デモ

WISS2008デモ発表

11月26日(水)

  • A01: Flashと装着型センサを連携させた体感型ゲームの作成支援フレームワーク, 田中 宏平(阪大),岸野 泰恵(NTTコミュニケーション科学基礎研),寺田 努(神戸大),宮前 雅一(ウエストユニティス),西尾 章治郎(阪大)

近年,センサ技術を活用した体感型ゲームが注目を集めている.しかし,体感型ゲームを制作するためには,ハードウェアに関する知識やセンサデータの扱い方に関する知識が必要となる.また作成済みの体感型ゲームに対して,センサの変更や追加を行うコストが高い.そこで本研究では,センサに精通していないゲームクリエイタのための体感型ゲーム作成フレームワークを実現した.提案フレームワークでは,クリエイタがセンサを意識することなくゲーム作成できる.提案フレームワークのプロトタイプを用いて複数のゲームを作成し,体感型ゲームが容易に作成できることを確認した.

  • A02: VocalFinder: 似た歌声の楽曲を探す音楽検索システム, 藤原 弘将,後藤 真孝 (産総研)

VocalFinderとは,大量の音楽データベースの中から,ユーザが指定した楽曲と似た歌声を持つ楽曲を自動的に検索できる音楽検索システムである.本システムは,伴奏を含む音楽から歌声の特性を表現する特徴ベクトル列を抽出する手法と各楽曲の特徴ベクトル列同士の類似度を計算する手法により,市販CD等の伴奏を含む音楽を検索可能である.本デモンストレーションでは,「RWC研究用音楽データベース:ポピュラー音楽」の100曲,J-Popのヒット曲約2,700曲,アメリカのポピュラー音楽のヒット曲約400曲をデータベースに登録し,実際に検索を体験できる.VocalFinderにより,ユーザは,今まで知らなかったが実は好みの楽曲を発見することができる.

  • A03: タグツリーによる個人コンテンツ管理, 内藤 一兵衛,赤間 浩樹,谷口 展郎,山室 雅司(NTT サイバースペース研)

近年,デジタル化されたコンテンツの普及とHDDの大容量化により超大量のコンテンツが蓄積可能となっている.しかし,ユーザが再利用しようとして貯蓄したコンテンツの多くは十分に再利用されていない.また,新たにコンテンツを蓄積する際には過去に関連のあるコンテンツを蓄積した覚えがあるがそれらと関連付けが行なえないという状況が発生する.本研究ではこれらの溜め込んだ超大量のコンテンツに対し,タグによるコンテンツ管理を拡張し,タグツリーを導入することによって,ユーザ自身が過去に探した過程や整理した過程を再利用することを提案する.その上で,本提案をファイルシステムにマッピングした階層構造の操作を定義し,その効果について述べる.

  • A04: アナログジョイスティックのためのパイメニュー型インタフェース, 宮本 雅勝,寺田 努,塚本 昌彦(神戸大)

近年,スペースが限られた環境での入力インタフェースとしてペンとパイメニューを組み合わせた入力方式が提案されている.しかし,文字入力を行うなど多数の項目を選択する必要がある場合,操作が困難であったり,入力速度が遅いなどさまざまな問題点がある.そこで本研究では,多数の選択項目に対応したパイメニュー型入力インタフェースの構築を目的として,アナログジョイスティックと階層型パイメニューを組み合わせた新しい入力インタフェースを提案する.半径の異なる円をいくつか表示することでパイメニューを多層化し,文字の使用頻度に応じた領域分割アルゴリズムを用いることで,選択項目が増えた場合にも,高速かつ高精度でわかりやすい入力を実現する.

  • A05: Outliner: 3次元世界と2次元世界が融合する表現技法の開発, 藤木 淳(学振/九大),大和田 茂(Sony CSL)

我々は3次元のシーンに2次元的な効果を付加する際に一般的に応用できる技術開発を行う.Outlinerのプロトタイプにおいて,ピクセル毎の演算をうまく行うと3次元世界と2次元世界を融合可能であることを確認した.Outliner は,3次元形状の輪郭上をアウトライナーと呼ぶキャラクターが徘徊動作を行うアニメーションシステムである.アウトライナーは,たとえ,3次元形状が3次元空間では離れていてもレンダリングイメージで繋がっていたらその輪郭上を移動でき,アウトライナーが乗っている3次元形状が回転してもアウトライナーは常に輪郭上に立つ.デモではOutlinerの実演を行う.

  • A06: ペン・ペーパーデバイスを用いた帳簿の管理・検索システム, 秋田 宣嗣 ,織田 英人,寺田 達也,中川 正樹 (農工大)

『書く(描く)』という行為は,初等教育でまず初めに学ぶ情報入力の手段であり,IT 化が進んだ現在においても,キーボード入力に比べ誰もが容易に行える.十数年前は,社会全体のIT 化に伴い,紙文書が電子化され,ペーパーレス社会が促進されていくであろうと予想されていたが,今もなお,人々はノートやメモなどの紙を利用し,教育機関においてもペーパーテストが行われるなど,紙の重要性は変わっていない.これに伴い,近年,紙に書き込んだ内容を読み取るための様々な方式のペン・ペーパーデバイスが発売されている.そこで本研究では,ペン・ペーパーデバイスであるTechnoteを使用した帳簿の管理システムを提案する

  • A07: 加速度センサーを利用した集中度合い推定システムの提案, 大久保 雅史,藤村 安耶(同志社大)

2006年に「脳トレ」が発売されて以来,脳を鍛えるゲームや集中力を養う各種のトレーニングツールが幅広い年齢層で流行している.これらは高齢化社会を迎え,中高年層に脳の衰えを防止したいという欲求があることや,大量の情報を短い時間で処理する能力を得たいという欲求が幅広い世代にあることが要因として考えられる.また,トレーニングは音読や単純な計算で行うことが多く,さらに「脳年齢」という分かりやすい形でトレーニングの結果を表示することも多くの世代に受け入れられている理由の一つと考えられる. しかし,このようなゲームやトレーニングで思考力や集中力を鍛えることができたとしても実生活において,その効果を評価することは難しい.現在,人がどれくらい集中しているかを測定するには呼吸や心拍,脳波などの生体信号を用いる方法が提案されているが,コストや時間がかかる上に測定される側に多大な負担をかけることが多い.そこで本研究では,ユーザが椅子に座って勉強やオフィスワークなどをしている状況を想定し,椅子に取り付けたモーションセンサから得られた情報を加工することによって集中の程度を推定して本人に提示するシステムを提案する.

  • A08: CATの詳細度制御における代表画像の均一化, 山澤 舞子,五味 愛,伊藤 貴之(お茶大)

本報告では,大量画像の可視化手法「CAT: Clustered Album Thumbnails」の詳細度制御における代表画像の均一化について提案する.CAT は,前処理として大量画像を多段階にクラスタリングし,各クラスタから代表画像を選出する.そして構築された階層構造を,階層型データ可視化手法「平安京ビュー」を用いて表示する.CATの特徴は,ズーム率に合わせた詳細度制御を設けている,という点である.ズームアウト時には各クラスタの代表画像を表示し,ズームイン操作によって局所的に各々の画像を表示する.しかし,この詳細度制御を用いた手法では,代表画像が不均一なサイズや縦横比で表示されることで,人間が注目しづらい画像が現れてしまい画像を検索しにくい,という問題点が生じる.これは,代表画像のサイズや縦横比が,各代表画像が示す下位クラスタの画像枚数によって決定されているからである.そこで本報告では,CATにおいて代表画像を均一表示する手法を提案する.本手法では,ズーム操作の際に下位クラスタの配置結果を一時的に無視することで,代表画像のサイズや縦横比を均一化する.

  • A09: ユーザが柔軟に関与できる「井戸端会議」型インタラクション, 倉本 到,新庄 優子(京都工芸繊維大),水口 充(京産大),渋谷 雄,辻野 嘉宏(京都工芸繊維大)

対話型インタラクションシステムにおいては,ユーザ自身が自己の意図を明確に意識していないためにユーザが選択を行わない,あるいは行えない状態が対話を停止させるという問題がある.この問題を解決するために,本稿では「井戸端会議」型インタラクション手法を提案する.この手法は,ユーザ以外にそれぞれが個性を有する複数の会話エージェントにより会話を形成することでインタラクションを進めるものである.個性を有するエージェント間の会話という形式を採ることにより,1) 方向性の明確な発言をエージェントがすることで,ユーザは自分の意図や方向性の明確化につながるきっかけを自然に,効果的に手に入れることができる,2) ユーザは随時発言することで,ユーザの望む時点で,望む分だけ会話に関与し,明確になった意図を提示することができ,よりユーザにとって望ましい選択へ会話を導くことができる,3) そのユーザの関与度合いにかかわらず,常にユーザが納得できる状況で会話は進行し,最終的な選択がなされる.

  • A10: コンビニにおける気づきのレコメンド効果を用いた新たなインタラクションファサード, 山下 真,青山 直樹,古林 沙夜香,林口 円(京都工芸繊維大)

人は、誰かが食べている光景を見ると、それだけでその商品が欲しくなってくる。このような他人の動作から受ける気づきのレコメンド効果に着目した、コンビニのイートインスペースで行う新しい広告体系の提案をする。ユーザがイートインスペースの席に座ると、手前のガラス面に時間も場所も異なる別のユーザが映り込む。同時に正面のカメラでユーザがその席で振る舞った行為が記録され,その情報が次は別の席で同じように再生される。見知らぬ他人の行為を見ることでユーザはその行為から様々な事を気づき、次の購入の契機となり結果的に広告効果が生まれる。このようにコンビニのガラスファサードを用いてイートインスペースを“気づき” の場としコンビニ、商品、ユーザの新しい関係性を構築するのがこの提案の目標である。

  • A11: ユビキタスセンサによるインタラクティブな調理支援システム, 鈴木 拓央,徳升 彰,中内 靖(筑波大),村上 奨(日立)

近年,多種多様なセンサを用いたユビキタスコンピューティングが現実のものとなってきている.その中で我々は,調理作業を支援するため,キッチンを対象とした環境知能化を行っている.従来のシステムは,RFIDタグを用いて調理作業を認識し,ディスプレイなどで調理作業の支援を行っていた.しかし,RFIDタグのみでは認識できない調理作業があったため,本研究では,ユビキタスセンサをキッチンに埋め込むことで認識できる調理作業を増やし,より適切な支援が行えるシステムを提案する.本システムは,支援にタッチディスプレイを用いることで,調理者が支援を選択することが可能であり,インタラクティブなシステムとなっている.被験者実験により,本システムが調理作業を精度よく認識でき,有用であることを確認した.

  • A12: MathMLを対象とした数式検索エンジンの実装, 橋本 英樹,土方 嘉徳,西田 正吾 (阪大)

インターネット上で数式を表現するための標準規格としてMathMLが普及し始めており,教材や技術情報など数式を含む文書の流通は今後も増大していくと予測される.しかし,従来の検索エンジンでは,分数,√,積分などを含む数式を検索することは困難だった.そこで,本研究では,MathMLで表記された数式を検索キーワード(クエリ)として,MathMLの階層構造の情報をキーとして転置インデックスを作成することにより数式を検索するシステムを実装した.

  • A13: GutaGuta: 受動的な動画視聴と発見のためのインタフェース, 平山 慧,寺田 実(電通大),丸山 一貴(東大)

日常におけるちょっとした発見を促進する動画閲覧インタフェースとして、能動的に検索を行ったりリストを眺めるのではなく、適度に眺めて使用する受動的な動画閲覧インタフェースGutaGuta を開発した。多数の小さい動画の提示によって動画内容の把握を容易にし、自動的な動画リスト・音声の切り替えなどを行うことによって操作を必要としない動画閲覧を実現している。

  • A14: CastOven: 日常生活の待ち時間に合わせたコンテンツ提供システム, 渡邊 恵太,松田 聖大,安村 通晃 (慶大)

ストレージの増大により、Webやユーザが所有する情報が増えた。一方で、閲覧する手法やデバイス、時間も限られている。有益な情報発見の機会向上のためには、より日常生活の文脈にとけ込んだデバイスやタイミングを利用したコンテンツの消費手法が必要である。本研究では、電子レンジでのあたため時間を利用して動画コンテンツを再生するCastOvenを試作した。CastOvenは電子レンジの温め時間分の動画コンテンツを自動的に探し出し、再生するシステムである。これにより、日常生活のなかの流れの中で無理なくコンテンツを接する機会を提供できる。

  • A15: ソフトウェア開発における協調支援のためのプロジェクト構造可視化ツール, 大蔵 君治,川口 真司(奈良先端大),中道 上(南山大),飯田 元(奈良先端大)

ソフトウェアに起因するシステム障害が頻発する原因として,新メンバーとの協調開発の難しさ,ソフトウェアの持つ「目に見えない」という特徴のため開発プロジェクトの進捗把握が困難であることが挙げられる.本研究では,成果物間の構造に着目したプロジェクトの可視化手法を提案する.ソフトウェア開発プロジェクトにおける成果物は,プロジェクトの進捗を直接的に表すものであり,また,プロジェクトマネージャと他設計担当者の双方にとって理解が容易である.本研究では,コンセプト層・モデル層・プロダクト層の3つの層と時間軸から成る可視化を用いてソフトウェア開発における協調支援・プロジェクト管理を試みる.

  • A16: Pagmo: Webページと連携する共有仮想空間の実現, 青山 新,櫻井 稔(東京芸大),江渡 浩一郎(産総研)

Webページと連携したリアルタイムコミュニケーション空間を出現させるシステムPagmoを開発した.ユーザはプラグインなどのインストールを必要とせず,Webページをアクセスすると即座に他のユーザとのコミュニケーションを開始できる.ユーザはアバタによって表示され,ページ上を移動でき,リアルタイムに同期する.ユーザは独自のアバタをデザインして登録できる.Webサイトオーナは容易に本システムを組み込むことができる

  • A17: GPS画像マッピングツール, 河田 慶三 (日本ユニシス)

携帯電話のGPS機能、カメラ機能、メール機能と、PCのリッチクライアント技術及びオンライン地図を組み合わせ、ユーザがGPS携帯電話で撮影した画像をWeb地図と時系列上に自動的に配置・表示・管理するソフトウェアである。いつ、どこで、誰が、何をしたか(何があったか)一目でわかるユーザーインターフェースを提供する。選択した画像を中心として地図と時系列情報を描画する仕組みをとっており、画像を選択するつど地図と時系列情報が再描画される。関連する画像を次々に自然に辿っていくことができ画像探索操作を誘発する。関連する画像を探索していくことによって画像群の中に隠れた法則等を見出しやすくなる発見的なユーザーインターフェースに特徴がある。関連する情報を辿るという点で用語グラフの探索と同様な操作を画像群に対して実現している。グラフ探索のバックトラック位置の指定に相当するものとして画像の一時保存領域を設けている。

  • A18: ConfShare: 学術会議開催情報共有のためのWebサービス, 高田 哲司(産総研),金井 秀明(北陸先端大),西村 拓一(産総研)

学術会議の開催情報を共有するWebサービス"ConfShare"についてデモを行う.ConfShareの主な特徴は,会議開催に関わる属性情報を収集し,それを視覚的に情報提示するユーザインタフェースを実現した点にある.これにより明確な検索キーワードを持たないユーザであっても,制約条件を対話的に決定することにより,その条件を満たす学術会議の収集を可能にしている.これにより研究者は様々な学術会議の存在を知ることとになり,研究成果の発表機会の増加,関連分野の積極的なサーベイ,学術会議への参加者増大などが効果として得られることを期待しており,学術会議ならびに研究活動の一助として利用される情報システムになることを目指している. http://www.netaro.info/~zetaka/projects/ConfShare/index.html.ja

11月27日(木)

  • B01: 立つだけインタラクション: 自然に使い方がわかる公共大画面向けインタラクション, 佐藤 竜也,村田 雄一 ,志築 文太郎,田中 二郎 (筑波大)

公共大画面向けのインタラクション手法として,立つ行為そのものを操作とする「立つだけインタラクション」を示す.本インタラクションでは,ユーザが興味を持った情報の前に立つと情報提示が詳細に表示される,コンテンツの再生が始まるなどのアクションが起こる.さらに,本インタラクションの応用例として「魔法の掲示板」を作成した.魔法の掲示板では,遠くから掲示板全体を俯瞰できるように普段は掲示の概要を表示し,ユーザが掲示の前に立つとその詳細を表示する.

  • B03: richbiff: 電子メールのリッチな通知, 水口 充(京産大)

電子メールに対してとるべきアクションの判断材料となる程度の情報量を周辺的に提示するために,文字アニメーション,特徴語抽出,閲覧可能性の推定,文字の確率的な伏せ字化,の手法を利用した実装について紹介する.

  • B04: Real Life: ライフゲームの一変形, 寺田 実(電通大)

John Conway のライフゲーム(Game of Life)はセルオートマトンの興味深い一種である.本研究では, 0と1であったセルの状態を 0から1の実数値に拡張し,それに見合うように遷移規則を定義した.その結果, 変化に富んだパターンの生成を見せるシステムを構成することができた.観察によって発見したいくつかのパターンについても紹介する.

  • B06: つぶつビュー:カテゴリデータのグラフィカルな可視化インタフェース, 白石 宏亮,三末 和男,田中 二郎 (筑波大)

カテゴリデータを可視化する際,一般的には広い視点からデータの傾向を俯瞰することが多く,個々の細かい情報まで柔軟に参照することは難しい.我々はカテ ゴリデータをマクロな観点からだけではなく,個々のレベルへの詳細情報まで直感的に参照することが可能なインタフェースを実装した.本インタフェースでは データの要素をひとつひとつグラフィカルに表示する.ひとつひとつを表示することによってデータの個々のレベルにアクセスが可能である.また,グラフィカ ルに表示することで,アンケートデータでは人の集まり,商品データでは商品の集まりのようにオブジェクトの集まりとしてデータの本質を直感的に理解するこ とができる.これによって,属性数が多いデータにおいてもユーザーは直感的にデータの探索を行うことができる.

  • B07: 耳を引っ張る歩行誘導デバイスの提案, 小島 雄一郎,橋本 悠希,梶本 裕之(電通大)

本研究では触覚を用いた歩行誘導装置について扱う. 従来のナビゲーションシステムは主に視覚, 聴覚へ情報を提示していた. しかしこれら二つの感覚は歩行時に外部の情報を得るためにも重要な感覚であるため, 他の感覚器を利用することが望ましい. 触覚においては腕を牽引されることが直観的なナビゲーション手法だと考えられるが, 従来提案されたシステムでは外力を発生させることができず, 不自然感が残ってしまっている. 我々は腕を引っ張られる手法と同様の直観的かつ簡便な性質を持つ歩行誘導手法として, 耳を引っ張ることを考えた. 耳を引っ張られる状況では, 手を引く場合と比べて少ないエネルギーで誘導可能だと推測される. 本論文では耳を引っ張ることによるナビゲーション手法の検証実験を行った.

  • B08: IGEL 〜ヒートカッターを模した3次元形状モデリング〜, 今泉 仁美,伊藤 貴之(お茶大)

今日3DCGは映画,ゲームなどのエンタテインメントにおいて欠かせないものとなっている.近年,初心者でも楽しみながら直観的なモデリングができるような手法が多く提案されてきたが、初心者に向けたインタフェースでは複雑な形状の設計は難しい場合が多い.本報告では,スチロール加工等に使用される工具であるヒートカッターを模倣した,スケッチベースの3次元形状モデリング手法「IGEL」を提案する.ヒートカッターとは,電熱線を利用して熱に弱いスチロールを切断するための工具である.IGELでは,ユーザはまずヒートカッターの電熱線の形状をスケッチ入力し,それを3次元座標系で自由に動かすことで,初期形状を削りながら加工することができ、従来の手法では設計することが困難だった形状を,数回のストロークで直感的に設計することができるようになると考えられる

  • B09: con: 多数の音の集合を彫刻のように操作・演奏できる楽器, 谷口 暁彦 (東京芸大),江渡 浩一郎 (産総研)

多数の音の集合を彫刻の様に操作できるライブパフォーマンス用の楽器conを開発した.3次元空間上の位置を認識するペン型デバイスで400個のサイン波のオシレータからなるグリッドをつまみ上げるようにして操作することにより,音の集合から生まれる複雑な音響を,彫刻を作るように操作・演奏できる楽器を実現した.透過型ディスプレイを使うことにより,パフォーマは,実際に手の位置に立体形状があるかのような臨場感を感じることができる.

  • B10: ビスケットワークショップ, 原田 康徳 (NTT)

ICCやアジア美術館で行ったビスケットワークショップを,規模を小さくしてWISS会場で展示する.また,イオンおゆみ野店のEXPで展開しているビスケットを用いた授業の途中結果なども紹介する.

  • B11: 携帯端末上でコンテキスト依存プログラムを記述するためのビジュアルプログラミング環境, 西本 裕貴 (筑波大),志築 文太郎 (筑波大),田中 二郎 (筑波大)

携帯端末に搭載された様々なセンサからユーザのコンテキスト情報を取得し,そのコンテキストに合わせた動作を携帯端末に行わせることが可能になってきている.例えば,「本屋の前を通る時に,買いたい本のリストを表示する」が考えられるが,このようなコンテキスト依存プログラムはユーザによって多種多様な要求があるため,エンドユーザが自分自身で記述できることが必要となる.そこで携帯端末上でコンテキスト依存プログラムを記述するためのビジュアルプログラミング環境であるMoCoProの開発を行った.ビジュアルプログラミング手法を用いることで,プログラムを視覚的に表現し,エンドユーザであっても容易にプログラムを記述することを可能にする.また,MoCoProが動作するタッチパネルを搭載した携帯端末上での操作手法についても述べる.

  • B12: ウェブアクセス時空間情報に応じて変化するブラウザスキン, 赤塚 大典 (慶大),筧 康明 (慶大)

siteskinは,ウェブブラウザ上にその時・その場所ならではのスキンを提供するウェブブラウザのアドオンで,時間や場所に応じて取得した画像をツールバーの背景として横並びに配置することでスキンを構成する.スキンはユーザの指定した時間おきに再構成され,その時間帯に応じ,朝には朝,夜には夜に撮影されたその場所の画像群が並ぶ.これまで現実世界の状況には関係なく常に一定の見かけ・動作を繰り返してきたウェブブラウザは,siteskinを導入することで「現実世界を垣間みるための窓」として拡張され,ユーザに常に新鮮な体験を与えることができる.実際に現実世界を行き来し,そこで時間を過ごすことで自分だけのスキンを手に入れることが出来るのである.URL: http://www.xlab.sfc.keio.ac.jp/projects/siteskin/

  • B13: ノラ音漏れ, 青木 秀憲 ,篠原 祐樹,宮下 芳明 (明治大)

本稿では,音楽が自律的に空間を放浪し,それを音漏れとして聴くことができるシステムを試作した.「ノラ音漏れ」は音楽をリピート再生しながら空間を放浪するエージェントであり,ユーザが楽曲を最後まで聞き終わる度に生成・放出され,寿命が尽きると消滅する.同一楽曲が出会うと増殖するため,特定の地域やコミュニティで流行している楽曲がその周辺で多く聞けることになる.ノラ音漏れが表示されるGPS 連動マップとタイムスライダーによって特定の時間・場所に移動でき,いま流行っている楽曲がどの地域で流行ってきたかを調べたり,特定の時代へ音楽を発掘しにタイムトラベルすることができる.また,ノラ音漏れの行動パターンを設定すれば,作曲者が流行のさせ方すらデザインすることが可能となる.

  • B14: KnownStyleNoLife.com: 議論活動を利用してアノテーションを行うファッション画像共有サイト, 遠山 敏章,小西 克巳(工学院大)

近年,インターネットの普及により膨大な量のファッション画像がウェブ上に蓄積され,ファッション画像を介して活発な議論がブログやソーシャルネットワークサービスで行なわれている.しかし,ファッションの抽象的な表現を用いたバーバルディスカッションは時間がかかり,誤解も生じやすい.一方で,ファッション画像内のトレンドアイテムの認識といった,意味的なメタデータの収集は困難な問題である.本研究ではウェブ上でのファッション画像を介した議論活動に着目し,議論活動を通してユーザーが画像へのアノテーションを行なうファッション画像共有サイトKnownStyleNoLife を提案する.本サイトは議論を円滑にする機能を提供し,ユーザーは機能を通して意識せずにアノテーションを行い,ファッション画像に関する情報を効率良く収集する.

  • B15: ぐりぐり遠距離マッサージシステム, 小林 壮一 ,林 貴宏 ,尾内 理紀夫 (電通大)

ネットワーク技術の進歩により、ネットワークを用いたエンタテイメント、コミュニケーションが身近なものとなっている。本研究では遠距離にいるユーザ間のコミュニケーションを「マッサージ」という行為を中心に楽しく盛り上げるシステムを試作した。マッサージをするユーザは入力インターフェースとして3Dマウスを用いる。3軸の捻りを検出する3Dマウスに対してマッサージを行うと、その入力により、相手の肩や腰などに装着されたバイブレータを振動させることができる。それに対し、相手側は加速度センサでリアクションを行うとそれに応じたグラフィックスやサウンドがモニターに表示され、コミュニケーションを取ることができる。

  • B16: タスクをマップ化することで見える化するプロジェクト管理ソフトウェアの提案, 高橋 純一 (システムフレンド)

本研究は、プロジェクトのタスクチケットをマップ化することで、視覚化し、仕事の割当具合や、プロジェクトごとの距離、規模などを簡単に把握するためのソフトウェアに関するものです。従来のプロジェクト管理ソフトウェアでは簡単には把握できなかったこれらの弱点を、タスクをマップのセルとして、セル上にアバターのアイコンを表示することで、仕事の割当具合を把握でき、各プロジェクトのタスクを近くに設置することで距離を、セルの数などから、簡単にプロジェクトの規模を把握できるように。またタスクをマップ化することで仕事の”楽しさ”を演出することが可能です。

  • B17: オープンソースプレゼンテーションプラットフォーム「ことだま」で研究・開発しよう, 栗原 一貴 (産総研),加藤 公一 (日本ユニシス),大浦 弘樹 (東大)

我々はZUI、ペンUIを備えたプレゼンテーションツール「ことだま」をオープンソース公開し、共同研究者、共同開発者を募集している。ことだまは教育現場を中心としてエンドユーザに広く利用されている実績を持つ、汎用のペンベースZUIマルチメディアオーサリング・プレゼンテーション基盤である。研究者および企業はことだまを用いることで、エンドユーザの使用に耐えうる基本的操作部分の実装を省き、研究価値や商品価値のある部分にのみ労力を集中できる。ことだまはすべてC#で書かれており、プラグインアーキテクチャを持つため、開発への参入は容易である。http://dev.tyzoh.jp/trac/kotodama/wiki

  • B18: HybridRecommender: 安心感と意外性を兼ね備えた音楽推薦システム, 吉井 和佳,後藤 真孝 (産総研),奥乃 博 (京大)

本研究では、ユーザのこれまでの好き嫌い評価に基づいて、好みに合いそうな楽曲を推薦するシステムを開発した。ユーザは、ありきたりであるが安心感がある楽曲と、意外性があるが好みのテイストを持つ楽曲とが心地よいバランスで混じり合った、おすすめ楽曲ランキングを受け取ることができる。このような推薦結果を得るには、楽曲に対する他ユーザの好き嫌いと楽曲自体の雰囲気を同時に考慮することが必要不可欠である。我々は情報統合のための確率モデルを自動的に学習する手法を提案し、安心感と意外性を兼ね備えつつ、精度よく好みに合った楽曲を推薦できることを示した。

11月28日(金)

  • C02: 閉曲線図形の特性に基づいた音色生成の一手法, 岩淵 勇樹 ,秋田 純一 ,北川 章夫 (金沢大)

電子楽器を用いることにより,今までにない新たな音色を作ることが可能となっており,音色を生成する方法も数多く考案されている.しかしながら,それらのほとんどは多種多様な音色を作るために多くのパラメータ制御を必要とするため,直感的な操作が難しく,特性を掴むのに多くの時間を要する.本研究では,マウスやタッチパッドなどの入力デバイスによって直感的な音色入力インターフェースを構築するために,閉曲線から周期信号を生成するオシレーターの基本原理を考える.具体的には,平面上の閉曲線図形について,相似図形同士が同じ音色と対応するような変換方法を検討する.図形と音を対応付けることにより,直感的な入力が可能になるほか,視覚表現と融合した音楽パフォーマンスへの応用も考えられる.

  • C03: PhotoelasticTouch: 透明弾性体を用いたインタフェース, 間宮 暖子,佐藤 俊樹,小池 英樹(電通大),福地 健太郎 (JST)

液晶ディスプレイ上の透明弾性体の光弾性を応用し,ユーザとテーブルとの接触を伴う対話が可能なインタフェースでは,接触位置の認識だけでなく,弾性体の変形領域からユーザの押した圧力を推定して利用することや,押す方向を得ることもできる.本研究ではこのような性質を利用し,ユーザが弾性体を押した位置と圧力の分かるタッチパネルアプリケーションや,3Dモデルを回転させることのできる3Dモデル閲覧アプリケーション,弾性体を手に持って利用するペイントアプリケーション等を実装した.

  • C04: DashSearch: ダッシュボードウィジェットを用いたメタデータ検索, 後藤 孝行 (総研大),武田 英明 (情報学研),安村 通晃 (慶大)

我々はダッシュボードウィジェット(以下ウィジェット)と呼ばれる簡易アプリケーションを用いてメタデータ検索を行う検索インタフェース「DashSearch」を開発した.ウィジェットにはカレンダーやアドレスブックなどがあり,DashSearchはこれらウィジェットを用いて日付や作成者などのファイルに対するメタデータを表現する.そして,ウィジェットを組み合わせることで、検索クエリを構成し、またウィジェット上で検索結果を表示する.これら機能によって,メタデータに適した表示,操作を可能にし,同時に検索結果をメタデータに応じた表現で表すことができる. DashSearchは普段から使いなれたウィジェットを検索に利用できることでメタデータをより親しみやすいものにし,また複数のメタデータを利用しやすくすることで様々な視点からの検索を支援する.

  • C06: PhotoLab: ユーザの思考を支援する画像閲覧インタフェースの開発, 堀辺 宏美,伊藤 貴之 (お茶大)

計算機性能の向上や記憶装置の発達により,大量の画像を個人の計算機上で扱うことが可能になった.これにより,画像を印刷することなく,計算機上に制作されたアルバムという形で画像を鑑賞する機会は,今後ますます増加すると考えられる.ここで我々は,閲覧者の見たい画像は,そのメタデータに沿って派生しうるのではないか,と考えた.そして我々は,ウェブ上のリンクをたどるネットサーフィンによって思わぬ情報を発見するように,メタデータをもとに派生する閲覧者の思考をたどって,思わぬ写真に出会えたら,よりエキサイティングにアルバムを閲覧できるのではないか,と考えた.本報告では,このような閲覧者の思考を誘発し,思考の派生を支援するような対話操作を実現する画像閲覧の一手法PhotoLabを提案する.PhotoLab では特徴量やメタデータに基づいて画像群を3 次元空間に配置し,この3 次元空間を自在に移動する操作性を提供する.これによってPhotoLab は,アルバムを眺めるように,かつ自由な順序で多くの画像を閲覧できるユーザインタフェースを実現する.

  • C07: ピッケの「つくるえほん」, 原田 康徳 (NTT),朝倉 民枝 (グッド・グリーフ!)

幼児教育において創造性教育は重要なテーマである.一方,幼児向けソフトウェアは,ゲームや知育ソフトが大半であり,創造性を引き出すものはお絵かき程度である.『ピッケの「つくるえほん」』は,幼児が得意な「おはなし」を作る点を引き出すソフトウェアである.キャラクタやアイテムをドラッグ操作で配置し,物語を組み立てる.システムはWebアプリケーションとして実装され,できあがった物語は印刷し絵本にすることができる.ワークショップでの使用例:http://kids.nifty.com/picke/report0.html 子どもたちの作品:http://kids.nifty.com/picke/ws_data/keioh081012/index.html

  • C08: Comings and Goings: 駅の活動を表示する風ディスプレイ, 川上 あゆみ,椎尾 一郎 (お茶大)

本システムは,列車が頻繁に到着する都会の駅の活動をアンビエントに表示する目的で開発された.当初,渋谷駅に到着する7路線の列車の到着する様子を,副都心線の新駅地下広場に提示する目的で提案した.現在のプロトタイプは,東京地下鉄丸ノ内線茗荷谷駅に到着する列車の様子を表示している.時刻表情報から,駅に列車が到着するタイミングを知り,扇風機を起動し,列車の到着により感じられるような風を提示する.

  • C09: オノマトペン, 神原 啓介,塚田 浩二 (お茶大)

「キラキラ」「もこもこ」といったオノマトペを用いた表現は日常会話や文章の中で慣れ親しまれているが,コンピュータとのインタラクションではあまり活用されていない.そこで本研究では感覚的で親しみやすいといったといったオノマトペの特徴を活かしたインタラクション手法を提案する.今回試作したペイントシステム「オノマトペン」では,オノマトペを声に出しながら線を引くことで,そのオノマトペに応じた質感・形状のブラシで線を描くことができる.例えば「ギザギザ〜」と言いながら線を描くことでギザギザした折れ線が描かれる.声に出しながら絵を描くというマルチモーダル性や,語感から質感をイメージしやすいというオノマトペの特性によって,ブラシの種類をボタンで選ぶ従来の方式に比べ感覚的にブラシを切り替えながら描くことができる.試作したオノマトペンをユーザーに試用してもらった結果,すぐに使い方を理解できることや,より楽しく絵を描けることが分かった.

  • C10: 大画面上コンテンツの指差し操作を補助するビジュアルフィードバック手法の提案, 國保 将則,新井 イスマイル,西尾 信彦 (立命館大)

街中において大画面を用いたユーザへの情報配信サービスが注目されつつある.我々は公共の大画面に対して直感的な操作を可能とするためにユーザがコンテンツを指差し操作する情報配信サービスの実現を目的とする.しかし、現状ではユーザの指差した画面の座標をカメラで画像処理して推定するが、推定精度が低いため、ユーザが意図した画面上のコンテンツを的確に指示できない問題がある。そこで,推定される指差し範囲近辺のコンテンツを適切に拡大・移動することで,ユーザが実際に指差したコンテンツを選択するための補助を行うインターフェースを提案する.

  • C11: Webを用いた参加型プレゼンテーション, 藤枝 崇史,福本 佳史,黒河 優介,水出 慎平,神前 嘉明,増田 貴徳,服部 隆志,萩野 達也 (慶大)

参加型のプレゼンテーションとは, 聴衆がプレゼンテーションの内容を理解し, 能動的に自分の意見を示している状態のことである. そのためには, 発表者・聴衆の区別無く全員が, その時々の状況に対してほぼ同一の認識を抱かなければならない. 本研究では, これを実現するためのプレゼンテーション環境をWebアプリケーションとして構築し, ユーザーに提供する. プレゼンテーション画面へのコメント書き込みと, コメントを画面上にオーバーラップする形での全ユーザーのコメントの共有, この2つの機能を実現することでプレゼンテーションへの聴衆の積極的参加を支援する.

  • C12: ソーシャルブックマーク上の少数ユーザ観測による流行予測, 太田 飛鳥,松澤 智史,武田 正之 (東京理科大)

ソーシャルブックマークとは個々人がつけたWebページへのブックマークを収集し,共有するサービスである.ブックマークは個人の手による情報抽出でありそのWebページへの個人の支持とみなすことができるため,ソーシャルブックマークにおける被ブックマーク数はそのWebページのランキングスコアとなりランキングやより高度なアルゴリズムによる流行Webページの抽出が行われている.本研究ではそうした流行Webページ抽出がユーザ行動をシードにしているにも関わらず,シードであるユーザも抽出結果を行動動機にしているという再帰的定義の関係に注目し,ランキングの実効的なシードになるユーザを取り出すことによって,その後に流行するWebページをソーシャルブックマーク全体を見回さない小さなデータ量から予測する手法を提案する.

  • C13: イスの振動を介した遠隔地間気配伝達システム, 高井 翔太,三村 充,宮里 勉 (京都工芸繊維大)

在宅勤務や在宅学習における問題点である職場の雰囲気が感じられないことによる個人の心理負担や疎外感を解消するシステムを提案する。遠隔地間で在宅勤務 する作業者同士がお互いの存在や状況情報、すなわちアウェアネス情報を伝達しあうことでそのような問題点を解消することを目指した。従来研究のシステムに おいては視覚や聴覚によるアウェアネス情報の伝達が主であるが、その場合作業時に気づきにくい、また映像取得のためのカメラやマイクにより心理的な圧迫感 があるなどの問題が考えられる。そのため、本研究ではアウェアネス情報の伝達における入出力に触覚を利用することを提案する。具体的には、作業時における イスの動きに注目して、遠隔地間にいる作業者同士の間でイスの動きを振動として同期的に共有するシステムを実装した。

  • C14: suGATALOG: ユーザの姿を利用したファッションコーディネート支援システム, 佐藤 彩夏,渡邊 恵太,安村 通晃 (慶大)

服は実際に着用してみないことには、イメージがつかみにくく、さらに服を試着した状態で他の服と比較することができない。そこで本研究では、過去に自分が服を着た写真を合成することで、ディスプレイ上でトップスとボトムスの試着シミュレーションを行うシステム: suGATALOG(スガタログ)を提案する。suGATALOGはユーザの手間を軽減するため、部屋で服を試着した時や、家を出るタイミングで写真を撮影し、それらを後のシミュレーションの素材として利用する。さらに、複数のコーディネートを並べて比較することも可能であるため、出かける前の限られた時間の中で試着することなく容易に気に入ったコーディネートを選ぶことができる。

  • C15: ウェアラブルな目玉型ロボットインターフェース, 青木 俊介 (東華大), 鷺坂 隆志 (東大), 松宮 孝大 (ユカイ工学)

近年ロボットが日常生活で利用される機会が増え,メディアとしてのロボットの有用性が注目されている.我々は,人間に限らず多くの動物がコミュニケーションに利用している情報提示の要素としての目に注目し,ウェアラブルな目玉型ロボットインタフェースを試作した.このロボットはリアルな義眼を備え,人間の眼球を模した動きをすることで直感的に人間の情動に訴えかけ,情報提示を行う.また顔や全身を持つロボットに比べ小型化が容易で,モバイル化・ウェアラブル化が可能である.本稿ではメディアとしてのロボットの新しい利用形態として目玉型ロボットインタフェースの開発を行った.これについて報告する.

  • C16: 写真と落書きにもとづいた子供の共同創作支援, 小笠原 遼子,中蔵 聡哉,角 康之,西田 豊明 (京大)

写真とメモ書きの共有に基づいた体験共有コミュニケーション支援システムPhotoChatを開発してきた。今回、PhotoChatを子供による共同創作ワークショップに適用した。2日間で2歳から15歳までの200人余りの子供に使ってもらい、親子や友達同士でコミュニケーションをしながらラクガキ作品の創作をする様子を観察した。その際にPhotoChatで作った作品をスクリーンに提示することで、システムへの理解を助けると共により創作に熱中するような仕組みを考えた。その結果、人を撮影し落書きするだけでなく、擬人化や物語を作成するなどの自由な創作がみられた。

  • C17: 写真上の仮想会話における会話構造分析, 古谷 翔,角 康之,西田 豊明 (京大)

撮影した写真の上で会話が可能になるPhotoChatと呼ばれるシステムを開発し、ミーティングや展示見学といった体験共有の状況での利用実験を重ねてきた。PhotoChat による仮想会話には、撮影する(ある場面に目を向ける)、写真を選ぶ(会話場に集まる)、書き込む(発話する)といった、実空間の会話と同様の構造が存在し、その構造は、PhotoChatを利用しながら行われる実会話の構造と強い相関がある。本発表では、体験共有のタイプに応じた会話構造の相違について分析結果を報告する。

  • C18: NearMe: 簡易な手法による音環境の類似性を用いた会話場の認識, 中蔵 聡哉,角 康之 ,西田 豊明 (京大)

我々は今までに, 人間のインタラクションを計算機に認識させるための第一歩として,音場の類似度を利用した簡易な手法による会話場の分布の推測を行うシステムNearMe を開発してきた.NearMe は, 音環境の類似性のみを用いて会話場のクラスタリングを行うことで, 距離や会話場の構造に依存せず, 柔軟に会話場の検出を行うことを目標としている.本大会では、会話構造の変化にどの程度対応できるのか検証を行ったのでこれについて報告する。また、当日はNearMeの動作デモを行う予定である。

Last modified: 2008-11-21