査読方針

WISS2016 における変更点について(採録基準の変更と「採録判定時のコメント」記載)

従来の学術会議の場合、掲載される論文には厳格な記述が求められる為、採録条件として記述内容の変更(実験条件やデータ処理手順の明確化、既存技術との違いや参考文献の追加、図やグラフの表記手法、誤字脱字の修正など)やページ数の削減(採録カテゴリの変更含む)が求められるのが一般的ですが、限られた時間の中で修正を行う必要があるのに加え、修正後の委員会による再チェックも十分にできない為、結果として中途半端な内容になってしまうことが多々ありました。「ワークショップ」であるWISSの場合、「学術論文」としての完成度よりもアイディアや速報性を重視し、残った疑問点については本会議中での議論に委ねることにしたいと考えます。

その為、WISS2016 では、登壇発表の査読&掲載プロセスを下記のように一部変更します。

  • 投稿論文は採録会議において、[ ロング ] / [ ショート ] / [ 不採録 ] で判断します。
    • ロング:WISSでロングペーパとして採録される内容を 含んでいる
    • ショート:WISSでショートノートとして採録される内容を 含んでいる
  • 内容によっては、6頁論文でも「ショート採録」になることがあります(4頁で「ロング採録」はありません)。
    • ショート採録を望まない場合は投稿時にその旨を明示してください(この場合、ロング採録もしくは不採録となります)。
  • 余分な記述については(余りに酷い場合を除き)評価対象としません。
  • 6頁論文のショート採録時にページ数削減は 求めません (そのまま掲載されます)。
  • 採録判定時のコメント」を公開:全ての採録論文について、どの部分が評価の対象になったのか(あるいはならなかったのか)を論文と共に公開します。採録論文を読む場合は「論文本体」と「採録判定時のコメント」をセットにして見るようにしてください。
    • プログラムやプロシーディングスの目次欄に、[ロング] / [ショート] の区別と共に掲載します。
    • 本会議における発表時間は、[ロング] / [ショート]の区別とは別に決定されます(プログラム確定時に通知)
    • web公開でのリンク(個々の pdf)や冊子のプロシーディングスには、個々の論文に「最終ページ」として追加します(「採録判定時のコメント」と共に、判断の根拠を「レビューサマリ」として掲載します。また、個々の査読コメントへの URL も表示します。なお、縁取りを変える等して、論文本体とは別であることを明示します)。
    • 追加ページの例(pdf)

ただし、これは、研究途中の成果を議論するワークショップとしての特別措置であり、論文誌や国際学会で発表する場合には、過不足の無い適切な記述を行うことが求められます。「採録判定時のコメント」、並びに各査読者のコメントや発表時の議論を参考に推敲を行い、論文誌や国際学会での発表に繋げてください。

WISS2016査読方針

  • 登壇発表は、査読により採否を決定します。査読者がどのように評価するかは 査読フォーム をご覧ください。
  • 投稿論文には 著者や所属を明記 してください(シングルブラインド査読)。 著者らの関連論文を Reference から削除する必要はありません。
  • 採択された論文の査読結果は、論文とともに インターネット上で公開 されます。これは、査読結果という重要なリソースを、プログラム委員内だけでなくコミュニティ全体で共有することにより、今後、論文や査読を書く際の参考にしてもらうためです。また、公開を前提とすることで、より建設的な査読が行われることも期待しています。なお、不採択となった論文の査読は公開されません。
  • ワークショップの本質は「議論」であり、仮に荒削りであっても未来を切り拓くような研究、議論を呼ぶような研究であれば、研究の完成度が低くても(例:評価実験がなくても)、採択の可能性があります。
  • 発表する内容がインタラクティブシステムあるいはソフトウェアそのものである場合には、それが既に 実装済みであることを投稿の必須条件 とします。実装済みであることが判断できる説明を論文中に記し、写真やビデオなどによってその動作を確認できるようにしてください。
  • 評価実験については、加点のみで減点はしない ものとします。有意義な評価がなされている場合には、同じ内容で評価がない場合よりも高得点となります。逆に、評価実験に問題がある場合、その部分を採録判定には含めず、それ以外の部分で採否を判断します(「採録判定時のコメント」にもその旨の表示を行います)。
  • 国際学会・国際ジャーナルで発表済みのものでも投稿可 とします。ぜひ完成度の高いトップクラスの研究成果をWISSでも発表してください。国内ジャーナル、国内研究会、国内学会等については、参加者にとって有益であると思われる場合には採択します。(ただ、たとえば情報処理学会シンポジウム「インタラクション」で登壇発表済みの場合は、参加者のオーバーラップが多く、発表形態が同一なため、採択は難しいと思われます。逆に、他分野で発表された興味深い内容などは積極的に採択したいと思います。最終的には委員会での判断になります。)ただし、いずれの場合も元論文は引用してください。なお、WISSでの発表はあくまで口頭発表としての扱いであり、その後の査読付き学会・論文誌への投稿を防げないものとします。
  • どんなに新規性の高い面白い研究であっても、記述の質が著しく低い場合(説明が理解できない、必要な情報が書かれていない、既存研究との差分がきちんと説明されていない、など)には採択できません。論文の主張点を明確に記述するだけでなく、従来研究を充分に調査して参考文献として挙げた上で、それらを引用しながら研究の位置づけを専門外の人にもわかるように記載願います。
  • 未来ビジョンについては、本年は必須とせず自由記載とします。論文本体とは別に、「この研究はどういう未来を切り拓くのか」について、著者の視点からアピールしたい点があれば、未来ビジョンとした節を設けて自由に議論してください。査読にあたっては、基本的に論文本体のみを対象とし、未来ビジョン部分は査読の対象外とします。自由に論じて頂いて構いませんが、本文のページ数を圧迫しないようにご注意ください。ただし、説得力のある未来ビジョンが提示されることによって、論文の価値が高まっていると判断された場合には、プラスの得点が与えられることがあります。
  • 採択された論文の中から、雑誌論文としてふさわしいと判断されるものを、ソフトウェア科学会会誌「コンピュータソフトウェア」へ推薦論文として推薦します。そのままでは雑誌論文としては問題があるが、適切な内容の拡充(評価実験の追加など)があれば採択できると思われるものも、その旨を査読結果に明示した上で推薦に含めるものとします。推薦する論文の本数については採録論文中1/2~2/3程度を考えています。推薦論文として投稿された論文(〆切はWISS開催の翌年1月)は、論文誌編集委員会で独立した査読を行い採否を決定しますが、できるだけWISSの査読者と同じ査読者に割り当てるようにします。発表時期は、査読の進行状況によりますが、なるべく翌年8月号での出版を目指します。
  • 1つの論文につき、最低3名のプログラム委員が査読を行います。必要な場合には、外部の専門家にも査読を依頼したり、査読者を追加したりすることがあります。採録の判定は、単純に評価値のみで行うのでなく、プログラム委員会における議論によって行います。また、プログラム委員会において論文の採録判定を行う際には、当該論文の利害関係者は席を外します。
  • デモ・ポスター発表は、査読はありませんが、枠が限られているため、応募件数によっては早期に締め切る可能性があります。登壇発表における「実装済みであることが投稿の必須」は、デモ・ポスター発表では必須条件ではありませんが、学会発表である以上、単に思いつきだけでなく、議論に値するだけの材料・根拠をそろえた上で投稿してください。
  • 優秀な登壇発表、デモ・ポスター発表については表彰します。
Last modified: 2016-09-12 Attached files total: 13MB