阪大)

大人数の授業における生徒の学習状況を教師が個別に把握することや,自学自習時の学習状況を逐一監視および管理することは困難である.そこで我々は,学習者の机天板背面部に振動センサを一つ設置するだけで,学習者筆記作業によるタスクに対する心理状態を推定するシステムを開発した.小型で安価な振動センサを用いることで,大人数に対する(システムの)導入を容易にし,複数の学習者の状態をリアルタイムに可視化することや,短・長期的な学習進度の記録を可能とする.さらに,センサの存在を学習者から隠すことでアンビエントな環境を実現し,センシングによる余計な心的負担を学習者に与えないよう配慮したシステムとなっている.

  • A02:Smart To Field: 履歴情報に基づくモノを介したコミュニケーションの実現, 白井 良成,平田 圭二,高田 敏弘,原田 康徳,青柳 滋己 (NTT)

日常生活をしていると,コミュニケーションをとりたいと思ってもその相手が誰か分からないことがある.例えば,落とし物を拾ったので持ち主に連絡をしたいが連絡先がわからない,といった状況である.本稿ではそのような状況として,モノを目にした時やモノを利用しているときを取り上げ,メッセージを適切な送り先に転送する手法を提案する.Smart To Fieldは,モノに割り当てたメールアドレスに送信されたメッセージを,モノの利用履歴に基づいてモノを利用した人/利用している人に転送する.ユーザはSmart To Fieldを利用することで,モノに関係する人が誰であるかがわからなくても,モノの関係者とメッセージのやり取りをすることが可能となる.

  • A03:2変数詳細度制御を用いた大規模データの可視化, 長崎 あずさ,伊藤 貴之 (お茶大),伊勢 昌之,宮下 光輔 (インテリジェントウェイブ)

私たちの身の回りには多数の大規模データが存在する.しかしそれらのデータは非常に大規模かつ複雑で,解析が困難なものがあまりにも多い.本報告では,このようなデータの解析を支援する一手段として,2属性詳細度制御を適用した大規模データ可視化手法を提案する.本報告において大規模データとは,レコード数が多いだけでなく,属性数が多いデータを指す.このようなデータは,そのまま可視化しただけではデータの特徴や傾向を掴むことが非常に難しい.よって本研究ではデータの特性を保ったままユーザに提示する情報量を減らして可視化することで,大規模データをユーザにとって解析しやすいものとすることを目標とする.

  • A04:Handhelm: 感圧機構を備えたハンドヘルドキーパッド, 山内 啓史,角田 博保,赤池 英夫 (電通大)

ハンドヘルドタイプのキーパッドHandhelmとその応用を提案し,リモコン操作環境におけるより有益なインタラクションの実現を目指す.Handhelmの特徴はキー配列が円形の3×3配列を採り,その周囲8個のキーが独自機構の感圧部を有する点にある.この態様により,小型筐体上の実装に耐える省スペース性,および多目的な入力操作を可能とする高汎用性の二者両立を図った.Handhelmの応用として文字入力,ホイール入力,直接ポインティングのための圧力インタラクション手法を示す.

  • A05:Multi-Points: リアルタイムな多値入力を実現する入力装置の提案, 横道 麻衣子,美馬 義亮 (未来大)

私たちの身の回りには家電機器や情報機器があふれている. それらの機器を操作する入力装置にはボタンやスイッチを使用しているものが多い. しかし, 近年は加速度センサを用いて手の動きを検出するなどボタンやスイッチを使用しない直感的な入力装置が注目されている. そこで, 本研究では, 複数のパラメータをリアルタイムに処理し, 直感的な操作が行える入力装置Multi-Pointsを試作した. Multi-Pointsは赤外光の反射で物体を検出する複数のフォトリフレクタを用いることでXYZ 軸での手の動きを認識し, 人間にとって直感的であり, 簡単なジェスチャで操作できる. また, この入力装置は様々な形状での実現ができ, 平面だけでなく半球型のような滑らかな面や自由に組み合わせ可能なユニット型の形状にも実現が可能である. さらに, LEDによるフィードバックにより, 手をかざした部分を点灯させるなどインタラクティブ性を持った入力装置となっている. 本研究では, 半球型のプロトタイプを作成し, それを用いたアプリケーションやジェスチャによる操作法について提案する.

  • A06:GelKeyboard: テーブルトップシステムで用いるコンパクトなキーボード, 横谷 知昂,佐藤 俊樹 ,小池 英樹 (電通大)

テーブルトップシステムにおける文字入力には,ソフトウェアキーボードでは触覚フィードバックがなくキーを押している感触がない,触覚フィードバックのあるキーボードを作ったとしてもフルキーボードであることが多く,テーブルのスペースを大きく占有してしまうといった問題点が挙げられる.そこで,これらの問題を解決するキーボードとしてGelKeyboardを提案する.入力スペースをコンパクトにまとめることでテーブルの占有面積を小さくし,キーボードとしての機能を損なわないよう,システムを実現した.

  • A07: PhotoelasticTouchを拡張したやわらかな3次元タンジブルインタフェースの提案, 徳井 太郎,佐藤 俊樹,横谷 知昂 (電通大)

我々はこれまで,立体的で柔らかいディスプレイを実現する手法としてPhotoelasticTouchシステムを提案してきた.PhotoelasticTouchではテーブル上の弾性体の2次元的な操作を行っており,テーブルの上の空間や,テーブルの奥行きの空間,弾性体の変形を有効的に利用していなかった.そこで本研究では,弾性体の変形とテーブルの上下の空間を利用した3次元的なインタラクションを可能にするシステムを提案する.本稿では,弾性体の変形の認識手法とステレオカメラを用いた3次元位置の認識手法を述べ,それらを用いたアプリケーションを示す.

  • A08:GummiAudio:透明弾性体を用いたオーディオインタフェース, 吉田 翼,吉田 愛美,佐藤 俊樹,木谷 クリス真実,小池 英樹 (電通大)

音を作成するための電子楽器であるシンセサイザは,つまみを回しながら複雑なパラメータ操作を必要とするため,初心者には使いにくい.シンセサイザのパラメータ操作を簡単にすることができれば,初心者でも気軽に演奏することができ,演奏に柔軟性を持たせることが可能になる.そこで本研究では,PhotoelasticTouchシステムを利用し,パラメータ操作を簡単にすることによって,音楽表現を広げるインタラクションを可能とするシステムとしてGummiAudioを提案した.

  • A09:FestiCam:賑やかさを伝えるライブカメラ映像への情報提示手法, 中村 卓,南竹 俊介,鈴木 茂徳,林 恵理奈,竹林 綾子,高橋 伸,田中 二郎 (筑波大)

離れた場所にいるメンバ間でコミュニケーションをとろうとした場合,相手が今何をしているかや部屋の雰囲気といったアウェアネスに関する情報が重要である.しかし,ライブカメラでは離れた場所の様子を映像でしか確認できないため,雑談しているなどの部屋の雰囲気を把握しづらい.音声情報をそのままカメラを見ている側に渡すことで部屋の雰囲気を伝えることも出来るが,音声を録られる側のプライバシの問題があるため好ましくない.そこで本研究では,音声情報から部屋の雰囲気を“ 賑やかさ”として抽出し,ライブカメラ映像に花火を用いて賑やかさを表現する手法を提案する.この表示方法では,賑やかさの度合いや状態に応じて花火のパラメータを変化させて表示させるため,見る側は花火の様子から離れた場所の雰囲気を把握することができる.

  • A10:フットワークインタラクション:足情報を利用したインタラクション手法, 鈴木 茂徳,高橋 伸,田中 二郎 (筑波大)

足の動きを利用して情報機器とのインタラクションを行うことができる「フットワークインタラクション」を提案する。フットワークインタラクションは、測域センサを利用し利用者の足の位置、足踏み、足によるタップ動作、移動などを検知してインタラクションを行うため、利用者は装置を身につける必要がない。今回はこのインタラクションの応用例として、個人の部屋やステージなどの環境において、流れる音楽に対し人が足でリズムを取るという行為に着目し、足踏み動作を利用して楽曲の選曲を行うStepDJを開発した。StepDJでは、利用者は足踏みによって聞きたい音楽のテンポを刻むことで、そのテンポに合わせた音楽を再生することができる。

  • A11:ロボットを用いたデジタルスタンプラリー, 神谷雅史(日本ユニシス)、青木俊介(ユカイ工学)

従来スタンプラリーは「机の上にスタンプと台がある」というような物理的な制約に縛られていた。その制約を拡張現実感により取り払い、「任意の3次元空間上にスタンプがある」という状況を簡単な端末を使用して作り出し、エンターテイメント性を高めることを提案する。また、その探索をロボットが人間の第6感としてサポートすることにより、「程よい難しさ」と「リアル世界の拡張」を生み出し、さらなる楽しさを与えることを狙う。

  • A12:投げメール: 位置情報と身体性を利用したコミュニケーション, 忍頂寺 毅,長谷川 慎,落合 桂一 (NTTドコモ)

  • A13:議論構造の視覚化機能を有する会議支援システムを利用した会議スタイルの提案と評価, 荒井 康友,中野 鐵兵,藤江 真也,小林 哲則 (早大)

本研究では,少人数のグループにおいて,ある議題に対しての案を参加者が挙げ,それらの中から1 つ以上の案を採択するというタイプの会議を対象としている.例えば,4 人で行く旅行先を決定するなどといった会議である.このような会議の従来の会議スタイルでは,議論が逸れる,決定事項の認識が弱くなる,書記が議事録に残さなかった発言が無かったことになる,発言のうちどこまでを議事録に残せばよいのかわからない,意思の確認や無駄な説明などの時間が存在する,テキスト情報しか議事録に残せないといったような問題が起きてしまう.そこで本研究では,参加者全員による編集機能・議論木構造の視覚化機能・自発的な投票機能・音声貼り付け機能を有するシステムを開発し,これを利用した会議スタイルによってこれらの問題を解決することを目指す.この会議スタイルでは,参加者全員がPC を立ち上げヘッドセットを装着した状態で参加し,「議事録」「ワークスペース」「波形」の3 つのウィンドウからなるシステムを利用する.本研究では,会議中にシステムを利用することによって会議そのものを改善し,また会議終了時には会議を振り返りやすいアウトプットを残す.

  • A14:DOCoCa: 行方履歴を用いてメンバーの習慣を可視化する電子行方表, 藤原 仁貴,村田 雄一,堀 竜慈,鈴木 俊吾,志築 文太郎 ,田中 二郎 (筑波大)

フレックスタイムのオフィスやサテライトオフィスにおける仕事など,異なる時間,異なる作業場所のメンバーと仕事をともにする環境の下では,互いの習慣が不透明になりがちである.また,長時間作業しているメンバーの苦労をねぎらう,心配するといった,互いの習慣を把握している故のコミュニケーションも不足しがちである.そこで,我々は,習慣の不透明化の解決策として,行方履歴を記録し可視化することによって,メンバーの習慣を現在の行方と同時に提示することのできる電子行方表システム「DOCoCa」を開発した.  

  • A15:ズーミングインタフェースを用いたグラフ階層閲覧のための一描画手法, 豊田 正史 (東大)

大規模な有向グラフを階層的にクラスタリングして得られるグラフ階層を,入れ子構造として可視化しズーミングインタフェースを用いて自在に閲覧可能にするためのグラフ描画の一手法を提案する.グラフ階層の可視化閲覧についてはすでに様々な手法が提案されているが,本手法ではノードの重なり回避,および階層間のエッジの距離を考慮した,単純かつ効果的な方法を示している.本手法を大規模なブログデータから抽出したグラフに適用し,話題の中心となっているノードをズームしながら閲覧できることを示す.また,1 万ノード規模のグラフでも問題なく動作することを確認した.

  • A16:SmoothSnap: スナッピングにもとづく微調整可能なGUI部品, 増井 俊之 (慶大)

スライダやスクロールバーは値を設定したりデータをブラウズしたりするのに広く利用されている基本的なGUI部品であるが、値を微調整したり大量のデータ をブラウズしようとすると様々な不都合がある。スライダやスクロールバーのノブをドラッグしたとき、移動量に応じて粒度を変化させつつ適切なスナッピング を行なうことにより、スライダの値を微調整したり大きなWebページを効率的にブラウズしたりすることが可能になる。このような新しいGUIツール 「SmoothSnap」について述べる。

  • A17:Comame:グルーピングによるコンテクストメタデータの記録, 後藤 孝行 (総研大),武田 英明 (国情研)

日々取得する厖大なウェブページを適切に整理することが難しくなったことで探し出したウェブページを再び必要なときにすぐ閲覧することが困難になりつつある.そこで我々は情報の再利用性を高めるため,閲覧中のウェブページをグルーピングによって整理することを提案する.ウェブページをグルーピングすることでウェブページ間の関係性を明示化し,現在どのような情報要求に基づいて情報探索しているのかというコンテクストを表現する.そして,このコンテクスト情報を保存することで,過去にどういう情報要求に基づいて情報を探していたのか,またその情報要求を満たすウェブページ集合はどういったものがあるのかを思い出すことができる.このようなグルーピングを容易にするComame(Context Marking Metadata Editor)を作成した.Comame は直接操作によって作業空間上にウェブページを自由に配置することでブックマークと同時にウェブページ同士のグループ化を行うことができる.また,グループを作成すると過去に作成した同じようなグループを提示する.以上のような機能によって情報の再利用性を高めることができる.

  • A18:多様な目覚めを支援する起床支援インタフェース, 沖 真帆,塚田 浩二,椎尾 一郎 (お茶大)

本研究は,生活環境や体質/予定や体調などに応じて,人々が持つ目覚めのニーズが異なることに着目する.目覚めのニーズを一軸で表す「起きたい度」という新しい尺度を設け,就寝前に「起きたい度」を選択することで,それに合わせて多様な目覚めを提供する起床支援インタフェースを提案する.起床支援の手法は,従来の目覚まし装置と同じく音/光/振動によるアラーム機能に加え,家電と連動する起床支援,そしてSNSを利用してコミュニケーション取り入れる起床支援を導入した.「起きたい度」の選択という簡単な操作により,目覚めのニーズに応じた様々な起床支援を受けることが出来,また,ユーザーが自分仕様にカスタマイズ可能な起床支援装置の提案,試作を行う.

  • A19:郵便着いったー, 水島 由郁,塚田 浩二,椎尾 一郎 (お茶大)

郵便は,携帯電話や電子メールが普及した現在でも価値ある通信手段であるが,到着が即座に分からなかったり,広告チラシなどのスパムに埋もれやすいといった欠点を持つ.そこで,本研究では,一般的な家庭の郵便受けにカメラとセンサを内蔵することで,郵便物の写真を撮影/大まかな内容を判定して,Web上にアップロードするシステム「郵便着いったー」を提案する.ユーザは,パソコン/携帯電話などの Webブラウザ上から,郵便物の内容を写真やコメントで手軽に確認できる.

  • A20:なめらカーテン, 半田 智子,神原 啓介,塚田 浩二,椎尾 一郎 (お茶大)

本研究では,カーテンを開く動作を用いて,テレビ電話のような直接的なコミュニケーションと光や動きなど周辺感覚を用いたアンビエントなコミュニケーションをなめらかに連携させたコミュニケーション手法を提案する.カーテンの開閉状況をセンサで取得し「開く」「閉める」「めくる」といった操作を取得することで,カーテンを閉じている時はぼんやりとした人影をカーテン越しに表示し,開いた時はテレビ電話のように利用できる.

12/3(木)

  • B01:前腕部ファントムセンセーションを用いたポータブルゲームの触覚的没入感, 加藤 寛士,橋本 悠希,梶本 裕之 (電通大)

ポータブル機では画面サイズが小さく「実世界のみたまま」に近い寸法でオブジェクトの表示を行うことによる視覚的距離感呈示が難しく,没入感表現に不利である.そこで没入感呈示の補助として触覚を用いることを考えた.没入感とは「自らがそのバーチャルワールドの中にいる感覚」のことを指すが,これは自分と対象との「距離感」を提示することに等しい.しかし,距離感を表現できる触覚ディスプレイの多くは以下の2点を課題としており,ポータブルゲーム機との連携は難しい現状がある.1. 広呈示面積と高解像度を両立するため,多量の接触子を備える必要性から大型化複雑化し作製・運用・保守のコストが高い.2.呈示対象者の皮膚を広く覆う形状となりがちなため,対象者に特定の姿勢環境が要求される.また装着の手間もかかる.これらの状況を加味し,PhSと呼ばれる触錯覚現象を利用して簡便な装置で没入感補助刺激を前腕部へ呈示する手法を提案する.

  • B02:体験情報に関する検索パラダイムの実証研究, 熊谷 摩美子,阿部 洋丈,岡部 正幸,梅村 恭司 (豊橋技大)

断片的な記憶により、自身のコンピュータ内のメール、ファイルやWebページなどのコンテンツ情報が検索するためのシステムとして、コンピュータの操作画面イメージを蓄積し、画面イメージに対してキーワードによる検索を行うプロトタイプシステムの構築を行った。検索結果として、操作画面イメージを表示することによって、同時性を確認、同時に見ていた状況から目的の情報を見つけることができる。また、OSやアプリケーションの種類に制限されず、索引となるテキスト情報を取得できる。プロトタイプシステムによって、コンピュータで見た情報(体験した情報)の検索を実現できると考える。また、既存のシステムとの比較、検討を行ったことについて報告する。

  • B03:イヤホンEOG, 真鍋 宏幸,福本 雅朗 (NTTドコモ)

我々は常時装用可能な視線入力インタフェースを目指し,大型のヘッドホンを用いた視線計測システムを製作してきた.しかし,日常的に用いるためには,より小型で,より簡便であることが必要である.そこで,電極位置の検討を目的に,様々な部位からEOGの計測を試みた.その結果,眼球に近いほど大きな振幅が得られるが,耳介近傍からでもEOGの計測が可能であることがわかった.その上で,ドライ電極を組み込んだイヤホンと眼の動きのみで操作可能な音楽プレーヤを製作したので報告する.

  • B04:センサネットワークを利用した林業活動におけるウェアラブルシステムの構築, 浅川 和久,高橋 孝輔,瀬川 典久,澤本 潤 (岩手大)

近年、センサネットワークの研究が進んでいる。我々は、センサネットワークを利用したウェアラブルシステムを開発している。本システムは、脈波センサとセンサノードを組み込んだヘルメットを林業従事者が装着することで、装着した林業従事者の生体情報や位置情報を計測し、センサネットワークを介してコンピュータのデータベースに蓄積、管理するものである。蓄積された生体情報や位置情報を分析することで、林業従事者の安全や活動を支援するものである。

  • B05:MIAOW :「何時、何処で、誰と」付加情報を用いた大量個人画像の3次元一覧可視化手法, 五味 愛,伊藤 貴之 (お茶大)

本研究では,個人画像を対象に,画像の整理作業におけるユーザの負担を軽減することを目的とした,画像整理手法の提案と,直感的に大量画像を閲覧することを目的とした,3次元画像ブラウザMIAOW(Memorized Images As Organized by thinking When/Where/Who) を提案する.近年個人が所有する画像の枚数は何千何万枚と増加の一途を辿っており,それらを整理することはユーザにとってとても負担である.本研究では,個人画像において重要情報である,「いつ,何処で,誰と」という観点から画像を階層的にクラスタリングし,自動で整理を行う.また,階層型データの 一覧可視化手法を用いて,3次元上に大量画像の配置を行う.これにより,「いつ,何処で,誰と」という観点から,直観的に大量画像を閲覧することができ,画像の探索を容易に行うことが可能となる.

  • B06:Lyricon -複数アイコンの自動選択による楽曲構成の可視化-, 町田 和嘉子,伊藤 貴之 (お茶大)

本報告では,歌謡曲に合ったアイコンをAメロ,Bメロ,サビなどのブロックごとに選択し,一覧表示する手法”Lyricon”を提案する.Lyriconでは近年のヒット曲に重要な”歌詞”に着目し,歌詞内容と楽曲特徴両者の側面から歌謡曲を分析する.これによって,選択されるアイコンに楽曲の雰囲気だけでなく,歌詞を反映させることが可能になる.そのためアイコンを見れば,歌謡曲を聴かなくても曲の雰囲気や歌詞内容を把握できるようになり,大量の曲の中からその日の気分にあった曲の選択を視覚的に実現できる.また曲の一覧表示画面やスライダバーなどにアイコンを表示することにより,楽曲編集や部分再生などの操作が容易になると考えられる.

  • B07:複製計算モデルにもとづく可用性の高いオブジェクト共有手法, 市川 泰宏 ,山本 佑樹,高橋 利幸,植田 亘,玉井 祐輔,野口 尚吾,高田 秀志 (立命大)

コンピュータを用いたリアルタイムな協調作業を支援するシステムでは,ユーザ間のインタラクションを支援するために,端末間でのリアルタイムなデータ共有が重要となる.そこで,本稿ではデータ共有のための手法として,P2P環境でのオブジェクト共有手法“オブジェクトミラーリング”を提案する.本手法では,各端末がオブジェクトの複製をそれぞれ保持し,ある端末上で起こった複製オブジェクトへのメッセージパッシングを他の端末に伝播し,実行することで,各端末上の複製オブジェクトの状態を同一に保つ.こうした環境では,各端末が同じ状態の複製オブジェクトを保持しているため,各端末がシステムにとっての単一障害点になりにくく,そのため,可用性の高いシステムを実現することができる.また,オブジェクトミラーリングの適用例として,WISS Challenge 2009 で運用した“C-MAC”について述べる.

  • B08:司会進行を支援するウェアラブルMCシステムの設計と実装, 岡田 智成,山本 哲也,寺田 努,塚本 昌彦 (神戸大)

どのようなイベントにおいても、司会進行のスムーズさはそのイベントの成否に大きな影響を与える。しかし、一般に司会をスムーズに行うためには、台本を綿密を覚える必要があり、さらに突発的に起こる様々なトラブルに対応する必要がある。そこで本研究では、ウェアラブルコンピューティング技術を活用し、これらの問題を解決するための必要な情報をHMDに表示し、円滑な司会を行えるウェアラブル司会システムを提案する。  

  • B09:映像と連動したインタラクティブパフォーマンスのための演者支援システムの設計と実装, 池田 惇,竹川 佳成,寺田 努,塚本 昌彦 (神戸大)

近年,人間の動作とその背景に投影された映像を組み合わせたパフォーマンスが注目されており, 演者の動作が映像に作用しているように見せることで,観客の驚きや笑いを誘っている.しかし,演者は映像を背にしたり,ステージ上を移動するため,常に映像を確認しながら演技できず,映像と演者が直接掛け合いを行うようなインタラクティブなパフォーマンスを行うことが難しかった.そこで本研究では,情報提示デバイスを用いて演者に映像情報を提示するシステムを提案する.提案システムでは,頭部装着型ディスプレイ(HMD: Head Mounted Display)を使用し,演者の向きや姿勢に制限されず,常に映像情報を提示できる.提示映像は,数種類の表示内容や形式を選択可能で,さらに付加的な機能を持たせることで,さまざまなパフォーマンスに対応できる.また,評価実験により,提示デバイスが演技に与える影響を評価した.結果から,提示デバイスによって,演技の自然さが変化することを確認した.また,実際に2つのイベントでシステムを運用し,その有効性を確認した.

  • B10:楽器の機能要素を再構築可能なユニット楽器の設計と実装, 丸山 裕太郎,竹川 佳成,寺田 努,塚本 昌彦 (神戸大)

人は音楽を奏でるために古くからさまざまな楽器を開発してきた.西洋楽器を例に挙げると,演奏方法により管楽器,弦楽器,打楽器,鍵盤楽器の4つに大きく分類される.これらの中には,共通する形状・構造・奏法をもつ一方,音域だけが異なる楽器や,ミクロの構造は同じでも組み合わせ方が異なる楽器も存在する.一方,電気・電子技術の発展に伴い,アコースティック楽器と同様の見た目や演奏方法をもち,電子的に音を生成する電子楽器が多数開発されてきた. しかし,従来の電子楽器は既存楽器の形状をそのまま模写することが主な目的であったため,用いる楽器の構造によって音域や演奏方法が制限されてしまう.そこで,本研究では楽器を発音や音程決定などの機能要素(ユニット)の集合であると捕え,それらのユニットを自由に組み合わせることで,音域や演奏スタイルの変化に柔軟に対応できるユニット楽器の開発を目指す.これらユニットを組み合わせて再構築することで,楽器の音域増減やさまざまな楽器構造への適応を実現する.

  • B11:独り言ルーム:声による外化手法を用いたメタ認知支援環境の構築, 栗林賢,諏訪正樹 (慶大)

本研究では,音声による外化手法と声のフィードバックを通してリフレクションを生み出す“ 独り言ルーム ”を構築する.鏡や机,壁にコンピュータやマイク,スピーカを埋め込むことで,声の入出力を行うインタフェースを構築する.入力方法として,音声を用いることで,コンピュータに触れることなく,音声の録音再生を可能にする.鏡と机と IC レコーダを通して,独り言を録音し,生活空間を通してフィードバックすることで,身体的メタ認知を支援する環境の構築を目的とする

  • B12:TimeSlices: 時系列情報をもつウェブグラフの対話的3次元可視化, 伊藤 正彦,豊田 正史,喜連川 優 (東大)

ウェブ構造の発達過程の可視化手法として様々なものが提案されている:(1)アニメーションの利用,(2) 3 次元空間の一軸への時間軸の割り当て,(3)複数のウェブグラフの並列タイル表示,および(4) 複数のウェブグラフの重畳表示.本稿では,グラフの時系列を可視化する上記4 種類の手法を3 次元空間上で統合し,シームレスに切り替え可能な手法を提案する.提案手法では,3 次元空間の一軸を時間軸とし,異なる時間を表す複数のウェブグラフを表示可能にする.これらはユーザの直接操作により時間軸上の位置を移動可能で,この操作によりグラフの構造変化をアニメーション表示させることが出来る.また時間軸方向に視点を移すことにより,重畳表示,タイル表示も可能にする.

  • B13:情報通信・エネルギー統合システムにおけるエネルギー最適化動作の可視化, 田村 弘昭,塚本 昌彦 (神戸大)

  • B14:あいのり:期日のカウントダウン共有による作業モチベーション向上支援システム, 松田 聖大,渡邊 恵太,安村 通晃 (慶大)

一般的に仕事や課題などの期日が迫ると、そのタスクに対するモチベーションが向上することが多い。本研究では、この人間の習慣を積極的に利用したシステム「あいのり」を提案する。あいのりとは、期日のカウントダウンを共有することで、作業モチベーション向上を支援するシステムである。友人を任意の期日に誘い、目的の期日までを共有することで、小さな目標が生まれ、その時間内で特定の仕事に対してラストスパートを行うこと(集中して仕事を行うこと)を狙ったシステムである。本論文では、あいのりをモバイル端末(iPhone)を利用して実装したので報告する。

  • B15:DropTable: 時間割メタファーを用いたファイル管理システム, 佐藤 彩夏,渡邊 恵太,安村 通晃 (慶大)

近年,パソコンのストレージ容量は増加し,パソコンには大量のデータを保存することが可能となった. データは増える一方で,管理をうまく行わないと,必要なときにデータを取り出すことが困難となってしまう. フォルダ分けを行い,分かりやすい場所に置くことが一般的なファイル管理の方法であるが,フォルダを細かく分けるほどデータの出し入れは面倒になる. また,入れ子構造にしてしまうとどこにデータを入れたか見えなくなってしまったり,データの存在自体を忘れてしまうことがある. そこで,本論文では,時間割表の構造とメタファーを利用することで,データを出し入れしやすい管理を行うファイル管理システム, DropTableの提案を行う. DropTableは,今まで見えにくかったデータの構造を視覚化することでデータの利用機会の向上を目指す.

  • B16:BoxFinder:2次元コードと写真を利用した物探し支援システム, 小松崎 瑞穂,塚田 浩二,椎尾 一郎 (お茶大)

本研究では,複数の収納箱に物が収納されている状態を前提に,2次元コードと写真を利用した物探し支援システム「BoxFinder」を提案する.手持ち/据え置きのデジタルカメラで,2次元コードを付けた収納箱の中身を撮影することで,システムが自動的に写真内の2次元コードを認識し,箱番号と写真を関連づけて保存する.ユーザは,実環境ではカメラ付携帯コンピュータをかざして,Web上ではなめらかなスクロール機能を用いて,手軽に箱写真を閲覧できる.さらに,実環境で物探しを行っている間に,箱の置かれている位置を記録し,次の物探し時に活用できる手法を提案する.

  • B17:立ちタッチコンピューティングの日常生活への適合性の模索, 立山 義祐 (慶大)

電子メイルやウェブページ閲覧等のインターネットサービスを,いつでもどこでも使いたいという夢は iPhone により叶った.しかし,実際に日常生活で使ってみると,不満な点が依然として存在することもわかった.文字入力時の反応速度の遅さによる嫌悪感である.筆者は立った状態でタッチタイピングをする,立ちタッチコンピューティングを提案し,実践している.タッチタイピングは扱える文字種の多さ,入力スピード,習得している人の数において,現在の所,優れた文字列入力手段の一つと言える.立ちタッチシステムに必要な要件としては,(1)立った状態での使用,(2)タッチタイプでの文字列入力,(3)思考を邪魔しない反応速度,(4)なるべく人目に奇異に映らない,(5)なるべく自分の日常生活を邪魔しない,を挙げている.最近はSSD搭載など振動に強い小型PCが入手容易になった.また,携帯電話モデムを内蔵することにより,ほとんどどこでもインターネットを比較的安価に利用できる体制が整っている。立ちタッチシステムを容易に実現できる環境が整ったと言える.本稿では,筆者が2ヶ月以上,常に持ち歩いてきたシステムについて述べる.

  • B18:Podspotter: 音リアクションイベント検出に基づくポッドキャストブラウザ, 須見 康平,河原 達也 (京大),緒方 淳,後藤 真孝 (産総研)

本稿ではポッドキャストを対象として,音リアクションイベント,特に笑い声とあいづちの検出に基づくホットスポットの提示を行うインタフェースPodspotter を提案する.Podspotter は一覧性の低い音声コンテンツであるポッドキャストに対して,発話内容の音声認識ではなく,対話の中の有用な非言語情報を検出し,その先行発話を提示する.これにより,ユーザが興味を示すような区間や,ユーザにとって有益な情報を含んでいる区間を抽出できると期待される.また音響イベントの色分け表示とそれに基づく再生機能を提供することで,コンテンツ全体の音響的な流れを見ながら選択的に視聴することが可能である.

  • B19:高フレームレート提示を用いた周辺視野のみで知覚可能な運動知覚付与システム, 岡野 裕,橋本 悠希,梶本 裕之 ,野嶋 琢也(電通大)

本研究では,一定方向に運動しながら高速で点滅する視覚刺激をディスプレイに提示することで,体験者が映像に運動が付与されたように知覚できるシステムを試作した.人間の視覚はその特性から中心視野と周辺視野に分別され,ある閾値よりも高い時間周波数で提示された運動は周辺視野のみで知覚されることが知られている.この視覚特性を利用し,輝度コントラストの縞模様を,中心視野における知覚限界以上の周波数になるように動かすことで,中心視野では劣化のない画像,周辺視野では運動を知覚するような視覚刺激を提示可能とする.このシステムにより,体験者は視線方向によらず視野中心の画像と周辺の運動を知覚しうる.

  • B20:ご近所知るえっと, 中森 玲奈 (お茶大),青木 貴司 (東大),椎尾 一郎 (お茶大)

学校,職場,集合住宅などのコミュニティの中において,顔は見た事があるが話したことのないというような,身近に暮らす他人が多く存在する.また,生活時間帯が合わず,顔を合わせる機会自体がない人達もいる.我々は,このようなコミュニティに対して,煩わしくない程度に,個人と周囲の人々との関わりを感じさせるデバイスを提供することで,新しい形のコミュニケーションを活性化できるのではないかと考えた.そこで本研究では,同じコミュニティに属する身近な他人同士を繋ぐ,メディアアート「ご近所知るえっと」を提案し制作した.「ご近所知るえっと」は,学校,職場,集合住宅などのパブリックスペースにおいて,通過した人々の姿を影として記録,保存,視覚化することで,同じコミュニティに属する人々の存在をアンビエントに提示し,気づきを与える.取得した人々の影を,楽しく視覚化して見せることにより,身近に暮らす人々への興味を自然と湧かせる事ができる.このようにして,パブリックスペースの雰囲気を柔らかくすることによって,身近な人達との緩やかなコミュニケーションをサポートをすることを目指した.

12/4(金)

  • C01:絵庫録: ピクトグラムを用いたアイデア出しのきっかけ支援ツール, 秋山 博紀,元良 龍太郎,安村 通晃 (慶大)

ブレインストーミング(ブレスト)で新しいアイディアを考え出さなければならない時,何を話せばよいかわからず参加者が黙り込んでしまうことは多い.本研究ではこうした新しいアイディアを考える際の補助をするため,ピクトグラムを用いて発想支援するシステム:絵庫録の提案をする.絵庫録はランダムな組み合わせで表示される2つのピクトグラムが,ブレストの議題というコンテキストの中でどのような意味を持つかブレストの参加者が考えることで,新しいアイディアの発想を支援するシステムである.本研究は,ピクトグラムはおかれているコンテキストによって意味が異なるという性質を利用している.また,盛り上がったブレスト特有の問題であるアイディアの取りこぼしを解決するため,録音機能を持たせ,更に録音した音源の再利用性を高めるためスター機能を試作した.スター機能はブレストをしながら議論中のアイディアを自然に評価するためのシステムである.

  • C02:Image Depot: パケットキャプチャによる画像の収集と表示手法の研究, 窪田 幸 (慶大),小池 英樹 (電通大),安村 通晃 (慶大)

インターネットの普及とともに子供のインターネット利用も増加している,しかし,コンテンツは全て健全とは限らず,有害情報から子供を守りたいというニーズがある.仮に不適切な通信を一般ユーザがチェックしようとしても通信技術に関する一定の知識を要するため,現状では困難である.そこで,本研究では通信内容の中でも特に画像に着目し,キャプチャした通信の情報と画像とを関連づけることにより,テキストログよりも通信の概要把握が容易になる表示手法を検討し,プロトタイプシステム Image Depot を実装した.近年のインターネットコンテンツは,表現を豊かにするために多くの画像が用いられている.Image Depot を利用することによって画像のみを抽出して閲覧するだけでも通信内容が大観できるとともに,短時間で通信内容を確認できる可能性が示された.

  • C03:ペンタブレットの空中動作を利用したインタラクション, 梅林 靖弘,寺田 実 (電通大),丸山 一貴 (東大)

本論文ではペンタブレットの空中動作を用いたインタラクションの提案を行う. 空中での動作を検出するためには, 3次元的な「高さ」を取得できるハードウェアを用意する必要がある. 本来ペンタブレットは平面的な入力を想定しているため, 空中での動作を検出できない. しかし, 電磁誘導方式のペンタブレットを対象とし空中におけるペンが感知, 消失する瞬間を観測することで, 特殊なハードウェアを利用することなく「高さ」の情報を取得できると考えた. 得られた3次元情報を3次元ベクトルの入力, 空中でのジェスチャ入力に適用し, その入力精度と所要時間について評価を行った.

  • C04:Bluetoothデバイス検出履歴の長期的観測に基づく周期性の検証, 牛越 達也 (関西大),中村 聡史 (京大),河野 恭之 (関西大)

本研究は, PC, ゲーム機, PDA, 携帯電話など日常生活に遍在するBluetoothデバイス(BT) を常に自動的に検索することで得られるsocial contextを解析して, 自身の日常行動を推定する手法を提案する. BTは設定によって, 通信相手からのInquiryに無条件で応答するため, 通信範囲内のBTが検知可能である. そのため, 自身の周辺にあるBTを常に自動的に検索することで, 自身が動かなくても屋内, 屋外問わずに周辺環境の状況をリアルタイムかつシームレスにとらえることができる. 我々は, これまで一日の行動から得られるBTログより複数のパラメータを設定することで, 周辺環境の変化をとらえ行動の推定を行った. 本稿では, BTログを長期的に観測することで, 個人の日常行動における周期性を示す.

  • C05:ステンシルデザインのためのドローエディタ, 五十嵐 悠紀,五十嵐 健夫 (東大)

素人のユーザがステンシルを楽しむためのインタラクティブなドローソフトを提案する.ステンシル型版は常に1枚につながっているという制約を満たすようにデザインしていかなくてはいけないため,オリジナルなステンシル型版をデザインすることは大変難しい.本提案システムでは,ユーザが通常のドローソフトのように自由に図柄をデザインしていくと,システムが自動的にユーザの描いた線を元に制約に基づいてインタラクティブにステンシル型版を生成する.システムの内部ではベクター形式とラスタ形式のハイブリッドの実装になっている.ステンシル型版はベクターデータとして出力できるため,カッタープリンタなどを用いて実世界のステンシル型版を作成することができる.ユーザはそれを用いて自由に布や手紙,ポストカードなどにオリジナルのステンシルをすることができる.我々は素人のユーザに使用してもらい,本システムの有効性を示したので報告する.

  • C06: Rhythm Bug Bots:生物のリズムを参照した動的表現モジュール群の研究, 石塚 賢,大嶋 泰介,川鍋 透 ,田中 浩也 (慶大)

従来のコンピューターインターフェイス・デバイスの直接的な情報提示方法ではないアンビエントなメディアの開発が求められている. また, アンビエントメディア実現の為に自然現象の持つ仕組みをアクチュエーションやシステムの制御に利用し感性効果を得る試みもなされ初めている. Rhythm Bug Bots はいくつかの動的モジュールからなるモジュール群である. モジュール一つ一つが虫や動物の持つリズムを動作のアルゴリズムと して参照することによって, モジュール一つ一つが独立して運動を行いつつも, 周辺のモジュールと自律協調を行ううようになる. 本研究により, 従来のコンピューターを使用した動的表現でなし得なかった, 冗長性に富んだ表現の獲得やモジュール群による表現方法の検証も可能になる.

  • C07: 花火風に写真を眺めるブラウザ Phopperの試作, 堀辺 宏美,伊藤 貴之 (お茶大)

PCの発達やデジカメの普及に伴って,大量の写真をデジタルデータとして個人のPC上で扱うことが可能になった.これにより,印刷することなくPC上で手軽に写真を閲覧できるようになった一方で,撮影したものの全く閲覧せずに眠ってしまっている写真も増えがちである.我々は花火のメタファを用いて,これらの写真を再閲覧する新しい可能性を示す,アルバム型インタフェース「Phopper」を提案する.Phopperとは,一枚の画像を打ち上げ,それに関連する画像を,打ち上げた画像の周りに花火のように提示するシステムである.ユーザは自由に「打ち上げ画像」を選択し,インタラクティブに写真と花火を同時に眺め楽しむことができる.

  • C08:MusCat: 楽曲データの印象表現に基づいた一覧表示の一手法, 草間 かおり,伊藤 貴之 (お茶大)

音楽の再生機材としてPCやポータブル音楽プレイヤーが主流になり,その内蔵記憶装置の記憶容量の増大に伴い,個人が保有する楽曲数が膨大化している.これにより,ユーザが聴きたい楽曲を見つけるのが困難になることが多くなると考えられる.多くの場合においてユーザは,曲名やアーティスト名などのメタデータをもとに楽曲を検索する.しかし,これらのメタデータに頼らすに,旋律や調性などの楽曲特徴や印象に基づいて楽曲を検索する技術には,まだ検討の余地があると考えられる.本報告では,膨大な楽曲をメタデータに依存することなく,楽曲そのものの特徴に基づいてクラスタリングし,各クラスタの印象表現のために生成した画像を一覧表示するブラウザを提案する.

  • C09:透明偏光マーカを用いたディスプレイとの3次元インタラクション, 百武 暁人,尾崎 耕一郎,木谷 クリス 真実,小池 英樹 (電通大)

本システムは、カメラをポインタとして使用することによる、ディスプレイ映像への操作を実現する。これは、ディスプレイに透明偏光マーカを、カメラに円偏光フィルタを取り付けることにより可能となる。ディスプレイに取り付けるマーカシートは透明であるため、表示される情報を視覚的に損なうことなく、ユーザの持つカメラ付き小型デバイスの3次元位置および、その姿勢を取得することが可能となる。また、シンプルなシステムであるため、デバイス依存性が低く、汎用性が高い。応用としては、液晶ディスプレイへの近距離でのインタラクションが可能である点を生かして、公共の場にあるディスプレイに対して、直接触れることなく、デバイスで写真を撮るような動作で操作を行うことや、ディスプレイに表示された商品の情報を操作している小型デバイスへと転送するなどが考えらる。

  • C10:プロジェクション鍵盤:アノテーション投影機能をもつ電子鍵盤楽器, 竹川 佳成,寺田 努,塚本 昌彦 (神戸大)

プロジェクタの映像を鍵盤上に直接投影できるプロジェクション鍵盤を提案する.この枠組みを活用することで,効率的な鍵盤学習支援,直観的な鍵盤設定操作,演奏に合わせて色とりどりな光の玉が出てくる演奏を盛り上げる視覚効果などさまざまな応用が考えられる.実際にみなさんに体験していただくことで,楽器にプロジェクタの映像を投影することの可能性について議論したい.

  • C11:ユーザ周囲の仮想ポータブル相対空間に貼って剥がせる音声の付箋, 米澤 朋子,山添 大丈 (ATR),寺澤 洋子 (Stanford大)

ユーザの音声と頭方向のみを用いて,周囲の仮想空間上に音声メモを付箋のように貼ったり剥がしたり,聴き渡せる音声付箋システムを紹介する. 従来の音声メモにおけるハンズフリー性や即時記録性を保障しながら,視覚メモのような一覧性を保障し,更にポータビリティを備えた携帯機器(iPhone)における新しいメモモダリティの確立を狙う.時に頭部方向検出はポータブル機器に搭載しにくいことを考慮し,方向指定のデバイスを内蔵コンパスと外部コンパスの間で変更できるよう,フレキシブルなソフトウェア構成を設計した."

  • C12:周辺アウェアネスに配慮した実用的なマルチメディアフィードブラウザ, 草野 孔希,角田 博保,赤池 英夫 (電通大)

本研究では,デスクトップ環境の周辺領域を活用したマルチメディアフィードブラウザの実装と有用性の評価を行った.誰もがインターネットを利用して動画等のマルチメディアコンテンツを大量に取得できる時代になったが,同時にコンテンツの能動的な探索に手間が掛かるようにもなった.そこで探索を減らす為に,受動的な情報取得手法の一つとしてフィードが開発されたが,国内におけるフィードの利用率は低い.更にフィードリーダの多くは文章記事を効率良く読むことを主眼にしている.その為,マルチメディアフィードを,TVやラジオのような感覚で他作業をしながらでも気軽に楽しめるデザインは少ない.そこで本研究では「ながら見」でマルチメディアフィードを気軽に楽しめるシステム,Nicolith2.0を実現した.特に,システム実現の為に,周辺領域における適切な情報提示量や情報提示手法に関する心理実験を実施した他,完成したNicolith2.0の実証実験を行い,周辺アウェアネスを活用したマルチメディアフィードを気軽に楽しめるシステムを実現できたことを示した.

  • C13:iPhoneをビュワに用いた自律神経活動モニタリングシステム, 田村 航,古賀 詳二 (コガソフトウェア株式会社)

ウェアラブルセンサにより取得した生体情報をユーザがその場でいかに扱うかを考慮し,VIRD(Vital information reception and delivery) systemを構築した.これよって,連続した長時間のデータの取得だけでなく,同時にiPhone をビュワとしてを用いてデータの検索・閲覧などが可能である.

  • C14:EyeWish: 目を閉じることを利用したインタラクション手法, 渡邊 恵太 (慶大),塚田 浩二 (お茶大)

「目を閉じる」という行為は日常的で容易な行為でありながら,さまざまな意味を持っている.本研究では,こうした目を閉じるという行為を,「願う」「祈る」「想像する」といった文化的なメタファとして捉えた新しいインタラクション手法「EyeWish」を提案する.EyeWishはカメラから入力した画像を用いて,目の検出を行い,目を閉じる/開くという行為を通じてインタラクションを行う.本論文では,EyeWishのコンセプトに基づきWishTrend,WishMusic,WishMemoryの3つのアプリケーションを試作した.そして,EyeWishのコンセプトと,これらの試作に基づき,本研究について議論する.

  • C15:ソーシャル顔アイコン, 神原 啓介,塚田 浩二 (お茶大)

ブログやSNS,ソーシャルブックマークなどのソーシャルウェブサイトの利用が進み,Web上で人とつながりを持ちコミュニケーションをすることが増えた.Web上での人とのつながりやコミュニケーションが増えると,優先的に見たい人の発言が埋もれてしまう問題や,複数のWebサイトを利用すると閲覧に時間と手間がかかるといった問題が起こる.そこで本研究では複数のソーシャルウェブサイトを横断しながら,重点的に見たい人の発言が埋もれず,より手軽にサイトにアクセスできるインタフェース「ソーシャル顔アイコン」を提案・試作した.ソーシャルウェブサイトの中にいる人をアイコンとしてデスクトップに置くことで人に対してより直接的にアクセスできる人間指向のインタフェースを備え,使い慣れたアイコンと同じように操作できる点が特徴である.

  • C16:Let's Get Together: 食材共有による近隣者用献立作成支援システム, 北原 圭,金井 秀明 (北陸先端大)

近年,ネットワーク上ではコミュニケーションの活性化やコミュニティの形成を促すWebサービスが盛んに利用されている.一方,大都市圏を中心とした地域コミュニティ機能の低下が指摘されている.本研究では,近隣生活者を対象とし,情報のやり取りだけではなく,モノのやり取りによって人々の関係を強化する手法を提案する.具体的なモノとして食材に注目し,それら食材を利用する献立作成支援システムを構築した.これにより各々が所有する食材の持ち寄りによる料理作成を促しコミュニケーションの活性化や新たなコミュニティの形成を支援する.本ポスターでは,各ユーザの所有している食材情報の共有,共有された食材情報を利用した献立作成支援システム,及び本システムを使用したコミュニケーションの活性化や新しいコミュニティの形成支援について,例を示しながら紹介する.

  • C17:多人数参加型当たり判定, 小久江 卓哉,中村 貴洋,宮下 芳明 (明治大学)

近年,ゲームプレイの模様をインターネット上で公開するという行為が盛んに行われている.しかし,こうしたコンテンツを見る側からすれば,どんなプレイ動画からも高いエンタテインメント性を享受できるとは限らず,テレビ番組でプロ選手の競技やプロ歌手の歌唱が選ばれるのと同様に,ゲーム動画のジャンルでも高度な技能による「神プレイ」を求められるのが実情である.本稿で提案する「多人数参加型当たり判定」とは,ゲームプレイの模様が実況中継されるシステムにおいて,ゲームの当たり判定をオーディエンスによる多数決で決定するものである.それにより,オーディエンスは観戦者兼審判としてゲームに緩やかな介入が行え,また「審判としての眼力」を競い合うこともできる.提案システムでは,ゲームプレイに介入できるインタラクティビティと,オーディエンス同士で眼力を競うゲーム性が付与されるため,これまで鑑賞に耐えられなかったレベルのプレイであっても「楽しむ」ことが可能になると考えている.

  • C18:参照元閲覧機能によるユーザエクスペリエンス変化の観察, 内平 博貴,宮下 芳明 (明大)

サンプリングを用いた音楽には,参照元の楽曲が持つ意味や時代背景を取り込んだメッセージが内包されるものも多く,どのような楽曲を参照したかを知ることで鑑賞者が制作者の意図をより深く理解でき,参照元の作品に興味をもつことも少なくない.本研究では,このような参照元の作品が複製作品に与える影響を積極的に利用する事で表現者や鑑賞者にどのような変化が起きるか調べる事にした.筆者らの書道デザインシステム「サンプリング書道」において参照元の作品を閲覧できる環境を実装し,その環境でのユーザの変化を観察した.その結果,鑑賞する面白さが倍加するだけでなく,参照元を見る前と後では作品の印象が変わる点も観察できた.また表現する側にも変化が現れ,参照元の意味に着目した新しいタイプの作例が生まれた.

  • C19:OHP メタファに基づく柔軟なスライド提示インタフェース, 村田 雄一,志築 文太郎,田中 二郎 (筑波大)

多くのプレゼンテーションソフトウェアは,予め仕込まれたスライドのみがプレゼンテーションに使われること,かつ予め仕込まれた順にスライドが切り替えられてプレゼンテーションが進むことを前提とする.しかし,プレゼンテーションにおいては,聴衆の反応に合わせて進行を変える,補足説明をするといった,その場の機転が求められる場面がある.我々は,OHP(Overhead Projector) を用いたプレゼンテーションにおいて,自由な順でスライドを提示する,複数枚のスライドを並べて,重ねて提示する,無地のスライドを用意しておき即興的にスライドを作り上げるといった,柔軟なスライド提示ができる点に着目した.本論文では,これらのスライド提示をプレゼンテーションソフトウェア上で実現し,発表者の機転を支援する,OHP メタファに基づくインタフェースについて述べる.

  • C20:タイピングの特性に基づいた文字入力中のコマンド入力方式, 片山 拓也,村尾 和哉 (阪大),寺田 努 (神戸大),西尾 章治郎 (阪大)

現在,PC用のキーボードは主に文字入力に用いられ,ファンクションキーやショートカットキーなどを活用することで数多くの機能を実現している.しかし,これらの入力によって高速な操作が可能となる一方,キーと機能の組み合わせを覚えなければならないという問題点がある.そこで本研究では,従来の文字入力を行う「タイピング」に加えて,キーボードをなぞる「ストローク」およびキーボードの範囲を押す「スタンプ」の2種類のコマンドの入力をシームレスに行う方式を提案する.提案手法はキーボードの入力特性から「タイピング」,「ストローク」,「スタンプ」を自動的に判定をするため,特別な装置を用いることなく文字入力中のシームレスなコマンド入力を実現する.

Last modified: 2009-11-27 Attached files total: 359KB